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退職金を投資で溶かすパターン2つ。「初心者でも安全」謳う金融商品に落とし穴=川畑明美

日経平均株価が30年ぶり高値圏にある今、退職金を投資して運用するのにもう遅いのではないかと心配される方がいます。投資するのに遅いということはありませんが、投資する資金の大きさは慎重になる必要があります。とくに金融機関のお勧め通りに投資するのは危険です。(『教育貧困にならないために』川畑明美)

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プロフィール:川畑明美(かわばた あけみ)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2,000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。

今から投資するのは遅い?

日経平均株価が30年ぶり高値圏にある今、これから投資を始めようとする方によく聞かれるのが、「もう投資をするのは遅いですか?」というご質問です。

私が独立起業したのは2014年でしたが、その頃も「こんなに日経平均株価が上がって、今からでは遅いですか?」と言われることも多かったです。

日経平均株価 月足(SBI証券提供)

日経平均株価 月足(SBI証券提供)

日経平均株価が上昇したのは一部の構成銘柄が高騰したからです。個別の株ではまだ出遅れている銘柄もあります。

遅いということはありません。

退職金を一気に注ぎ込むのは危険

ただし、大きな資金を一括で投資するのはお勧めできません。

近頃のご相談で多いのは、退職金を運用してマイナスになってしまった…というものです。

最近の金融機関が退職金の運用として勧めている傾向は、バランス型の投資信託と、先進国債券の投資信託を一括購入するパターンです。

ひと昔前のように手数料の高い投資信託を売りつけるよりはマシですが、先進国債券の投資信託がマイナスになって心配で相談にいらっしゃるのです。

為替の影響を考えていない人が多い

債券と株式の両方を保有しているバランス型の投資信託に、なぜ先進国債券の投資信託を抱き合わせて買わせるのか、かなり疑問に思うのですが…。

予想するには「安全に運用したい」とご相談されているからだと思います。「安全性を高く」というオーダーを受けて、先進国債券の投資信託をお勧めしたのでしょう。

ですが、今はどちらかというと円安の傾向です。外貨建ての資産は円高の時に購入すると安く買えます。ドル円が110円の時に購入して105円になってしまえば、購入した先進国債券は値下がりします。

海外旅行に行く時にも、為替は気にしますよね?

なので、そこまで難しい判断ではないはずです。それなのに、なぜ円安の時に一括で先進国債券の投資信託を購入してしまうのでしょうか。

冷静に考えれば、お勧めした担当者は何も考えずに、マニュアル通りに「安全性が高い=先進国債券」と考えてお勧めしたのだと思うのです。

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