「フジクラ」は他2社と比べて業績が大きく上がっている
フジクラの株価も非常に大きく上昇しています。

フジクラ<5803>日足(SBI証券提供)
この6ヶ月で株価は3倍にもなっていますが、割高感はそこまでなく、PER17.4倍、ROE16.68%と、上がったとはいえまだまだ面白い水準だと思います。
業績も他の2社と比べても大きく上がっている銘柄です。

フジクラ<5803>通期業績推移(SBI証券提供)
なぜこれほど業績が上がっているかというと、アメリカで特に強いからです。

出典:マネックス証券
住友電工や古河電工は国内の割合が5割くらいとなっていたのに対し、フジクラは4割が米国、中国とその他海外を含めると7割くらいが海外ということになります。
地域別の売上は、ここ数年アメリカでの売上がどんどん増加しています。
おそらくアメリカでデータセンターの需要が急増しているものと思われます。
まさに生成AIの流れに乗っていると見られます。
フジクラは電線御三家の中でも特に情報通信(光ファイバー含む)に注力しているので、データセンターをたくさん作るということになればこの3社の中で最も恩恵を受けることになります。
さらに、フジクラは光ファイバーのシェア自体も高いですが、融着機(光ファイバーをつなぐ機械)の技術を世界で最初に開発して、世界シェアが50%以上となっていて非常に強いということです。
世界シェアが50%ということは、他社はなかなか真似できないということで、だからこそこの情報通信の分野の利益率は13%以上と非常に高くなっています。
自動車などももちろんやっていますが、変に手を広げたりもしていません。
足元では利益・売上ともに停滞している印象がありますが、これは通信会社からの需要が減っている影響があると考えられます。
5Gが一時期盛り上がり、基地局がどんどん作られましたが、ある程度設置が完了したことと、楽天モバイルの基地局建設も鈍化しています。
今後、生成AIが世界で伸びれば、海外売上高が7割のフジクラは大きく恩恵を受けることになるので、データセンターが伸びるという仮説の下で考えると、フジクラに注目しておくと良いのではないかと思います。
もちろん、まだ調査の初期段階であり、現時点で推奨するというわけではありません。
生成AIによる社会の変化というものは「長期潮流」を生む可能性があるので、様々な角度から切り取って、仮説検証しながら分析してみると良いと思います。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2024年6月10日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。