職場では人当りもよく周囲に温厚に接している方でも、自分のお子さんに対しては、なぜか頭ごなしに命令してしまいがち、というケースも多いようです。今回の無料メルマガ『親力で決まる子供の将来』では著者で漫画『ドラゴン桜』の指南役としても知られる親野智可等さんが、叱るのではなく言葉の工夫で子どものやる気を引き出すノウハウを、実例を交えて紹介しています。
子どもに言う言葉をちょっと工夫するだけでこんなに違うなんて
東京在住の山崎さん(仮名)に聞いた話。山崎さんの仕事は化粧品の営業です。山崎さんはあるとき、私の講演を聞いてくれました。そして、一番心に残ったのが次の話だそうです。
叱ってすませるのではなく工夫が大事。工夫には方法の工夫と言葉の工夫の2種類がある。親は自分の仕事や趣味ではいろいろな工夫をするけど、子育てになると工夫をしないまま、叱ってすませている。それは親という立場への甘えであり、傲慢さの表れだ。
それを聞いて、山崎さんは自分の6歳の長女に対する態度を反省。というのも、娘に対して毎日叱ってばかりいたからです。
さて、講演が終わって山崎さん帰宅すると、娘がいつも通りにリビングを散らかしていました。しばらく放っておいて様子を見ていましたが、夕食の時間になり、いよいよ片づけさせなくてはなりません。
いつもなら「また出せば出しっぱなしで…。これじゃあ、夕食が食べられないでしょ。どんどん片づけしなきゃダメでしょ」などと叱るところです。でも、この日は別の言い方をしようと決めていました。そこで、まず「いっぱい遊べたね」とほめました。すると、娘さんがにこっと笑って「うん」と言いました。
それから、山崎さんが紙とセロテープでできたお弁当らしきものを持って、「これ、よくできてるね。どうやってつくったの?」と聞くと、娘さんはうれしそうに説明してくれました。
その後で、「じゃあ、夕飯だから。そろそろ片づけようか」と言ったら、「は~い」と言いながら素直に片づけ始めました。それで、山崎さんは驚いて「『先にほめるといい』と親野先生が言っていた通りになった」と思ったそうです。
その日以降も、山崎さんはあの手この手で言葉の工夫に心がけているそうです。山崎さんは「『今日はなんて言おうかな。これを試してみようかな』と考えると楽しくなる」と言っています。
そして、最後に山崎さんはこう言いました。
「親野先生のおっしゃったとおり、仕事である化粧品の営業ではいつも言葉の工夫をしているのに、なんで今まで子どもに言う言葉には何の工夫もしてこなかったんだろう?ちょっと工夫するだけでこんなに違うなんて驚きです」
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