Amazonも囲い込みで天下を獲った
現在、全世界のネットショッピングを支配しているのはAmazonだが、このAmazonもまた最初に莫大な現金をすべて設備投資に費やしてデファクト・スタンダードを取りに行った企業である。
利益よりも拡張を追求し、他社が絶対に追いついてこれないほどのスケールで設備投資して最初に優位なポジションを手に入れてから、次々とサービスを展開させてユーザーの「囲い込み」をする。
利益を積み上げていくのではなく、採算度外視でシェアを取ってから、後で利益を上げるという戦略だ。この「後で利益を上げる」という戦略のコアになっているのが、まさに「デファクト・スタンダード戦略」なのである。
Googleも検索の分野で、そしてFacebookもまたSNSの分野で、シェアを取ってからユーザーを強力に囲い込み、あとで利益を享受するという「デファクト・スタンダードを取りに行く戦略」をそのままなぞっている。
「囲い込み」というビジネスモデルは崩壊するか?
デファクト・スタンダードでユーザーを囲い込み、さまざまな製品やサービスを提供し、サードパーティでも多種多様な製品が出てきてエコシステムが生まれると、ユーザーの囲い込みはますます強固なものになっていく。
その状態を確立した後は、製品価格を少しずつ引き上げていっても、サービスを改悪しても、ユーザーはもはや逃げることもない。逃げようとしても、すでにどっぷりと囲い込みの中にいるので逃げられないというのが現実だ。
アメリカのハイテク企業はこの「デファクト・スタンダードによる囲い込み」を多用している。これがアメリカ企業の支配の源泉である。
Microsoftが成功させた「デファクト・スタンダードによる囲い込み」の空前の成功は、それこそが富の独占になることを世界に知らしめ、そして最も効果的なビジネスモデルとしてアメリカの超巨大ハイテク企業に踏襲されていった。
しかし、この「囲い込み」の戦略はあまりにも効率的にハイテク産業で機能するようになっているので、いよいよ「巨大ハイテク産業が、中央集権的に世界を支配するのは正しいことなのか?」という声があちこちから上がるようにもなっている。
人々はふと選択の自由がないことに気付き、疑問を感じるようになっているのだ。