大坂なおみ全米OP決勝で見えた、日本が報じないアメリカの闇

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大坂なおみ選手の優勝で幕を閉じた全米オープンテニス女子シングルス。アメリカではセレーナ・ウィリアムズ選手の審判へのクレームを巡り、メディア各社が大々的に報じていますが、「米国の“根っこ”」が垣間見えたとするのは健康社会学者の河合薫さん。河合さんは自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の中で、新聞各紙が「sexism(女性差別)」という言葉を使い騒動を論じていることを紹介した上で、その根底にあるのは「Racism」であると指摘、さらに人種や性別を超えて全ての人の心に響いた大坂選手のスピーチを称賛しています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2018年9月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

日本が報じない米国の闇

日本では「日本人初」という日本人が大好きな冠と、「日本人らしい」という日本人が大好きな形容句で盛り上がった全米オープンテニスでの大坂なおみ選手の快挙ですが、「米国の根っこ”」が垣間見えた試合でしたね。

良い意味でも悪い意味でも、「これがアメリカなんだよなぁ」と。

先週はちょっとだけ遅めの夏休みで国外脱出していただけに、余計にそう思ったのかもしれません。毎朝、ホテルのレストランで斜め読みした米国の新聞の報じ方にも「アメリカらしさ」が溢れていました。

たとえばワシントンポストでは「sexism女性差別)」という言葉を多様し、セレーナ選手を擁護。主審のカルロス・ラモス氏によるsexismに関するコラムに加え、女性差別を訴える著名人・人権団体の抗議文やツイッターなどを掲載。

紙面の大半が“Thank you Serena for standing up for us!” といった論調で展開し、審判へのクレームは全く正しかったと弁護していました。

昨年、ワシントン・ポストは、「Democracy Dies in Darkness(暗闇の中では民主主義は死んでしまう)」という長年社員たちの合言葉だったフレーズを、スローガンとして発表していたのでsexismの主張は「らしい」展開です。

一方、ニューヨーク・タイムズは、セレーナが感情をコントロールできなかったことを批判しつつも、やはり「sexism」について論じていました

ただし、こちらは大坂なおみ選手についてもかなりの紙面を割き賞賛するとともに、「怒りとブーイングと涙が大坂なおみの素晴らしい勝利を曇らせた」と力説。

表彰式で涙が止まらなかった大坂選手に同情したコラムを掲載し、「覇者として純粋な喜びの瞬間であるべきだった。それを観客とセレーナが奪った」とかなり辛辣に指摘していました。

いずれにせよ、試合直後の見出しは「ナオミ」より「セレーナ」。「大坂」ではなく「ウィリアムズ」。翌日からは「ナオミ」のスピーチにスポットが当りましたが、やはり米国は「権利と自由の国」だったのです。

そして、「sexism」という言葉で騒動を論じていますが、その根っこにあるのはRacism」です。

奇しくもヘラルド・サン(オーストラリア)に、たくましい体格で分厚い唇をしたセレーナが全米オープンテニスの試合中に、跳びはねながら壊れたラケットを踏みつけている風刺画が掲載され、人種差別として批判を浴びていますが、もし、セレーナがマイノリティじゃなかったら今回の騒動は起きなかった…。私はそう考えています。

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