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サムスン依存で沈む韓国経済。GDPトップ10から脱落、日本から盗めない先端半導体で競争力低下=勝又壽良

歴史的に技術軽視の咎め

韓国で、独創技術の企業が生まれない理由は何か。

そのような「文化」がないことだ。儒教による官僚体系では、受験資格を文系に限定して技術系を排除した。これは、中国の科挙で行われていたことで、河川土木など限られた職種のみに受験資格を与えた。朝鮮李朝は、500年間も儒教を国教としたので、この流儀に従った。中国が現在、「技術強国」を謳い文句にしているが、基礎技術は手薄である。ほとんどは、先進国からの窃取技術が土台になっている。

中国は現在、先端半導体技術で日米蘭3カ国から輸出規制措置を受けている。これによって中国半導体業界は大きな痛手を受けたとして緩和を訴えている。基礎技術が手薄だから、応用技術は生まれない関係にある。日本の半導体技術は、日本独自で開発したものである。基礎技術のしっかりしていることが、それに相応しい応用技術を生み出す。中国には、そういう関係性がないのだ。中国高速鉄道は、日本の新幹線技術導入がなければ成功しなかった。どうしても、超すに越せない技術の壁があった。

韓国も、これと同じ悩みを抱えている。口では反日を唱える。だが、冷静になったとき、それは暴言であることを知っている。日本の技術なしには、韓国製造業が成り立たないのだ。

韓国に、技術文化が実らない裏には儒教の官僚システムの偏りが影響している。それは、現在の大学教育まで影響している。工学部ですら技術を軽視するとは驚きである。理論(座学)で済ますという悪習は、科挙の歴史が今なお韓国を支配している証であろう。今時、技術を軽視する工学部教育が、存在するとは信じがたい話である。この改革がスムーズに行かないところが韓国の抱える宿命である。これが、あらゆるところで根を張って合理化を妨害しているのだ。

生産性を上げるのは、製造業だけの話でない。サービス業も生産性を上げなければ、GDPは伸びないのだ。製造業ですら革新が進まない。サービス業でも同じことが起っても不思議はない。ここで、日米韓における2次産業と3次産業の就業人口比率を見ておきたい。

<就業人口比率(2021年)>

   第2次産業 第3次産業 
韓国 24.60% 70.05%
日本 23.71% 73.12%
米国 19.18% 79.15%
出所:ILO

韓国の就業人口比率は、第2次産業が多い。第3次産業は低いのだ。これが、韓国全体の生産性伸び率を抑止している。改革への動きは、まったく止まっている。韓国は、2012年7月、「サービス産業発展基本法案」を国会に提出した。雇用創出と内需産業への波及効果が大きいサービス業を集中育成しようという目的である。だが、左派政党の反対で法案は棚上げされたまま、現在にいたっている。

反対理由は、医療法人の系列企業でサービス事業を行うことへの反対だ。医療民営化への口実にされるとしている。そうであるならば、他の分野を分離して法案を成立させればよさそうだが、それも動きがとれずにいる。こうして法案は、11年も棚ざらしのまま。左派による、既得権益を守るための改革阻止行動だ。OECD加盟国の中で現在、韓国だけリモート医療が法制化できずに漂流している。左派の反対によるもの。こうして、医療分野の生産性引き上げが阻止されている。医師の聖域を冒涜するという認識の結果だ。

Next: 韓国の国民性に弱点?公営企業は既得権益の巣…

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