いじめ探偵が伝授。いじめられている子供が出す判りやすい「3つのサイン」

 

2.うわの空になって対立しやすくなる

1と同様、文科省のこどもの自死の要因の発表によると、「親子の不和」などが多くな要因の一つとされているが、これもいじめを受けたときによくあらわれる症状なのだ。

大なり小なりいじめを受けると、被害者は心身の苦痛を感じることになる。忘れ物が多くなったり、ケアレスミスが多くなり、二重三重にストレス過多の状態になる。

大人でもブラック企業やブラック上司の部下になると、心の余裕がなくなって、イライラしやすくなったりするものだ。

親はこうした子どもの様子を特になにも思いあたることが無ければ、注意したりするのだが、被害を受けている子どもの方は、心に余裕もなければ、どうせ親に相談しても解決できないでしょと思ったりして反抗的な態度に出やすくなる。

こうした積み重ねで、親子間の対立が起きたり、親からの叱責などと言うことが起きやすくなるわけだ。

3.友達の名前を言わなくなる

例えば、子どもが遊びいくときや部活などで出かけるとき、「〇〇ちゃんと遊びに行ってくる」など具体的に名前をいう。

しかし、いじめがあると。加害者の名前は既にそれだけでストレスなのだ。だから、被害を受けている子は「〇〇ちゃん」という単語をストレス回避から自然に言わなくなるのだ。

確かにもともと言わない子もいるから、これだけで、いじめを受けているとは言えないが、いじめの多くは普段コミュニケーションを取っている相手から受けるというのが大半だから、普段との差として、名前を濁したり言わなくなったら、要注意なのだ。

よく観察するより差をみつける

いじめを受けた人の特徴を示す記事ではよく「よく観察する」「よくコミュニケーションを取る」とあるが、これは、大きくみれば正解だが、細かくみれば不正解なのだ。

例えば、「暗くなる」「考え事をするようになる」という特徴を示している場合、そもそもで「暗い子」もいれば「よく考え事をする子」もいるわけで、そういう子がそもそもいじめられているかと言えば、そうではないのである。

つまり、「よく観察する」というのは、「普段との差」の大きさを見ればいいのだ。

普段明るい子が親に心配させまいと普段通り「明るく」振る舞う。しかし、気持ちを立て直す時間を要するから、トイレに入ったりお風呂に入ったり、自室にいる時間がいつもより長くなる。学校から帰る時間がいつもより遅くなるなど、気持ちを立て直すのに必要な時間を使う必要がでてくるのだ。

また、「よくコミュニケーションを取る」と聞くと、何かを話さなければと思うだろう。

しかし、私が被害を受けた子どもから直接被害について、まだ誰にも話していない内容を聞き出せるときは、いじめの話をしているときではなく、漫画やアニメの話をしているときや、とにかく弱いゲームで対戦しているときだ。

現役教員でいじめ対応をしている先生や同じような活動をしている人たちも、これについては同様の体験をしていることから、別の事をしていて、何か心の澱がほどけて、「実はこういうこともされたんだ」と話してしまう。

大人でも何かの仕事のアイディアとかが、会社の会議ではなく、会議の後のブレイク中とか、帰宅してお風呂に入っていたら突然降りてくるということがあるだろう。

それと似たような現象なのではないだろうか。

つまり、同じ時間を同じ空間で、なるべく多い回数、なるべく長い時間過ごすことで、いじめの事を聞き出すことができる可能性が高くなる。

ちょうど夏休み、海に行ったりお盆の帰省、旅行など、同じ時間同じ空間で親子が過ごすことが多くなるだろうから、こどもが何かを話し始めたら、話しやすいように相槌を入れるようにすると良いだろう。

各統計によれば、夏休み明けの直前、こどもの自死は極端に増える。

政治も経済も国際情勢や災害、報道など明るい出来事がほとんどなく、将来が霧の中という現在の日本という環境から、自死自体が増えているということもあろう。

命はリセットできない。一回限り。

これ以上、悲しい事件が起きないように。

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