プーチンが辿る「ヒトラーが歩んだ道」。ついにナチスと同じ作戦に出た露軍

 

ロシアの状況

追加の動員ができないことで契約兵主体で募集をしているが、2019年の時点では、典型的な契約兵には兵役経験があることが前提で、額面で月3万8,000~4万2,000ルーブル(約5万6,000~6万2,000円)の給与をもらっていた。死亡した場合、その家族は300万ルーブル(約445万円)の補償金を受け取ることができた。当時のロシアの平均給与が月4万7,500ルーブルであった。

しかし、今は、2022年末の契約兵になると、待遇はまったく違って、給与は月19万5,000ルーブル(約29万円、平均給与の3倍以上)で、さらに兵士が死亡した場合には、大統領一時金だけで500万ルーブル(約740万円)が支給される。それ以外に兵士の家族は保険金を受け取る。その金額は296万8,000ルーブル以上だ。

ということで、現在のロシアにおける戦死は「名誉ある運命」であるだけでなく、自らの命を「有益」に失うことでもあるのだ。

このように、ロシア兵の待遇は良いが、給与が支払われていればの話になる。

事実は、給与は約束の3分の1以下であり、行方不明として戦死一時金も支払われないようである。しかし、今でも、このうまい話に乗る貧しいロシアの人たちがいるようである。

もう1つ、ロシア周辺国の移民たちである。この移民たちを強制的に契約させている。兵員は無限にいると思っている。

そのため、ロストフの飛行場では、飛行機から負傷兵が降ろされて、滑走路に寝かされている。受入先のモスクワの軍病院から受入れを拒否されたようだ。クピャンスクや南部ザポリージャ州戦線での負傷兵が多く、多くの病院が受け入れできない状態になっているという。ロ軍兵は、死を前提とした消耗品扱いである。

それでも、この戦争の戦費は、ロシア経済に大きな重しとなって、ルーブルが通貨安になっている。それによるインフレも起きている。

最低でも2024年3月までは、今の状態を続ける必要がある。その後は、総動員法を発令する必要になるが、それまでは、占領した領土を保持する事だと思うが、ロ軍は大攻勢をかけてくる。ロシアの世界第2の超大国としての意地やプーチンの妄想がそうさせているようだ。

カディロフは、「我軍はウ軍より100%優れている。なぜ交渉するんだ。奴らをやっつけるんだ、それで終わりだ」と、キーウとの交渉に断固反対している。これは、プーチンの意見でもあるようだ。

もう1つが、ウ軍に叩かれている弾薬や軍装備の不足がある。ロ軍はカザフスタンからロシアに軍事装備を移している。ロシアのトラックが戦車、ミサイル、半導体、マイクロチップ、その他の物資をロシアに向けて輸送している様子が映っている。物資をかき集めていることがわかる。北朝鮮やイランからの兵器だけではなく、ロシア周辺諸国からも、かき集めている。

その証拠として、ブリヤート地方最大の軍用装備の保管基地として知られるヴァグジャノヴォでは、古いソ連製戦車と装甲兵員輸送車の40%以上が倉庫から運び出され、残る60%は装備がほとんどない状態のもので、すぐには使用できないことで、兵器の不足が出ているのがわかる。

さあ、どうなりますか?

(『国際戦略コラム有料版』2023年8月14日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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