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原油高で株価急騰「INPEX」は買いか?長期投資家が知るべき“過熱”と“本物”の見極め方=元村浩之

INPEX<1605>は現在、円安そして原油高の恩恵を最も受ける代表的な企業として非常に高い関心を集めています。特に足元では中東、とりわけイラン情勢が悪化し、それに伴って原油輸出が不安定化するのではないかという懸念が広がっています。こうした地政学リスクの高まりを受けて、原油高が長期化するのではないか、そしてそれがINPEXの業績に多大なプラスの恩恵をもたらすのではないかという期待値が急激に高まっているのです。実際に、こうした背景から今年に入って同社の株価は50%近く上昇しており、市場の注目度の高さが伺えます。

INPEX<1605> 日足(SBI証券提供)

INPEX<1605> 日足(SBI証券提供)

「すでに株価が急騰している今からINPEXを買っても遅くないのか?」と悩んでいる方も多いはずです。結論から言えば、現在の原油高を単純な追い風と捉えて飛びつくのは非常にハイリスクです。本記事では、こうした期待の真実と、投資家が直面するリスクの正体を深掘りしていきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』元村浩之)

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プロフィール:元村 浩之(もとむら ひろゆき)
つばめ投資顧問アナリスト。1982年、長崎県生まれ。県立宗像高校、長崎大学工学部卒業。大手スポーツ小売企業入社後、店舗運営業務に従事する傍ら、ビジネスブレークスルー(BBT)大学・大学院にて企業分析スキルを習得。2022年につばめ投資顧問に入社。長期投資を通じて顧客の幸せに資するべく、経済動向、個別銘柄分析、運営サポート業務を行っている。

今年に入り株価50%上昇!INPEXの現状と利益構造

3月25日時点において、INPEXの株価は4,452円、PERは15.7倍、配当利回りは2.4%となっています。
昨年7月頃までは利回りがさらに高く、配当を重視する投資家向けの銘柄として見られていた側面もありましたが、今年1月以降の急激な上昇により、その評価は一変しました。
わずか数ヶ月で50%近くも株価が跳ね上がったことで、今から買いを検討しても良いのかと迷われている方も多いのではないでしょうか。

市場全体がこの銘柄に対して非常にポジティブな視線を送っている現状を、まずは冷静に数値で把握しておくことが重要です。

<エネルギー開発の根幹を担う「上流事業」の実態>

INPEXがどのようなビジネスで利益を上げているのかを改めて整理すると、同社はエネルギー開発における上流事業という領域を専門としています。
具体的には、原油や天然ガス、LNGの探鉱、つまりどこに資源があるかを探し出すことから始まり、実際に採掘するための開発、そして採掘したものを消費地まで運んで販売するという一連の流れを担っています。

私たちが日常的に接する電力会社やガス会社、あるいはガソリンを販売する石油元売り会社とは異なり、さらに川上の、資源そのものを発掘する段階を主戦場としているのです。

この大元の資源を握っているという立ち位置が、価格変動の際に極めて大きな影響力を発揮する理由となっています。

原油価格と為替がもたらす巨大なインパクト

INPEXの業績を分析する上で避けて通れないのが、原油価格と為替の変動に対する感応度の高さです。

同社の2025年12月期決算説明資料によれば、原油価格が1ドル上昇した場合、最終利益ベースで55億円のプラスになります。
逆に1ドル下がれば、そのまま55億円がマイナスになるという、極めてボラティリティ(価格変動)の激しい利益構造を持っています。

INPEX.jpg

出典:INPEX 2025年12月期決算説明資料

また、為替についても同様で、1円の円安になれば30億円のプラス、1円の円高になれば30億円のマイナス要因となります。

取引が基本的にドルベースで行われているため、海外の顧客とのやり取りで円安が進めば、最終的に手元に残る円ベースの金額が大幅に増えることになるのです。

<緊迫するイラン情勢とホルムズ海峡の事実上の封鎖>

現在の原油高の要因を詳しく見ると、その中心にはイラン情勢の悪化があります。

世界的なエネルギーの要衝であるホルムズ海峡が、現在事実上の封鎖状況に追い込まれており、中東からの原油流通が滞ってしまうというリスク意識が急激に高まっています。

こうした地政学的なチョークポイント(海上交通の要衝・関所)における不安定さは、国際的な原油価格を今年に入ってから急騰させる原因となりました。
さらに、米国内のインフレ再燃懸念により、FRBが利下げを行いたくても行えないという状況が発生しており、これが円安の継続を招いています。

こうした外部環境は、一見するとINPEXにとって完璧な追い風に見えるかもしれません。

Next: 原油高は単純に追い風とは言えない?長期投資家が持つべき視点

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