今後の成長性とリスクは?
このように既存の事業領域は圧倒的な地位を確立していますが、今後の成長性はどうでしょうか?
カーシェア市場は右肩上がりで拡大しています。

出典:公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団より作成
しかし、長期的にはカーシェアリングが拡大すればするほど、自動車保有台数は減少する傾向にあるはずです。そもそも国内人口減少に伴い自動車保有台数は拡大するとは考えづらいことから、長期目線ではカーシェアリングの領域をいかに伸ばせるかが重要になると考えます。
一方で投資リスクとしては、コロナ禍のように人々の移動が止まるようなケースはパーク24に悪影響です。例えば大規模災害なども投資リスクとして挙げられます。人々の移動が制限されることで、駐車場の利用率が低下し、カーシェアリングやレンタカー事業も打撃を受けます。今後も新たな感染症の発生や自然災害のリスクは常に存在し、これらが長期化した場合、会社の収益に深刻な影響を与える可能性があります。
一方で、2017年から参入している駐車場海外事業は今期まで赤字が続いています。
特にコロナ禍と比較し赤字幅は縮小しているものの、未だ業績に好影響を与えるわけではありません。駐車場ビジネスは初期投資がかかるビジネスであるため、まだ利益創出できていないのです。
さらに売上拡大のためにはさらなる投資が必要ですから、国内事業の次なる柱になるはもう少し時間がかかるかもしれません。
最後に株価の推移をみてみましょう。

パーク24<4666>月足(SBI証券提供)
2020年以前から株価は下落していますが、2018年10月期から2019年10月期にかけて利益が伸び悩んだのです。わずか1%程度の減益でしたが、それまでは10%近い成長があったため、市場はネガティブに捉えられたのだと感じます。そして、その後にコロナ禍が訪れ株価が下落しています。
直近のPERは約15倍であり割高な水準ではないと考えます。特にコロナ前が30倍前後で推移していたことを考えると、利益は成長しているにもかかわらず、割安感が高まっています。
パーク24は業界内で圧倒的な地位を有し、市場の成長性もあると考えられます。この市場の立ち位置を考慮すると、パーク24は魅力的な企業であると考えます。急激な利益成長が起こるとは考えづらいですが、安定的な成長を達成できる市場の優位性があると考えます。ITを活用した効率性の向上などもプラスのトピックだと思います。
これらの情報をもとに投資判断をしてみてください。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取り扱いには十分留意してください。
『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2024年9月27日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。