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プロパティデータバンク、6年連続の増収増益で過去最高益を達成 「@プロパティ」の大型案件が業績を牽引

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2023年5月25日に発表された、プロパティデータバンク株式会社2023年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

目次

武野貞久氏:代表取締役社長の武野です。それではさっそく、2023年3月期の決算についてご説明します。本日はスライドの目次に沿って、4番の中期経営計画までお話ししていきたいと思います。

当社は創業以来、不動産DXに邁進しています。ビジネスモデルの詳細についてはみなさまご存知かと思いますので、割愛させていただきます。

通期業績サマリー(連結)

決算の数字についてご説明します。昨年から連結決算になりましたので、こちらは連結の業績サマリーです。

売上高は前年同期比約26パーセント増、営業利益は前年同期比約27パーセント増と、全体的に増加傾向にあり、好調な状況です。

「@プロパティ」における大型案件の受注が業績を牽引し、良い成績が出ています。

通期サマリー

通期サマリーです。スライドには、2023年3月期初のアクションプランをいくつか記載しています。特に重要視しているのは、昨年発表した中期経営計画達成に向けた基盤作りです。

また、連結対象のプロパティデータテクノスとプロパティデータサイエンスについて早期に相乗効果を出し、売上を上げることに注力して活動していました。

トピックスサマリーです。プロパティデータバンクは、一般事業会社からの大型案件受注がだいぶ増えています。併せて、国内大手鉄道会社の上位15社において7割を超えるシェアを獲得できました。

プロパティデータテクノスは、文書管理を紙からデジタルに置き換える不動産DXサービスをメインに扱っています。こちらは想定以上に進捗しているのですが、本業である印刷業が若干苦戦しています。後ほどご説明します。

プロパティデータサイエンスは、売上予測や、いろいろなデータサイエンス関連事業に取り組んでいますが、想定したほどには進捗できていない状況です。

通期サマリー


6年連続で増収増益、過去最高益を達成できました。

通期連結業績ハイライト(前年比)

通期業績のハイライトです。売上高についても、プロパティデータバンクは従前どおりしっかりと成長しています。一方で、プロパティデータテクノスとプロパティデータサイエンスについては、思ったよりも伸び悩んでおり、うまくいっていない部分があります。

しかしながら、トータルとしては営業利益も経常利益も非常に良い成績を残していると思っています。

業績予想に対する差異

業績予想に対する差異についてです。プロパティデータバンクのクラウドサービスとソリューションサービスは、予定どおり、または予定以上に進捗しています。

プロパティデータテクノスは計画比61.9パーセント、プロパティデータサイエンスは計画比16.5パーセントと、思った以上に進捗できていない結果になりました。

プロパティデータバンク(単体)の営業利益増減要因

営業利益の増減要因です。クラウドサービスとソリューションサービスの売上高が伸びていますが、プロジェクトが大きくなった分、外注費も増えています。

また、昨年度はタクシー広告を出すなど広告宣伝にも注力しており、そのような費用が少しずつ積み重なり、トータルとしてスライドのような数字になっています。

【KPI】@プロパティ 売上推移

KPIの状況についてご説明します。「@プロパティ」の売上推移については、前年同期比118パーセントの伸長率を達成しました。特に、一般事業法人の利用が拡大しています。

当社はREITで6割のシェアがありますが、REITというのは次々に作られていくものではないため、成長余地のある一般事業法人の利用を拡大することが重要だと考えています。そのような活動の成果が出始めていると思っています。

【KPI】@プロパティ シェア

「@プロパティ」のシェアについては、おもしろい数字が出ています。『月刊プロパティマネジメント』という雑誌で、「プロパティ業務のシステムとしてどのようなものを使っていますか?」というアンケートをとったところ、2022年ではExcel管理を除くと、当社の「@プロパティ」が最も多く使われているという結果が出ました。シェアは2021年以上に伸びており、我々のシステムの利用が着実に進んでいることが読み取れます。

【KPI】@プロパティ 案件大型化

KPIの1つである案件の大型化についてです。ソリューションサービスでは1億円以上の案件が前年同期比で約11ポイント増加しています。それに伴って、クラウドサービスも月額100万円以上のお客さまが増加しています。

スライドの円グラフにあるように、売上構成比が大型化しています。1億円以上のお客さまの構成比として、2022年3月期に31パーセントだったものが、2023年3月期には42パーセントに増加しています。

