経済の悪化が進んでいる。金融防衛ができるかできないか、それが今年の課題である。すでにガソリン価格の上昇や物価の上昇に悲鳴を上げている人が増えてきた。これから不景気がもっと深まっていくと、とんでもない惨状が広がっていく。ぼんやりしている場合ではないのである。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。
国家の指導者が愚かであれば堕ちるのも一瞬である
ロシアはプーチン大統領が無謀な侵略をウクライナに仕掛けたために一瞬にして世界から、SWIFTからの排除、預金封鎖、株式売買禁止、海外資産凍結、半導体輸出規制、ロシア航空機の領空通過禁止……と強力な経済制裁をされた。
これによって通貨ルーブルの価値はあっと言う間に喪失して、刻一刻と紙くずとなっている。すでにルーブルと他通貨のエクスチェンジは拒絶されているので、ルーブルで貯金し、ルーブルで収入を得ていたロシア人はみんな資産ゼロと同様になってしまった。
ロシアはこれまで経済が順調だったのだが、国家の指導者が愚かであれば堕ちるのも一瞬であることを世の中の人々は知ることになった。侵略されたウクライナ人も悲惨だが、間違った指導者を抱えたロシア人も悲惨なのである。
これは今に始まったことではない。
国や社会全体が苦難に落ちると国民も一緒に苦難に落ちる。グローバル化の中で国や社会がいったん悪化すると、国債は売り飛ばされ、通貨も見捨てられるので、貯金していたとしても通貨価値の下落と共に自分の資産価値が減少してしまう。
政府は財政悪化に見舞われるので、苦し紛れに社会保障費をどんどん削り、その上に税金をどんどん上げていく。
国が社会保障費を削って税金を上げるようなことをすると、内需は停滞してより自国企業は売り上げを落として利益を減らす。すると、どうなるのか。企業は一定の利益を確保するために従業員を切り捨てるようになる。
そして、不況と停滞は国を覆い尽くすことになり、国は負のスパイラルに巻き込まれていく。ロシアはこの方向に突っ走っているのである。
どんなに大きな資産を持っていても慰めにもならない
コロナ禍で全世界の中央銀行は金融緩和を繰り広げて自国の経済を支えたのだが、今度はその金融緩和がインフレを引き起こして止まらなくなっている。そこに原油を始めとしたエネルギー価格の上昇や、穀物の値上げが相まって、物価上昇が止まらなくなった。
そんな中にロシアのウクライナ侵攻が起きた。これが混乱に拍車をかけ、世界情勢を悪化させた。
原油価格は乱高下の最中にある。今年中に200ドルを突破するという人もいれば、OPECが増産に回るので100ドルを切るという人もいる。
何にしろ、材料ひとつで上にも飛べば下にも転がり落ちる不安定な状況である。
プーチン大統領が何を考えているのか分からないのと同様に、今はあらゆるものが混沌とした状態で、どうなるのか分からないのだ。
「今年は経済的冒険はするな」と私はメルマガで去年12月からずっと言っているのだが、今も意見は変わっていない。こんなところで何かリスクを取っても火傷するのがオチだ。おとなしくするしかない。
しかし、おとなしくしていれば嵐が黙って過ぎてくれるわけではない。社会の混乱時は間違いなく実体経済が悪化するので、私たちはこれに対処する必要が出てきているのである。