米の“オオカミ少年”国務長官「ロシアが来る」「中国も危険」にかき回される世界

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かつてないほどの軍事的緊張の高まりを見せていると報じられる、ウクライナを巡る情勢。いつロシアがウクライナに侵攻してもおかしくないと伝えるメディアも多数ありますが、もはや軍事衝突は避けられないのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、現時点でのロシアによる全面軍事侵攻などありえないとし、その判断理由を解説。さらに2014年に自らが「ウクライナ騒乱」を詳細に分析した記事を再掲し、同国および周辺地域でアメリカが何をしてきたかを明らかにしています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2022年1月31日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

ブリンケンは「ロシアが来るぞ」「中国も危ない」と騒ぐだけのオオカミ少年/米国は落ち着いた外交を取り戻さないと

ブリンケン米国務長官は国際政治のイロハも知らない単なるガキで、ロシアが明日にでもウクライナに侵攻を始めるかもしれないとか、ベラルーシ経由だと侵入しやすいだろうとか、何の根拠も示さずにペラペラと口先介入して、ご本人としてはそれがロシアに対する牽制になっていると思っているのかもしれないが、いざ本当にロシア軍が侵攻したら米国が本格的に軍隊を投入してウクライナを防衛するつもりなどないことは分かりきっているので、これは馬鹿げた一人芝居である。

このブリンケンに言動に誰よりも迷惑しているのは、当のウクライナで、同国のゼレンスキー大統領は28日、キエフで記者会見し、

▼報道機関そのものがパニックを作り出しており、尊敬される複数の国家指導者でさえ、明日にも戦争になると言ってくる。これはパニックだ。そのせいで我々の国家にどれほどの犠牲を払えというのか。

▼ロシアはウクライナを攻撃する計画はないと主張している。28日には、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相が同国は戦争を望んでいないと発言した。ロシアはウクライナ国境付近に約10万人規模の部隊を動員しているが、昨春に同様の部隊が集結した時以上の脅威ではない様子だ。国内情勢の不安定化こそがウクライナにとって最大の脅威だ。

▼米国や英国などが一部の大使館職員を退避させているが、外交官は船長のようなもので、沈んでいく船から最後に離れるべきだ。ウクライナはタイタニック号ではないが。

と語った(1月29日付BBCニュース)。その通りで、私もゼレンスキー大統領やラブロフ露外相と同様、ロシアが全面軍事侵攻してウクライナ全土が戦場と化す現実的な危険など、現時点で存在しないと判断する。なのになぜロシアがウクライナとの国境に軍隊を集結させているかと言えば、それはロシアが公言している通り、

  1. ウクライナをNATOに加盟させないこと
  2. NATOは東欧での軍事活動を終了し、ポーランドとバルト3国のエストニア、ラトヴィア、リトアニアから部隊を撤退させること
  3. NATOはロシアに近い国やロシアと国境を接する国にミサイルを配備しないこと

について外交交渉を求めるためである。

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