経営統合した場合、ホンダと日産の株はどうなる?
では仮に経営統合が成立した場合、ホンダや日産の株はどうなるのでしょうか?
持株会社(ホンダ日産ホールディングス?)の傘下に各社が入る場合で解説します。
(※注意:以下の内容は、あくまで現時点の予想です。統合後の株式がどのように変わるかは、統合形態や条件次第であることをご理解ください。)

まず、持株会社となる新会社が設立されます。そして、それぞれの会社での株主総会を経て、ホンダと日産、三菱自動車は新会社の株式に交換されます。ホンダや日産の株式は上場廃止となりますが、持ち株は自動的に新会社の株式と交換されることになります。
したがって、経営統合後の会社の株式を継続保有したい場合は、特に何もする必要はありません。一方で、それが嫌だと思うなら、市場で売却することになります。
<経営統合はどちらの株主に有利?重要なのは「統合比率」>
ホンダと日産の経営統合が報じられた12月18日、株価は大きく動きました。
日産の株価は23%のストップ高となる一方、ホンダの株価は3%下落しました。
この株価下落を受けて、ホンダは発行済み株式の最大23.7%にあたる1兆1000億円規模の自己株買いを公表しました。その理由としては、自社株主にとって経営統合交渉を有利に進める目的があると考えられます。
経営統合交渉における当面の焦点は「統合比率」です。統合比率とは、経営統合後の新会社における各企業の株主が統合後の企業でどの程度の持分(株式)を受け取るかを決定する比率のことを指します。>
>現時点での時価総額を基準とすると ホンダ:日産が5:1 となります。統合比率は、一定期間の平均株価や資産査定、専門家の算定結果をもとに、2025年6月に決定される予定です。機械的に決まるのではなく交渉によって決定されるため、関係者の思惑が交錯するポイントです。
すなわち、統合後の時価総額を業者の株主で分け合う形となるため、少しでも統合比率が高い方が統合相手の株主に対して金銭的なメリットが大きいということになります。ホンダが自己株買いを公表した背景には、交渉前に株価を引き上げておき、この統合比率における優位性を確保しようとする意図が含まれていると推測されます。
<統合比率の影響とルノーの立場>
統合比率の交渉において、大きな鍵を握るのがルノーの存在です。ルノーは日産株式の約35%を保有する大株主であり、ルノーの賛成がなければ、日産の株主総会での特別決議を通すことができず、経営統合は成立しません(2/3以上の賛成が必要)。
日産の約35%の株式を保有するルノーの影響力は大幅に低下すると見られています。5:1の統合比率で経営統合が行われた場合、ルノーの新会社への出資比率は約3%に縮小する見込みです。ルノーの選択肢としては、統合後の株式を保有するか、ホンダか統合後の新会社に株式を買い取ってもらうことが考えられます。しかしその場合も、買取価格は他の株主との平等性の観点から、統合比率に基づくものとなるでしょう。
また、単なる金額の問題だけではなく、ルノーは日産という大企業に対する影響力を失うことを意味します。それも含めたルノーが失うものに対して、統合比率がルノーの納得できない水準であるなら、株主総会で反対する可能性も考えられます。
すなわち、統合比率の決定は、ホンダ・日産の株主の損得やルノーの判断に直結し、経営統合の実現に影響を与える重要な要素です。同時に、この動きが市場に与える影響も大きく、株価の動向は統合比率やルノーの判断を反映していくでしょう。もっと言えば、ルノーが株式を高めで売却したいと考えるほど、日産の株主にとっては有利な状況になり得ます。
経営統合の成否は、単にホンダと日産の合意だけでなく、ルノーを含む関係者全体の判断が鍵を握ると言えます。