「タトゥー差別禁止法案」が提出されたNY、温泉にも入れない日本。“意識の違い”はどこにあるのか

Back tattoo of a woman
 

日本にいる頃、僕は専門学校の講師をしていました。その学校の職員室は昔ながらの体質や思考にずっぽり埋もれていた。職員室自体の空気がそうだったので、無意識に講師陣一同、見えない無意味な秩序の元で働いていたと今振り返って思います。

体験入学に来る高校生くんに向けて、各教科の先生を紹介するイラスト集を作成したことがあります。マンガちっくなイラストで、先生の似顔絵、特技、趣味などをカジュアルにおもしろおかしく書く営業ツールでした。そこそこイラストを描くのが得意だった僕が任されたのですが、ある女性講師の紹介ページで、「趣味:ワイン、ワイナリー巡り」と書くと、職員室一同満場一致で「反対」でした。職員会議は開かれたほどでした(笑)。これ、実話です。

どうして?まったく(今でも)理由がわからない。講師紹介の趣味欄に「ワイン」がなぜNGなのか。会議で聞いても、誰も明確な答えをくれません。「いやぁ、、なんかさ、、高校生が読むから…、お酒ってねぇ~」「???」書かれた当の先生も決して嫌がってない。彼女が自他共に認めるワイン通なのは事実で周囲も知っている。酒癖が悪いわけでもない。お酒で失敗した過去もない。成人女性の趣味がワイナリー巡 りのどこが不謹慎なのか。競馬やパチンコなどの公営ギャンブルすら、趣味欄に書くことにまったく問題がないと思っている僕は「休日、ワインをたしなみます」という文言のどこが気に入らないのかさっぱりでした。20年経った、今でも、です。なによりそれを読む高校生もなんとも思ってない。お酒イコール悪い、そんなイメージなのかな。結果「趣味:読書」という当たり障りのない紹介メモが誕生しました。最初から作る必要もなかった。

体験入学では、ある先生が「業界の著名人を呼んで、しっかりしたイベントにして、高校生から入場料をとりましょう」と発言した際、その先生は職員室中から針の筵(ムシロ)のように責められまくりました。「高校生からお金をとるなんて、ありえない!教育者として非道だ!」と言われていました。

なんで?500円だよ?学食のパンは、あれ無料で配るの?パンは金取っていいけど、イベントはダメなの?非道(笑)なの?とにかく今、振り返っても、バカの集合体でした。イメージだけを優先して、本質を見過ごすいい例だと思います。

ちょっと太っているだけで、まったく野球のセンスもないのに、キャッチャーにさせられた友人は逆に苦痛そうでした。親が考古学者だったおさななじみは、まったく勉強もできないくせに、小学校の担任に「デキる」扱いされて、無理して秀才を装っていた気がします。彼は、周囲が親の職業を知る由もない高校で落ちぶれてしまい、現在、無職です。

かなりタトゥーの話からかなり逸脱してしまいましたが(笑)タトゥーに限らず、イメージ優先で人を判断するのを今日限りやめましょう。

腕に彫られた虎も蝶々も、その人の「何」を表しているわけじゃない。

(メルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』2022年10月16日号より一部抜粋。続きはご登録の上、お楽しみください。初月無料です)

この記事の著者・高橋克明さんのメルマガ

初月無料で読む

image by: Shutterstock.com

高橋克明この著者の記事一覧

全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明 』

【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

print
いま読まれてます

  • 「タトゥー差別禁止法案」が提出されたNY、温泉にも入れない日本。“意識の違い”はどこにあるのか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け