また、案件の大型化に伴って、お客さまがいろいろな機能を使うことになるため、月額利用料も増加しています。月額100万円以上のお客さまの割合が、上場前の2017年9月は38パーセントだったところ、2023年3月には53パーセントとなり、半分以上のお客さまに月額100万円以上の利用料をお支払いいただいている状況です。

【KPI】@プロパティ 解約率

「@プロパティ」の解約率は年々低下傾向にあり、2023年3月末では0.7パーセントになりました。

我々のシステムは、お客さまの業務基盤をサポートするサービスです。そのため、一度定着すると辞めにくく、それが解約率低下の要因の1つになっています。

通期連結業績予想

2024年3月期の事業戦略についてご説明します。まずは連結の業績予想です。

こちらは、中期経営計画の2年目の数字をそのまま踏襲しています。1年目は想定より良い成績を残すことができましたが、年ごとの数字に振り回されるのではなく、5年間でしっかりと目標達成できるよう、中期経営計画の数字を変えずに今期の目標として置いています。

2024年3月期 事業戦略

2024年3月期の事業戦略です。プロパティデータバンクの「@プロパティ」は、これまでどおり一般事業会社に向けてサービスを提供していきます。

その中でキーワードは2つあります。1つは、ソリューションサービスにおいてはBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)ということで、我々はお客さまの業務を変える、あるいは改革することを主軸としているため、この業務をさらに進め、大型化していくということです。

もう1つは、不動産ERPということで、当社のシステムをお客さまの基幹のERPシステムとして位置づけることを、大きな軸として展開していこうと思っています。

また、中期経営計画の5年間において、具体的にどのような新規サービスを行っていくのか、昨年度もさまざまなお問い合わせをいただきました。

やはり新しいサービスを展開していく必要がありますが、今期中に予定しているものとしては、「Speed ANSWER for Web(仮称)」があります。プロパティデータサイエンスのサービスで、現在開発に着手しています。

加えて、「@knowledge」というドキュメントソリューションサービスについても、機能を強化して全面リニューアルすることとし、現在着手しています。

そのほか、建築系では、現在「BIM(Building Information Modeling)」という3次元のデータを使ってさまざまな管理を実現するワークフローが大きな話題になっており、当社も取り組みを進めています。

当社としては、このような施策を進めることで、従来どおり着実に事業を成長させていきたいと思っています。

続いて、プロパティデータテクノスについてです。こちらはもともと印刷会社でしたが、当社は不動産関連文書のデジタル化に注目しました。

不動産取引では、紙のデータが非常に多いです。そのため、物件を購入すると、段ボールで何箱も紙の資料が送られてくるようなケースもあります。この紙のデータをすべてデジタル化し、価値のあるものにしていこうと考え、文書管理ソリューションに力を入れています。

さらに、お客さまの紙のデータを単純にデジタル化するだけではなく、一部のお客さまの業務をBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のかたちで、我々がお客さまに代わって業務を進めていくという事業も始めています。このような取り組みで、事業計画を進めていこうと思っています。

最後に、プロパティデータサイエンスについてです。こちらは「Speed ANSWER」という店舗の出店に関する売上予測のサービスを運営していますが、このサービスをさらに拡充して、我々の事業計画に沿った売上を出していきたいと思っています。「Speed ANSWER」については、後ほどまたご説明します。

プロパティデータバンク事業戦略

プロパティデータバンクの営業戦略として、「不動産クラウドERPとしての大型案件獲得をめざす」という目標を掲げています。この中のトピックとして、「@プロパティ」についてお話しします。

これまでも、仕訳等を大型の会計基幹システムと連携することは行っていましたが、「@プロパティ」自身に財務会計の機能も取り込み、当社のサービスだけで会社の決算までを完了できるようにしたいと考え、現在計画を進めています。

この取り組みが進めば、不動産ERPを当社のシステムだけで賄えるシステムが完成し、当然のことながら、案件がより大型化していくだろうと考えています。

プロパティデータバンク事業戦略

ストレージサービスにワークフロー機能が付いた「@knowledge」の全面リニューアルを行い、今年の夏にリリース予定です。「@knowledge」では、これまでも新電子帳簿保存法や、e-文書法などへの対応を行ってきました。

