2025年4月21日に発表された、日本PCサービス株式会社2025年8月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
会社概要
家喜信行氏(以下、家喜):みなさま、こんばんは。日本PCサービス代表取締役社長兼グループCEOの家喜です。2025年8月期第2四半期の決算についてご説明します。よろしくお願いします。
会社概要です。「1人ひとりのお客さまに最適なスマートライフを!」を企業理念に掲げ、運営しています。経営理念は「お客さまに『ありがとう』と言って頂ける、社会に必要なサービスを提供する」です。
社会背景
社会背景です。日本の社会課題として、少子高齢化がどんどん進んでいます。人手も不足し働き方改革も行っていますが、そこに併せてDX化が進んでいます。医療面ではマイナンバーカードで受付をしたり、行政ではオンラインサービス化が進んでいたりします。
また、ITスキルや人材不足などもあり、DX改革を行っても格差が生まれています。デジタルデバイドやサイバー犯罪も増加しています。クラウドサービスが使えなくなると、社会インフラが一気に困ってしまうといった状況です。
したがって、デジタルインフラのサポート体制が日本社会全体で大きく不足していると考えています。今後、よりデジタルインフラの重要性が高まっていくため、包括的にサポートしていくことが日本PCサービス創業以来のミッションです。
目指すポジション
私たちのイメージとして、防犯・セキュリティといえば、みなさまご存じのセコムやALSOKがあります。ロードサービスといえばJAF、清掃といえばダスキン、水道トラブルといえばクラシアンなど、もちろん他の会社もたくさんありますが、サービス文化を築いたマーケットリーダーが存在しています。
一方で、デジタル機器で困った際のマーケットリーダーは、現在はまだ存在していません。私たちは創業時、「パソコンのJAF」と言っていました。スマート機器、IT機器、デジタル機器がどんどん増加し、困った時に解決するマーケットリーダーになることをミッションとして創業以来取り組んでいます。
スマホやPCで困ったら「『デジタルの総合病院』である日本PCサービス」と思ってもらえるように、さらに取り組みを拡大していきたいと思います。
これは資料の中にはありませんが、先日、おばあさまがスマホのバッテリーの不調で、あるお店を訪れている場面に遭遇しました。バッテリーの持ちが悪くなり、すぐに充電が切れてしまうという状況でした。
そのお店は私たちの店舗ではありませんでしたが、どのような対応になるのかを見届けていたところ、結局機種変更をして新しいスマホに買い換えることになりました。それが悪いというわけではありません。ただ、私としては「バッテリー交換でもう少し使えるのではないか」と思いました。
買い換えるのか、修理して使い続けるのか、お客さま自身が選べるようにするべきです。したがって、お客さまに選択肢を持ってもらえるように、認知度・知名度を上げていく必要があると感じました。
これはPCやスマホなど、どのような機器でもそうですが、新しい機器に変えると使い方がわからなくなってしまったり、新たに覚え直さないといけない場合もあります。もちろん新しいものを使っていく方もいますが、今までどおり使いたいとお困りの方も多くいらっしゃると思います。
そのような時に、日本PCサービスを「デジタルの総合病院」だと思ってもらえるように、しっかりと取り組みを進めていかないといけないと感じています。
当社の源泉|サポートインフラ
私たちはサポートインフラの構築をコツコツ進めており、現在は全国に396拠点あります。お客さまの近くや会社に訪問するための拠点は275拠点です。日本全国どこでも訪問可能となっています。店舗持込が可能なお店は、現在135店舗まで拡大してきました。コールセンターは5施設、キッティングセンターは1拠点です。
電話で対応し、店舗に持ち込むなど、家の中までサービスをワンストップで提供できるのは、競合他社にない強みになっていると思います。引き続き、私たちの強みを伸ばしていきたいと考えています。
エグゼクティブサマリー
エグゼクティブサマリーです。売上高は32億3,400万円で、しっかりと増収とすることができました。前期、前々期は利益率優先で取り組み、利益率を改善してきました。売上高は弱くなっていましたが、今期は増収となり、順調に成長していると考えています。
営業利益は200万円、経常利益は100万円、中間純損失はマイナス1,200万円となっています。こちらについては後ほどご説明しますが、新規出店や計画外の大型業務受託などの引き合いによる人的先行投資が発生しています。現状、今の先行投資のため、下半期には収益化していくことを考えています。
