傍観者も加害者同然。いじめ被害の女子高生が語った悲痛な胸の内

 

A子さんの心境

A子さんはリモートで私に、こう言った。

「学校には行きたいという気持ちはあります。修学旅行も参加したいし、文化祭などの行事もできれば出たい。けれど、普段休んでいるのに、そういうときだけ来るのかという目で見られるのではないかと思うと怖いです」

――加害者についてはどういう思いがありますか?

「そういうつもりではなかったけど、そんなに苦しんでいるならごめんなさい。という言葉を、先生を通じて聞きましたが、全く反省していないことは知っているし、もうすでに後輩の子をいじめているのも知っています。そういうつもりではなかったと言うなら、どういうつもりだったの?と聞きたいですが、もう関わりたくないという気持ちが強いです」

――顧問の先生にはどういう思いがありますか?

「先生の中でも偉い人みたいで、上から発言ばかりでしたが、いじめられているのを知っていて、どうして止めてくれなかったのか、すごく不思議です。正直なところ、先生の態度や言葉で、絶望を感じましたし、それが一番辛かったと思っています」

A子さんとの会話で最も重かった言葉は、「被害者という立場になって、被害者と呼ばれることに抵抗が少しあります。なんだか可哀想な人みたいな感じで、自分がみじめに思えたりするので…」という複雑な心境を言葉にしてくれたのは印象的であった。

また、「被害者とか加害者でいうと、何もしなかったという傍観者の人たちについてですが、私からすれば、何もしないは無関係じゃなくて、加害者に協力したように見えています。加害者の言葉ではないのですが、そういうつもりではなかったというのはわかるのですが、助けてほしかったという思いがあります」という正直な言葉は、いじめ対応の根幹に影響する被害者の多くが感じる率直な言葉だろう。

A子さんはその症状から学校に行くことはまだ難しいが、回復プログラムを受けはじめ、少しづつ回復して、色々話も聞くことができるようになった。

学校は、自分たちが配慮したおかげで回復してきたと思っているような対応をしていたが、そうした学習の配慮は当然のことであって、回復途中ではあるが、そこまでのプロセスは、A子さん本人と保護者の努力と負担によるものが主だと言える。

さらに、この先の大学進学に向けて頑張りたいという目標を聴くことができた(本人の意向で目標は秘密です)ので、目標に向けて進んでいってもらいたい。

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