従来は「@プロパティ」の中の1機能のような位置づけでしたが、今後は当社グループの基盤になるような、デジタルデータ保管のプラットフォームとして、セキュリティをいっそう強化し、利便性や使い勝手を向上させ、リニューアルを進めています。

プロパティデータバンク事業戦略

今後の事業戦略においては、「@プロパティ」の財務会計機能等を開発することにより、不動産関連企業のみならず、いろいろな業種への展開が可能だと考えています。

したがって、冒頭で「不動産DX」と言いましたが、これからは不動産だけではなく、資産という切り口で、我々の対象となるお客さまがいっそう広がっていくことを想定し、計画を進めています。

プロパティデータバンク事業戦略

当社のシェアについてご説明します。スライド左側の円グラフはREITの市場を示しており、我々はJ-REITにおいて6割弱のシェアを持っています。

残念ながら、REITは市場が年々成長するものではないため、この中だけでは足りません。一方、右側の円グラフは一般の事業会社の中でのシェアですが、こちらは3.6パーセントと、引き続き拡大する余地があると思っています。

さらに、グラフの分母としている3,400社強という数字は、主に不動産事業のお客さまに絞っているため、不動産事業をメインにしていないお客さまも含めれば、もっと広い市場になります。

したがって、その中での我々のシェアは1パーセントにも満たないと思いますので、この余地をしっかり捉えて事業を拡大させたいと考えています。

新規事業

先ほどお話ししたBIMについては、海外の施設管理などで非常に流行しています。空港などの施設では、3次元の図面を使いながら、さまざまなことをBIMで管理している状況です。

施工管理のほか、竣工後の物件の運営・管理においてもBIMを使うことが流行しており、我々もすでにこの機能を開発しています。一昨年度には、東京オペラシティビルと共同応募した国土交通省の補助金事業に採択されるなど、実績を挙げてきています。

今年度は、補助金の付いていない一般企業の事業にも、当社のサービスを採用いただいた事例がいくつか出始めています。このような事業にも取り組んでいます。

プロパティデータテクノス事業戦略

プロパティデータテクノスの事業戦略です。「ビジネスモデルを転換し、高付加価値化を図る」という方針を掲げています。

プロパティデータテクノスはもともと印刷会社ですが、印刷の仕事は今後大きく増えるものではありません。そのため、我々と一緒になることで、不動産関連文書の管理ソリューションと、BPO事業の拡大に力を入れています。

この分野は、昨年度、一昨年度に比べて、大きく伸びている事業であるため、ここを伸ばすことに注力しようと思っています。

プロパティデータサイエンス事業戦略

プロパティデータサイエンスの事業戦略です。こちらは、5月19日に発表したように、100パーセント子会社化しました。

リリースにも記載したように、100パーセント子会社化することによって、営業面だけでなく経営判断も含め、スピーディに物事を進めていくことが可能になります。また、プロパティデータバンクとのシナジー効果や人的交流も含め、一体となって事業戦略を進め、売上を伸ばしていこうと考えています。

さっそく挙げた成果が、「@プロパティ」の基盤上で構築する「Speed ANSWER for Web(仮称)」という新しいWebサービスです。これまでは、まったく別の基盤でサービスを構築していたものです。今年の秋にリリースできるよう、開発を進めている最中です。

出店検討から主点後の管理に必要なあらゆる分析・管理機能で新規出店をサポート

「Speed ANSWER for Web(仮称)」は、これまで世の中になかった新しいサービスですので、詳しくご説明したいと思います。従来の「Speed ANSWER」は、出店すると売上や利益がどの程度になるのか、AIを使って予測するサービスでした。

しかし、多くのお客さまと商談をしていくうちに、実際の出店に際してはまず、さまざまな物件情報をエージェントなどから集めていることがわかりました。また、同じ物件でもエージェントによって値段や条件が違うことがあり、情報収集の業務が必要になります。

従前の「Speed ANSWER」では、集まった候補地の中から、「この場所に出店したらどのくらい儲けが出るか」を予測していました。予測をもとに物件を決めた後は、賃借契約を結び、出店のための内装工事やさまざまな什器の購入・リースなどを行います。店舗運営が始まると、リース料や賃借料、アルバイトの給料の支払い、そして売上を管理していきます。

