サンリオ<8136>の株価が急上昇しています。今回は直近の決算を分析し、なぜサンリオが絶好調なのか、この好調はどこまで続くのかを考察します。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
ライセンスビジネスの比率が高い
まずは事業内容を解説します。
サンリオは歴史ある会社です。1960年にギフト商品の製造、販売業務を祖業として会社を設立しました。
サンリオといえば、ハローキティ、ポムポムプリン、マイメロディなど、数多くの人気キャラクターがあります。
出典:サンリオ キャラクター紹介
これらのキャラクターを軸として、主に4つの事業を行っています。
出典:決算説明資料
物販ビジネスはギフト商品の企画・販売、直営店・百貨店のサンリオショップや量販店・専門店への卸売、Eコマース等です。つまりグッズ販売による収益です。
ライセンスビジネスは著作権の許諾・管理、キャラクター使用許諾です。例えば、GUやadidasがキティちゃんグッズを販売する際にサンリオに支払う料金です。
テーマパークビジネスにはサンリオピューロランド(東京都)ハーモニーランド(大分県)などの入場チケット代金が含まれます。
新規ビジネスは、バーチャル音楽フェスや英語の知育玩具など様々な事業を営んでいます。
特徴的なことは、売上に対するライセンスビジネスの割合が高いことです。
ライセンスビジネスは、製品を作るための原価やゲームの開発費がかからず、キティちゃんの使用権を他社に提供するだけで収益が得られるため、非常に利益率が高いビジネスモデルです。これが好調の1つの要因です。
「キティ50周年」世界で広がるIP需要
次に最新の決算を見てみましょう。
24年11月1日に発表された決算は、売上高累計628億円(前年同期比+43%)、営業利益累計235億円(同+77.3%)、と好決算となりました。
通期上方修正(売上 当初から+9.5%、営業利益 同+10.9%)も発表されています。
もう少し決算を詳しく見てみます。
まずは売上と利益の70%を稼ぐ、日本国内の動向です。
出典:決算説明資料
最大の注目点は、利益ベースで物販ビジネスとライセンス事業の両方がしっかりと伸びていることです。特に、ライセンス事業の前年比売上増加額が25億円であるのに対し、営業利益の増加額は24億円です。
売上増加分がそのまま利益になる、いわゆる限界利益率が非常に高いビジネスであることがわかります。