プーチンが辿る「ヒトラーが歩んだ道」。ついにナチスと同じ作戦に出た露軍

 

ウクライナの状況

現在のウ軍および準軍事組織は111個旅団および143個独立大隊で構成され、人員は60万人であり、さらに50万人、32個旅団が訓練中とのことであり、ロ軍に比べて3倍以上の人員である。

そして、ゼレンスキー大統領は、多くの責任者が不正をしているとして、徴兵の責任者である軍事委員会のトップをすべての州で解任するとし、前線の戦いで負傷したウ将兵を割り当てるとした。

この情勢で、サウジアラビアでの和平会議で、領土一体性の原則が合意されたようであり、中国もその原則を支持したというが、合意文書もなく、声明も発表されなかった。

それと、米国元高官とロシアの有力者やラブロフ外相は、月2回のペースで協議を続けている。この中でロシアはクリミアを失うことになったら、核を使うと述べているようである。

米国から、その情報を提供されて、ウクライナ側も和平交渉をおこなうことには合意したが、ゼレンスキー大統領は「ロシアと対話する用意はあるが、プーチンとは行わない」という。

もう1つが、最新の世論調査結果で、ウクライナに対する軍事援助などについて、米国民の55%が連邦議会はさらなる資金援助を提供すべきではないとし、逆の意見は45%であった。トランフ氏の主張が米国民に影響していることがわかる。

これに対して、バイデン政権は、ウクライナへの追加軍事援助131億ドルを議会に要請し、また、経済・人道支援に85億ドルを追加要求している。この要求に議会がどう出るかが見ものである。

ということで、米国も世界の秩序安定のためより、自国民優先となり、米国の覇権も終了することになり、世界秩序安定の仕組みを日欧で作る必要がある。日本も周辺事態への関与を米国から求められるし、米国は台湾戦争時に駆けつけない可能性もある。

その上、EUやNATO加盟欧州諸国の政治家たちは、すでにトランプ再選は織り込み済みで、2025年1月就任後のトランプ政権の外交への対応を検討し始めている。特にドイツは対ロ政策で弱腰になっている。

米国でもウクライナへの支援は、恐らく、2025年1月以降はできなくなると見た方が良いかもしれない。そこまでに、ウ軍はどこまで領土を奪還できるかということになる。徐々に米国民の感覚は大きく変化しているようだ。

米国は、日本にウ軍への武器援助を要請するが、時事通信の8月世論調査でも、防衛装備品の輸出ルール緩和を巡り、殺傷能力のある武器輸出を認めることへの賛否を尋ねたところ、「反対」が60.4%に上り、「賛成」の16.5%を大きく上回った。「どちらとも言えない・分からない」は23.1%となり、時期尚早のようである。

このため、ウ軍も急ぐ必要になっている。秋が来ると泥濘になり、装甲車の移動が困難になる。

そして、ウ軍パイロット6名は来年夏までしかF-16の訓練を完了できない見込みだという。このため、F-16の供与も2024年夏以降になるということである。早期のF-16供与は期待しない方が良い。

米国防省も、現在、月産約2万4,000発の155ミリ砲弾を来年からは月産8万発に増産する予定であり、ウ軍への供与量を増やすことになる。しかし、現在、ウ軍は毎日8,000発を使っているので、全然足りないが、西側全体の砲弾の生産量が少なすぎである。今は備蓄分を出しているが、それも尽きる可能性がある。

どちらにしても、2024年末までには、和平交渉になると見ておくことが必要であろう。

穀物輸出について、ウ海軍は黒海で民間の船舶が航行出来る暫定的な海上回廊を設置した。ウクライナ産穀物輸出協定からロシアが先月離脱したことを受けた措置で、ウ海軍は、「この暫定的な回廊を通じ商船はウクライナの港湾への出入りが可能」との通達を出した。

トルコ海軍が、この回廊を守る意向があれば、よりよいと思うが、トルコの状況は分からない。

そして、ロシアが及ぼす軍事的な脅威や機雷の危険性は全ての航路沿いに存在し続けているとして、ロシアとの合意はない回廊であるとした。ロ海軍が出てきたら、水上ドローンやハープン・対艦ミサイルでロ軍軍艦を攻撃するようだ。

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