イーロン・マスクに直接掛け合うしかないか。X(旧Twitter)の「なりすまし広告詐欺」に名前を使われた私が経験した一部始終

 

もはや通じぬ「ただ場を提供しているだけ」という言い訳

しかし、それでもX側のアクションは何もなくて、なりすましアカウントが放置されたまま数日経過したので、あらためてXのヘルプセンターが機能していないことをポストすると同時に、かつて旧ツイッターで働いていた知り合いにSOSを出したところ、彼が現役のXの社員とやり取りしてくれて、ブロックされていても、なりすましアカウントのプルダウンメニューから直接通報できることを教えてくれました。確かにそちらは見落としていたので、あらためてその通報手順を試してみたところ、前回リプライポストからの通報でたどったのと同じプロセスをたどるのですが、デッドロックになった3ステップ目で、前回は出てこなかった以下のような表示が出てきました。

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今は、こちらの手順に従って、公的身分証明書の写真と自撮り写真を送って結果を待っているところです。

無事になりすましアカウントが削除されるか凍結されればよいのですが、これでも放置されるようであれば、@elonmuskに直接掛け合うしかないのかもしれません(笑)。

周知の通り、イーロン・マスクが旧ツイッターを買収した直後、世界的に大量解雇が行われたので、部署によっては機能停止に陥っているところもあるのだろうと想像しています。イーロン・マスクの性格や新たな運用方針から想像して、ヘルプセンターを重視しているとはとても思えません。

さらに、往々にして外資の日本法人には大した権限が与えられていないので、このような作業一つとっても機能不全に加えて権限の問題でなかなかスピーディな処理ができない状態になっているのかと思います。これはXに限った話ではなく、フェイスブック(メタ)でも同様です。

かつてSNSプラットフォーマーの言い訳に「自分たちはただ場を提供しているだけ。そこで発信されるコンテンツの中味には立ち入らない」というものがありました。しかしながら、Xにしてもフェイスブックにしても、今や世界で億人単位、二桁億人単位のユーザーが付いて大きな影響力を持つに至っているわけですし、詐欺広告などでは広告収入も得ているわけですから、もはやこの言い訳は全く通用しません。会社の最優先事項として、なりすましや詐欺広告への対応を急ぐのが本来あるべき姿でしょうしこのような企業の社会的責務でしょう。しかも、その優先順位は世界共通にすべきで、国ごとに格差が発生することも許されないことだと思います。フェイスブックでは、米国での被害への対応と比較して、日本での対応は遅々としており、明らかに対応に格差があります。

流行りのなりすまし被害の当事者に自分もなってしまったので、今回は取り急ぎその件について報告させていただきました。

*以上、書き終わったところで、なりすましアカウントが無事削除された旨、連絡がありました。やれやれ…。

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辻野 晃一郎(つじの・こういちろう):福岡県生まれ新潟県育ち。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了しソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社しアレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長。また、2022年6月よりSMBC日興証券社外取締役。

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【著者】 辻野晃一郎 【月額】 ¥880/月(税込) 【発行周期】 毎週 金曜日 発行

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