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またも封殺される日本企業。ゲーム業界をも「囲い込む」マイクロソフトのデファクト・スタンダード戦略=鈴木傾城

最初に優位なポジションを取って囲い込みを行う

世界中のオフィスでWindowsが最初に取り入れられて、それが事実上の標準(デファクト・スタンダード)と化すると、人々は圧倒的なユーザーを抱えたWindowsを覚えるのが自分の仕事の経歴に役立つと考えるようになっていった。

AppleのMacintoshやIBMのOS/2のような「誰も使っていないOS」を使うのは汎用性がなかったし、どこでも役立つわけでもなかったからだ。

いくらMacintoshがWindowsよりも優れていると思っても、オフィスがWindowsであればWindowsが使える方が単純に有利だったのだ。

Microsoftは最初に優位なポジションを取ったことで、人々を「囲い込む」ことが可能になり、それがさらに次のビジネスにもつながっていった。それが「WS-Word」や「Excel」と言ったオフィス・シリーズである。

Windowsで囲い込み、そこからワープロや表計算といった仕事で欠かせないソフトを提供することで、Microsoftはさらなる「囲い込み」を成し遂げた。

人気があるためにMicrosoftの出すワープロや表計算が標準になると、今度は他社との互換性を維持するためにすべての企業がそれを使わざるを得なくなったのだ。

たとえ、WS-Wordよりもワードパーフェクトや一太郎と言った製品の方が機能的にも優れているとしても、世の中の標準がMicrosoftのオフィス製品となった以上は、その囲い込みの中に入らないとビジネスすらもできなくなってしまった。

会社でも個人でも、みんなMicrosoft製品を使うようになると、もはや他社の製品の性能がいくら素晴らしくても決してMicrosoftのシェアを崩せない。「囲い込み」は、以後のハイテク産業の最重要戦略として現在も機能している。

囲い込みに成功したらあとは儲かるだけ

いったん「囲い込み」に成功したら、他社が単体的に見るといかに優れた機能の製品を出しても、ユーザーはそれだけで移行しない。世間一般がデファクト・スタンダードの製品を使っている限り、そこからの逸脱にはリスクを伴うからだ。

AppleはパソコンのOS戦争に敗れて次第に市場から捨てられていき、1997年にはついに破綻寸前にまで追い込まれる事態になったのはよく知られている事実だ。

このAppleを復活させたのは帰って来た創業者であるスディーブ・ジョブズだが、ジョブズはすでにMicrosoftが囲い込んだパソコン市場から離れ、iPodやiPhoneという未知の市場を開拓した。

そして、Microsoftが使った「最初にポジションを取って優位性を手に入れて、ユーザーを囲い込む」という戦略をスマートフォンの分野で徹底的に推し進め、iPhoneの中で様々なサービスを推し進めて「囲い込み」に余念がない。

Next: Amazonも囲い込みで天下を獲った。このビジネスモデルは崩壊するか?

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