今回の判決は
1.部活顧問の体罰があったこと
2.不登校になり自傷行為まで発生していたにもかかわらず重大事態として調査しなかったこと
3.校長や教頭、顧問教諭が、保護者会等で「いじめがなかった」等と事実とは違う発言をしたこと
以上の3点において市側の違法を認めています。
被害者側弁護士は「いじめ防止対策推進法が規定する重大事態の調査を行わなかったことを違法と明言した判決は全国で初めてのケース」と述べています
埼玉新聞によると被害者側弁護士が、「教員のいじめではないという発言が国家賠償法上で違法行為であると明言したことも、初めてだと思う。いじめがあるかないか分からない段階で教員が安易にいじめではないと言うのは許されない。問題になっているケースが多いだけに影響が大きい判決だ」と指摘しています。
被害者もコメントを公表しています。
「ぼくはいじめられた時、(顧問の)先生や校長先生、教育委員会は絶対に助けてくれると思っていました…」
子どもにこんなことを言わせるような教育者がいるのです。ここまで言われても、根本的には「悪い」と感じていないように見えます。
なぜなら、文春オンラインの記事を読むと、1月4日には判決が確定し、その2日後、教育長や当時の校長ら7人が被害者宅を訪れて謝罪したといいます。
教育長は「本日は謝罪をしにきました。裁判の判決は、教育委員会として真摯に重く受け止めています。これまでの長い間、心身ともに相当なご負担をかけた上に、大切な中学校生活が悲しみ、苦しみの時間になってしまったこと、まずもって心よりお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。また、『学校や市教委が嘘をついた』と言っていましたが、このことについて真摯に受け止め、もっと丁寧に配慮をしなければならなかったと反省をしております」と謝罪したとあります。
これに対して被害者本人は、用意した文書を読み上げて質問をしたと掲載されています。それによると
・「校長や市教委は、なんで文科省や埼玉県教委に、『僕と話していない』とか『僕に会えていない』とか、うそばかり報告をしていたんですか?」
・「松崎校長や顧問の先生は、なんで保護者会で、僕が何をされたとか、本当のことを言わなかったんですか?僕は、みんなから、“いじめられたって嘘をついて休んでいる”とか言われました。だから、僕はともだちがみんないなくなりました」
・「僕の記録も嘘ばかりですけど、いつになったらちゃんと直してくれるんですか?」
これらの訴えに対しても具体的に答えることはなかったというのです。悔しいですね。こんな対応しかできないのが川口市の現状だと思います。
控訴せずに今回の判決を受け入れたことは多少の評価しても良いと思いますが、裁判において頑なにいじめであることを認めず、顧問による体罰も否定するという姿勢からは、「嘘を突き通せば裁判に勝てる」という身勝手な自己主張しか伝わってきません。
保護者としては、学校を信じているからこそ、子供を預けているのに、川口市は守ってくれない、それどころか「いじめはなかった」と裁判で戦い続けたのです。
「嘘をついてはいけない」、この当たり前ことさえできない学校関係者、このような方たちを教育者と認めることは到底できません。
やはり、国として、教師による「いじめ」や「隠蔽行為」について明文化すべきです。大人が行う「いじめ」は、犯罪行為ではあるのは当然なのですが、「いじめ防止対策推進法」に明記されていないことを理由に学校が対応しないことがあるのです。