実は、これら大半の業務は「@プロパティ」で商業オーナーに提供している機能です。情報収集機能と店舗管理機能を一気通貫で提供しているサービスは世の中にないことがわかったため、「Speed ANSWER for Web(仮称)」の開発を進めることにしました。

スライドに記載しているように「Speed ANSWER for Web(仮称)」には、さまざまなエージェントから案件情報を連携していただく機能があり、そちらを使って出店後の売上予測を行い、開店前から開店後の運営まで、すべて「@プロパティ」と一体となってサービスを提供します。

こちらに注力することで、従来の「Speed ANSWER」の月額利用料の売上に対して、新サービスでは10倍から50倍の売上に増加すると考えています。

「@property」「@knowledge」とのサービス連携でシームレスな管理が実現

スライドの図は、「Speed ANSWER for Web(仮称)」「@プロパティ」「@ナレッジ」それぞれがシームレスに連携にすることにより、DXプラットフォームというかたちで機能していくことを示しています。

プロパティデータバンクグループ中計達成時の姿

中期経営計画についてです。初年度に発表したものは若干足りていない部分があったため、補足してご説明します。

スライドについては、前回の発表どおりですが、5年後に「不動産 WHOLE LIFE」の達成を目指しています。これまで「@プロパティ」が関与していなかった、不動産鑑定流通領域にもサービスを提供していきたいと考え、この目標を掲げました。36ページまでは以前の資料になるため、割愛します。

中期経営計画初年度の計画と実績

2023年3月期の計画と実績に乖離している部分がありましたので、そちらを振り返った上で、今後の方針についてご説明します。

繰り返しになりますが、プロパティデータバンクは、クラウドサービスとソリューションサービスの両方で案件の大型化が進んでおり、予定以上に進捗し数字も出ています。

プロパティデータテクノスについては、主に印刷業が想定以上に衰退しており、不動産DXの文書管理ソリューションの進捗でカバーし切れなかったという状況です。

したがって、我々としては印刷業に力を入れることは当然ながら考えていません。プロパティデータテクノスにおいては、お客さまの担当者に代わって委託先からのドキュメントを収集したり、委託先に対しては督促をしたりする業務を請け負う、BPO事業を立ち上げています。

プロパティデータサイエンスについては、先ほどお話しした「Speed ANSWER」が思ったように伸びていません。伸び盛りの会社に売上予測のサービスを使っていただいていますが、ある一定のところで解約するというパターンが多いため、なかなか売上が積み上がっていきません。

そのため、出店から運営・管理まで継続して使っていただけるサービスとして「Speed ANSWER for Web(仮称)」を立ち上げ、力強く、予定どおりの数字を上げられる会社に生まれ変わらせようと思っています。

連結業績目標

結果として、4年後の連結業績において売上高は75億円、営業利益は17億円の突破を目指します。こちらは以前発表したものと変わりません。

KPI

当社は「売上成長」と「営業利益率」を中期経営計画のKPIとしています。「売上は上がったけど、利益が出ない」というモデルにはできません。

我々は、お客さまからの信用を非常に大事にしています。金融機関のお客さまも多いため、営業利益が出ない会社のサービスは信用してもらえません。したがって、売上成長と営業利益率の現状水準の維持をKPIとして、測っていきたいと思っています。

個別売上高 5ヶ年計画

個別売上高の5ヶ年計画です。5年後に向けて、スライドのような構成で進めていきます。

連結子会社および新規サービス

プロパティデータバンク、プロパティデータテクノス、プロパティデータサイエンスだけでは、75億円の売上高は当然達成できません。そのため、その他に新規サービスの立ち上げを考えています。先ほどご説明した不動産鑑定や流通領域のサービスで補っていこうと考えています。

プロパティデータバンクグループロードマップ

中期経営計画達成に向けたロードマップです。我々はIPO企業ですので、これまでご説明した事業やサービスを展開するには、従来の「@プロパティ」という単一事業モデルのサービスだけではすべてを吸収することができません。

したがって、昨年度から社内に「次世代戦略プロジェクト」という戦略チームを立ち上げ、「@プロパティ」を含めたプロパティデータバンクグループのIT基盤を刷新するプロジェクトを進めています。スライドの図はあくまでも案ですが、グループ会社で必要な機能を集めてサービスを構築するイメージを示しています。

これらを着実に進め、5ヶ年の中期経営計画目標である売上高75億円の達成を目指します。以上でご説明を終わります。

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