純損失の要因として、店舗移転による固定資産除売却損が挙げられます。前期は子会社のリペアネットワーク売却による特別利益が計上されていたため、前期差は大きくなっています。下半期はしっかりと収益化していきたいと考えており、現状は順調に進んでいると思っています。
2025年8月期 第2四半期 連結業績
第2四半期の連結業績です。業績については先ほどお伝えしたとおりです。スライド左側の2024年8月期の通期と第2四半期の実績をご覧ください。上半期に先行投資を行い、下半期で業績を上げていく傾向が強くなっています。
私たちは年中無休で営業していますが、上半期はお客さまが年末年始でお休みになったり、物理的に日数が少ない2月があったりするため、下半期で収益化しているのがここ数年続いています。
売上高は増加していますが、営業利益についてご心配される方もいると思います。下半期にしっかりと収益化していきたいと考えていますので、ご安心ください。
事業別売上高
「事業は心配ない」とお伝えしたとおり、全部門で増収となりました。全事業が好調に推移しているため、先行投資部分以外は予定どおり進んでいます。下半期も予定どおりしっかりと収益化していきたいと思っています。
売上高推移
売上高の推移です。先ほどお話ししたとおり、利益率を優先した結果、2023年8月期の売上総利益率は36.8パーセント、2024年8月期の売上総利益率は38.6パーセントと順調に回復しています。進行期も右肩上がりの予定で取り組んでいます。
後ほどご説明しますが、先行して売上原価がかかっている分、売上総利益率は落ちていますが、今後売上高が上がると売上総利益率も戻ります。売上高は順調に推移していると考えています。
売上総利益率分析
売上総利益率が低下している要因は、新規出店をどんどん進めていること、および計画外の大型業務受託による先行投資で人件費が増加したことです。採用後は最初に研修を行わないといけないため、まだ売上計上されていない人件費が売上原価の中にけっこう入っています。
これが売上になり、下半期には売上総利益率が戻ってきます。ご心配いただいているかと思いますが、ご理解いただければと思います。
営業利益推移
営業利益の推移です。通期予想は約200万円ですが、営業利益率は第2四半期で0.1パーセントとなっています。こちらも売上原価が先行投資でかかっていますので、下半期でしっかりと取り返し、営業利益率も想定のところに着地させていきたいと考えています。
営業利益分析
営業利益の前期との差異です。2024年8月期第2四半期の営業利益は2,500万円です。売上高は全事業区分で増収となりました。販管費は、一部費用が増加していますが、計画内に収まっています。
売上原価は、新規出店と計画外の大型業務受託に伴う人的先行投資費用が増加しています。売上がまだ立っていない原価であり、今後売上がしっかり立ってくると営業利益に反映されていきますので、下半期をお待ちいただければと思います。
売上高・営業利益 半期推移
先ほどお伝えしたとおり、私たちの事業特性として、年末年始と2月が上半期に入ってくることと、年度で予算計画を立てていく中で、上半期に投資し下半期で収益化していくことが多い傾向にあります。この2年間を見ても、売上高と営業利益ともに下半期のほうが高くなっています。
この進行期も同じような状況ですが、計画外の原価がかかっているため、営業利益は想定よりも低い状況です。その分は下半期で取り返していきたいと考えています。
定額会員サービス|会員数推移
定額会員サービスです。会員数は67万7,000人を突破し、順調に保証・保険付きサービスが伸びています。保険付き保守サービスの法人契約数は483社と、こちらも順調に増加しています。法人DXサポートの営業が進んでいるため、引き続き取り組んでいきたいと思います。
新規出店店舗(直営店)
達成に向けた実行施策です。計画どおり新規出店ラッシュとなっています。スマホ修理にはさまざまな競合会社があり、「スマホスピタル」はもともと目立たない雑居ビルで営業していることが多く、目立つところへの移転も進めながら行っています。
2024年9月には東京の大森店、11月には岡山駅前店、12月には千葉店が新規出店し、堺店が移転しています。
2025年1月には自由が丘店、2月には神田店、浜松店が新規出店し、新宿店が移転しています。新宿店は、「新宿アルタ」が閉店するため、「新宿サブナード」という場所に移転し営業しています。4月には東京大手町店がオープンします。現在の新規出店は7店舗、移転は2店舗と、全体で9店舗となっており、上半期は怒涛の出店を行いました。
