「勉強だけしてればいい」と育てられた子が中学で陥ったある地獄

 

今までいくつもの相談に応じては来ましたが、これは私にとってかなりハードルが高いと感じた内容でした。解決方法は私にも分かりません。でも親が諦めてしまえば子供だって希望を失います。

アドバイスになるかどうかは分かりませんが、こんなお返事をしました。

ミーコさん、こんにちは。パピーいしがみです。メール拝見しました。ご相談内容を拝見した時、どうお返事をしたらよいか、非常に悩みました。正直に言って、お役に立てるかどうかも分かりません。

 

ただ、一つ勘違いをされていたようなのでそこは改めて頂いた方が良いと思います。ミーコさんの言葉に“「苦手な事を無理するより、得意な事を頑張ればいい」は嘘だった”と書かれていましたね。確かに私は「簡単に諦める」ことはお勧めしません。でもあまりにも難しい事や、苦手な事であれば、そこに執着するよりも、自分の得意な事を伸ばした方が良いとは思っています

 

ですが、幼稚園時代の遊びや、小学校低学年の運動などは、決して無謀な要求ではなく、頑張ることで乗り越えられることも多いのですね。私としては、そこは簡単に諦めるのではなく、親が一緒に取り組んで頑張った結果できるようになった♪の経験をしてほしかったな…と思う部分でした。

 

「苦手な事を簡単に諦める」が日常になってしまうと、どんどん可能性が狭まってしまい、子供もチャレンジする気持ちが萎えてしまうので、せめて小学校低学年ぐらいまでは、親と一緒に乗り越えて乗り越えた先に喜びがあると教えてほしかった…と感じた事も確かです。

 

ですが、いまさらそんな事を言ってもどうしようもないし、ミーコさんがとても悩んでおられることも分かります。それに、今、諦めたら、子供は将来の希望を失いかねません。それだけは避けたいし、なんとか元気になって欲しいのは、私も同じ気持ちです。

 

それで、息子さんが落胆してしまい、ミーコさんも落ち込んでいる事は分かりますが、まずミーコさんには「今まで簡単に諦めてしまったのだから、ここだけは諦めずに一緒に乗り越えるんだ!」と意識を持ってほしく思います。子供の落胆と共に、親も肩を落としていれば、一緒に乗り越えるどころか、さらに子供を不安にさせるだけです。こんな時だからこそ、親は元気を出して、子供を励ましてほしいと思うのですね。

 

一番最初にしてほしい事は、まず、しっかり現状把握をする事です。息子さんは「周りが優秀過ぎて、頑張っても付いていけない」と言っていたみたいですが、難関私立中学に入る子供達ですから、優秀な子がいて当たり前です。でも、すべての子どもが上位にいるわけではなく、優秀な子供たちの中でも1番がいれば、最後の子もいる。そこで今、息子さんがどのくらいに位置しているのか?を把握してほしいのですね。

 

今まで勉強を頑張ってきた子ですから、小学校ではきっとトップクラスにいたでしょう。小学校では上位にいたのに、中学に入ったら上位ではなくなった…、それは子供にとっては大きな挫折にも感じるとは思うのですが、あからさまなビリでなければ、「○○中学だもの。小学校とは違うよ(^^)。○○中学で□□位だったら胸張って良いんじゃないの?」って言ってあげてもいいと思うのです。又「あなたが○○中学にいる、って言うだけでお母さんは満足だよ(^^)」なんて言ってあげたら子供も安心するかもしれません。

 

それと、難関中学の先生であれば、息子さんと同じように、自分の成績が思うようにならなくてガッカリしてしまう子供を何人も見てきているとも思いますから、先生に今の息子さんの様子をお話しし、力になってもらう事もできるのでは?と思います。

 

又、もし本当に学校に行けなくなってしまうようであれば、少しレベルの低い学校に編入するという事もできるかもしれませんが、それは最終段階と考えるとして、現段階では「もっと頑張れ」とねじを巻こうとしたり、さらに勉強に負荷を掛けたりするのではなく、良く頑張ったよ」「お母さんは誇らしいよと子供の今までの努力をたたえ、それこそ「卒業できればいいんだ」ぐらいの気持ちで接してあげたらどうだろうか?と思うのですね。そして親だけでなく、学校の先生、塾の先生のお力も借りて、何とか本人の落胆を軽くしてあげるという事が大事だと思うのです。

 

ミーコさんは「たった一つしか残されていなかった勉強でさえ挫折してしまったら、この子はどうなるのか?」と書かれていましたが、まだまだ中学生1年生。今から新しい事を学んだり、習得できる事はたくさんあります。ここで外部との繋がりが途絶えてしまうと、本当に危険だと思いますので、まずはお母さんが明るく振舞い「心配しなくても大丈夫」の姿勢で安心させてあげて欲しいと思いますがいかがでしょうか?

この後、何度かミーコさんとはメールのやり取りをして分かったのですが、ミーコさんは、お子さんの勉強にかなり期待をされていて、子供も強いプレッシャーを感じていたそうです。お聞きしてみると、息子さんの順位は、上位1/3には入っているらしく、もし私だったら「すごいじゃん♪」と拍手したいぐらいだったのですが、ミーコさんとしては「もっと上に行ける」「もっと頑張れるはず」と、喜ぶどころか、さらなる高みを望んでおられたようです。

ですから私が提案した「○○中学だもの。小学校とは違うよ(^^)。○○中学で□□位だったら胸張って良いんじゃないの?」や「あなたが○○中学にいる、って言うだけでお母さんは満足だよ(^^)」の言葉は考えたことも無く、とても驚いた…と言われていました。

ですが、お子さんが「どんなに勉強しても僕にはムリ」「学校にいけない」「塾もやめたい」と言い出し、このまま不登校になってしまうかもしれない…となった事で、やっとご自分が子供に与えていたプレッシャーが原因だったのだ、という事がお分かりになったそうです。

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