「タトゥー差別禁止法案」が提出されたNY、温泉にも入れない日本。“意識の違い”はどこにあるのか

Back tattoo of a woman
 

今年の春、地元に帰省した際、幼なじみのおっさん5人組で近所の温泉に行きました。みんなで入浴していると、スタッフの若い男性がわざわざ浴場に入ってきて「申し訳ございません」と頭を下げてきます。次の瞬間ピンときました。「そーいえば、ここニッポンだった」。スタッフの彼が僕の腕のタトゥーを知る由もない。つまりは他の客からの報告です。日本だと、まずサウナやスパが入れない。仕方ない。その国それぞれの事情がある。日本だと歴史的にも、どうしても反社会的なイメージがあります。出口のカウンターで、女性スタッフに「イレズミがあるお客様は明日の朝の入浴も禁止になっておりまして…」と申し訳なさそうに言われます。数ヶ月前から楽しみにしていた幼なじみとの温泉旅行、僕だけここで終了です。「あ、でも、絆創膏で隠したら、大丈夫だよね」そう粘る僕に「はい。でも、アタクシがもう見ちゃったので」とニッコリ。明日の朝番も彼女なのか。

そんな日本と比べると、小学校の先生も市警官もみんなファッションとして入れているタトゥーに、偏見をもっているニューヨーカーは皆無かと思っていました。

だとして、日常生活でタトゥーに見慣れていても、実際に、部屋を貸す大家、サービス業の面接などでは、やはり差別されるシーンがこの街にもあったのだということです。

法案を提出した民主党のショーン・アブレウ議員は「あらゆる差別を拒否しなければならない。タトゥーのあるニューヨーカーも例外ではない。彼らを保護しなければならない」と語りました。保護…、全身タトゥーだらけのドクロやら十字架を彫ったいかついおっさんを保護っていうのも少しおかしな気もしますが、確かに必要な法案です。

タトゥーに限りません。イメージから入っちゃうこと自体が差別の始まりになります。ここからが本題になります。

差別をテーマにしてコラムを書くと、日本の読者はピンとこないかもしれません。差別に限らない。なんであれ、イメージ優先で物事を決めてしまう傾向はそれ自体がダサいことになりかねない。

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