また、「デジタルマーケット」という新形態ショップを本日オープンしました。こちらについては後ほどご説明します。
店舗持込サポート|収益化イメージ
新規出店と計画外の大型業務受託の内容です。直営店の新規出店のために、今期の第1四半期に人材採用を行い、研修と育成に取り組みます。店舗のオープンとともにどんどん人が入っていきます。したがって、研修期間である約3ヶ月間は原価が増加し、売上高はまったく上がりません。
店舗が徐々にオープンしていくと、早くて3ヶ月、遅くて7ヶ月で単月での収益化が見込まれます。収益化とともに、適正な原価率になっていく仕組みです。
業務受託については、スマホなどの修理を行うため、一気に何名も入れていかないといけません。スマホだけではなく、さまざまなところに修理サービスの運営を請け負っており、そちらに対して人を入れていきます。
第2四半期に採用・育成を行いますが、採用・育成コストは研修している間は完全に原価となり、売上は上がりません。こちらは、スライドに第1弾と記載している下半期から開始する計画です。運営受託のため、開始すると収益化が始まります。したがって、第1弾、第2弾が始まると、確実に適正な原価率となり、収益化されていきます。
これが、先に採用・研修を行うことで、売上が上がってくるまでの間は原価が重たくなってしまうという人的先行投資のご説明です。スライドをご覧いただくと、新規出店したところも下半期に収益化が進んでいくことがお分かりいただけると思います。
業務受託は、開始月が契約で決まっているため、開始すればその分の売上が確実に上がっていきます。これにより、下半期に収益化していきたいと考えています。
法人DXサポートの拡大
法人DXサポートは好調で、第2四半期は増収となりました。大手金融関連では、業務用端末1万5,000台の「Windows11」への入れ替えサポートを行います。大手証券関連では、毎月サービスのメンテナンスを行います。大手居酒屋チェーンでは、DX化のためにPOSレジを導入していきます。
また、自治体向け端末修理、医療DXのキッティングに加え、スライドに記載していないものももちろんたくさんあります。需要が多くあるため、下半期も引き続き、法人DXサポートの案件をしっかりと獲得していきたいと思っています。
前期にもお話ししていますが、法人DXサポートは今日契約して明日始まるということはなかなかありません。営業期間が長く、スタートは少し先になります。今まで営業している部分が下半期に上がってきますので、引き続き取り組んでいきたいと思います。
新規提携・取り組み
新規提携・取り組みです。上半期には、国内大手パソコンメーカーの訪問サポートをテスト稼働しました。2025年1月17日頃から開始し、順調に進んでいます。
2024年11月には「東邦ガス光」の訪問設定サービスを開始しました。さらに、「Windows11」への入れ替え需要が高まっているため、自社ではパソコンの展示即売会も開始しています。
その他新規取り組み
新規出店やさまざまな取り組みを行ってきました。例えば、後半ではベネフィットジャパン利用者向け訪問サポートの開始、ヴァンガードスミスとの業務提携、2025年3月にはスマレジ・MAYAネットソリューションズとサポートサービスを開始しています。新規取り組みと新規提携は順調に進んでいます。
郊外型|新規形態ショップ 4月18日OPEN
自社の「デジタルマーケット」についてです。現状は「スマホスピタル」「PCホスピタル」「ゲームホスピタル」と進めていますが、実は訪問サービスでは月間約300台のパソコンが販売されています。
訪問の段階で「息子と一緒に見にいきたい」「夫婦で見たい」といった声や、訪問で持っていける在庫は台数が少なくなるため、「何台かの中から選びたい」などの声を以前からいただいています。また、スマホの料金見直し相談など、「もう少し気軽に相談に行きたい」という声もあります。
現在「スマホスピタル」では、時間を予約していただいて修理しているため、お客さまが飛び込みで相談に行くと時間がかぶってしまうことがあります。
これまでは訪問サービスで会員になり、電話で相談するなどに取り組んできましたが、今後は店舗に来て自由に相談してもらいたいと思います。PCの購入サポートやスマホの乗り換えなど、デジタルインフラのサポートは今後さらに加速していきます。地域の方々にはお困りの際、気兼ねなく相談していただければ対応していきます。
スライドに「ドラッグストアのデジタル版」と記載していますが、ドラッグストアも処方箋薬局があり、ストア運営していると思います。私たちも「デジタルマーケット」として、個人のお客さまはもちろん、お近くの法人会社にも、さまざまなデジタルのご相談に来ていただければと思っています。
