円ドル為替レートは、日米金利差だけでは決まらない
地政学リスクでは「有事のドル買い」と言われてきたし、今でも基本にはそういう考えはある。基軸通貨に換えておけば間違いはないという考えだ。および、保護主義の台頭を含む政治活動、または貿易収支というファンダメンタルな基本要素、そういうものによって円ドル相場は決まってくる。
しかし、投機筋の動きによって大きく変わることは事実である。先々週末は「覆面介入」と思われる市場力学によって、半日で5円の円高を生じた(151円台→146円台)。そして、これが長期間続く場合もある。超金融緩和を頑なに守る黒田総裁に対して、今の円安は日米金利差によることを強調する向きが多いが、必ずしも日米金利差ではないということを言っておきたい。
このことは、トランプ政権時代に名FRB議長であったジャネット・イエレン女史が小幅に金利を上げていって超低金利を脱出したことに成功し、トランプ時代に8回も利上げを行った。それにもかかわらず、ドル高にはならなかった。この事実も金利が為替レートを動かす主因であるという対黒田批判は眉唾である──
<山崎和邦の投機の流儀vol.541 10/30号>
第1部:当面の市況
(1)市況コメント
(2)裁定の買い残が縮小している=「将来の売り圧力が緩和される」
裁定の売り残が高水準になっている=「将来の買い戻し勢力が大きくなる」
(5)行き詰ったプーチンが、戦術核兵器使用でまた行き詰る。
(6)中国の「不動産バブル」遂に最終局面
(7)脱デフレ時代か?値上げは悪いことか?
■ 第2部:中長期の見方
(1)世界の株式市場で、先行きに対する警戒感が和らいだ。
(2)日本株投資に強気派が現れる(英フィナンシャルタイムズ)
(3)総合経済対策と日銀の利上げは、今はしない方針
(4)デフレを脱却して「物価が上がり賃金も上がる」、これが健全な市場経済なのだ。
(5)日本人の大半はインフレに慣れていない。
(6)米国がドル高でインフレを抑えようとすると、被害が大きい。
(7)バイデン政権はインフレ抑制に目途が付けば、ドル高是正に動く可能性がある。
(8)日銀が超金融緩和を脱すれば、海外投資家は日本株投資に向かう。
(9)米中間選挙ラリー
(10)育ちの悪い者が天下をとると、ロクなことはない。
(11)「ウクライナ侵攻は朝鮮戦争化するのか? つまり、長引いて「引き分け」の形で終わりにするのか?
■ 第3部;読者との交信欄
[ 来週号に回す分 ]
〇我が恩師も、今もし在ればプーチンに暗殺されたかもしれない。
〇景気循環消滅論が登場することがあるから、幻惑されないようにしよう。
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『山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2022年10月30日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。