各国ブランドが健闘も、中身はぜんぶ中国メーカー
このような状況の中で、歴史的に欧米メーカーが強い中で日中韓のブランドは健闘をしています。次は、主な日中韓ブランドの各国で販売している家電製品の一覧です。

エアフライヤーの各国での売上上位ブランド。さまざまな国のブランドが入り乱れている(「業界研究、深度報告、家電」長江証券より作成)。
中国のTCLとハイセンスはテレビ、日本のダイキンはエアコンに特化をしていますが、その他のメーカーは各国でさまざまな家電を販売しています。このような日中韓ブランドは、小家電の世界でどのくらいの存在感を示しているでしょうか。まず、キッチン家電の分野で見てみます。<中略>
次の表は、エアフライヤーの各国の上位5位のブランド一覧です。

エアフライヤーの各国での売上上位ブランド。さまざまな国のブランドが入り乱れている(「業界研究、深度報告、家電」長江証券より作成)。
エアフライヤーはオランダのフィリップスが最初に販売をしたため、東南アジアでもフィリップスが強くなっています。また、マイヤー、ティファールという欧米メーカーの名前も見えますが、特徴的なのは中国メーカーが健闘していることと、マレーシアのGaaborなど現地メーカーも健闘していることです。残念ながら、日本メーカーの名前は見あたりません。
欧米、中国、現地メーカーが競い合うエアフライヤー市場ですが、実は世界のエアフライヤーの80%以上は中国製です。欧米メーカーの多くは中国企業に製造委託をしているからです。
小家電の世界はこのようなパターンが非常に多くなっています。ブランドベースで見ると、さまざまな国のブランドが競争をしているように見えますが、実は中国企業がつくっていて、実質中国製品に独占されているということがいくらでも起きています。表面上はA社の製品とB社の製品が激しい競争をしながらも、実は両方とも同じ中国企業が製造をしていたということも起きています。
中国メーカーが独占すると大問題が発生する…?
もちろん、欧米ブランドや日本ブランドが中国企業に製造委託することに何の問題もありません。ブランドによっては、高級モデルは自社製造をし、低価格モデルを中国企業に委託するというところもあります。また、設計をきちんと行い、中国企業に製造をさせるブランドもあれば、中国企業側が提案してきた製品のロゴだけ貼り替えて自社製品として販売してしまうこともあります。そこはブランドの考え方次第になります。
しかし、この構造が問題を起こし始めています。製造の集中度が高くなると、悪性の競争が始まるのです。委託製造が進みすぎると――
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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
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』(2024年11月25日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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