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注目株「タイミー」今が買い?好調な決算でも株価が下がった理由と投資家が持つべき視点とは=栫井駿介

タイミーが抱える懸念点

タイミーは高い成長性を示していますが、同時にいくつかの重要なリスクや懸念点も存在します。これらの課題に対する同社の対応が、今後の持続的な成長と株価パフォーマンスを左右する可能性があります。

第一の懸念点は、競合他社の続々とした市場参入です。タイミーが切り開いたスキマバイト市場の潜在性が認識されるにつれ、メルカリやリクルートなどの大手企業も類似サービスを展開し始めています。これにより、ワーカーやクライアントの獲得競争が激化し、タイミーの市場シェアや収益性が圧迫される可能性があります。

第二の懸念点は、高い成長性の維持と広告宣伝費のバランスです。タイミーは現在、積極的なマーケティング投資を行い、急速な成長を実現しています。しかし、この戦略は短期的には利益率を圧迫する可能性があります。一方で、成長速度を緩め利益を優先すれば、高いPERを支える成長期待に応えられなくなる恐れがあります。特に上場前後の成長は、巨額の広告宣伝費の投入によるところが大きいと考えられ、単純に目先の成長が続くと考えるのは早計かもしれません。

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出典:2024年10月期第3四半期決算説明資料

第三の懸念点は、長期的なワーカーの確保です。タイミーのビジネスモデルは、十分な数の質の高いワーカーを継続的に確保できるかどうかに大きく依存しています。労働市場の変化や競合他社の台頭により、ワーカーの獲得・維持が困難になる可能性があります。また、一時的な仕事を提供するプラットフォームとしての性質上、ワーカーの定着率向上が課題となる可能性もあります。タイミーは、ワーカー向けの魅力的な条件や機能の提供、キャリア支援など、長期的にワーカーを惹きつける戦略を展開する必要があります。

これらの懸念点に加えて、労働関連法規制の変更や、経済状況の変化によるクライアント企業の人材需要の変動なども、タイミーの事業に影響を与える可能性があります。いずれのリスクも、投資家にとっては注目すべき点と言えるでしょう。

タイミーの成長余地

タイミーの今後の成長戦略は、既存のスキマバイト市場の拡大と新たな事業領域への展開を軸に展開されています。

まず、スキマバイト市場については、まだ大きな成長の余地があると考えられています。タイミーの決算説明資料によると、スキマバイトプラットフォームの潜在的な市場規模は約3.9兆円と推定されており、現在のタイミーの売上高はその一部に過ぎません。特に、物流、飲食、小売以外の業界への展開や、地方都市での市場開拓に注力することで、更なる成長を目指しています。

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出典:2024年10月期第3四半期決算説明資料

また、既存のクライアントとの取引拡大にも力を入れています。同一クライアント内での利用事業所数の増加や、1事業所あたりの募集人数の増加を通じて、顧客単価の向上を図っています。

新たな事業展開としては、ホテル・旅館業や介護・保育業界など、深刻な人手不足に悩む他業種への進出を計画しています。これらの業界特有のニーズに対応したサービス開発を進めることで、新たな成長機会を創出しようとしています。

さらに、長期的な戦略として、蓄積されたデータを活用した新サービスの開発も視野に入れています。例えば、ワーカー向けのフィンテックサービス(決済、貸付、資産運用など)や、クライアント向けのHRテックソリューション(採用代行、業務プロセス委託など)の可能性が示唆されています。

もっとも、同様のビジネスモデルは競合他社においても採用可能なものであり、そこで圧倒的な力を発揮するには相当な努力が必要となることは言うまでもないでしょう。

Next: 成長に期待ができるも投資判断は慎重に行うべき?

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