販売やスマホの機種変更などにも対応しつつ、処方箋薬局のような「スマホスピタル」「PCホスピタル」を中に併設することで、修理にも対応できるショップ展開を本日から始めました。訪問した際には、訪問スタッフと連動して、地域の店舗を活かすことができます。
この方程式が出来上がれば、郊外にもこのような店舗サービスを進めていけると思います。私たちの出張拠点がさらに増加し、サポートスタッフの移動効率も良くなるため、こちらを1号店として方程式を作っていきたいと考えています。
2025年4月に、東京の大手町に大規模な「スマホスピタル」を出店しました。大阪の梅田にも出店しており、大手町、梅田を「デジタルマーケット」の2号店、3号店として、新品・中古のスマホ・PCの販売、回線などにも対応します。デジタルをすべてワンストップでサポートするお店として展開していきたい考えです。
2025年8月期 期初予想
今期の見通しです。まず期初予想から修正は行っていません。先ほどお話ししたとおり、受注が取れたものは先行投資として原価が計上されています。下半期で売上が立ってくるため、期初予想を達成するために進めていきたいと考えています。
2025年8月期 下半期施策
下半期の施策です。フィールドサポート事業と会員サポートセンター事業の2本立てになっています。
フィールドサポート事業の個人向けサポートでは、パソコンの展示即売会を上半期にテストし、いろいろと成果が出ているものがあります。こちらは四半期にあらためて展開していきたいと思います。
営業活動強化による新たな提携先の開拓も、今期は順調に進んでいます。営業強化のために新たな執行役員を1名迎え、提携先開拓をさらに進めたいと思っています。また、店舗持込サポートの新規出店と移転の収益化を予定どおりに進めていきます。
先ほどお話しした「デジタルマーケット」は新しいチャレンジになりますが、「デジタルマーケット」を訪問と店舗持込サポートに連動させることで、新たな収益化を図っていきたいと思っています。
持込店舗は今135店舗ですが、前期にお話ししたように、富士通クライアントコンピューティングとの連携で、同社の「PC家庭教師」のお客さまに、私たちの店舗を修理拠点として持込いただいています。
このように、持込店舗として修理にご利用いただくという意味でも、新たな企業と提携し、店舗の新たな使い方、新たな収益のかたちにこれから対応していきたいと思っています。
フィールドサポート事業における法人向けサポートでは、DX支援・キッティング需要が好調ですので、こちらは継続して進めていきます。GIGAスクール端末の修理もどんどん拡大しており、先ほど先行投資部分として触れた大型受託案件も下半期に本格稼働していきます。
法人向けDX支援のニーズは引き続きある見込みですので、そちらを進めつつ、「Windows 10」のサポート終了や、「NEXT GIGA」の一括入替などをきっかけに、法人領域のシェアを拡大させていきたいと考えています。
会員サポートセンター事業は、訪問した際、あるいは「スマホスピタル」にご来店いただいた際の自社会員獲得を強化しています。
加えて、定額会員サービスの会員数が67万人と伸びる中、保険付き保守サービスの法人契約数も順調に獲得が進んでいるため、提携顧客および法人向けの保守サービスの契約も、引き続き伸ばしていきたいと思っています。
会員サポートセンター事業のコールセンター受託については、IT資産導入後の保守・運用を含めたLCM対応に向けて、私たちのコールセンターをどんどん拡大していっています。BPO関連を含めた周辺領域のニーズも取り込むかたちで、コールセンターで受託できるサービス分野をどんどん拡大しているところですので、このまま着実に進めていきたいと思っています。
上半期は営業利益が弱く、ご心配をおかけしました。人件費の先行投資で原価がかかっていましたが、下半期は十分に売上を立てていける見通しですので、引き続きご支援いただければ幸いです。よろしくお願いします。
質疑応答に移りますが、今回決算説明資料の中にもQ&Aをご用意しています。もしお時間がありましたら、そちらもお読みいただければと思います。
質疑応答:個人顧客の年齢分布と若年層からの需要について
司会者:「個人顧客の年齢分布を教えてください。若年層からの需要もありますか?」というご質問です。
家喜:前期の決算説明資料で参考資料としてご案内した、主要事業の顧客属性データをご覧ください。顧客層が、PCとスマホ、また訪問と店舗来店で少し変わっています。
PCでは、こちらのグラフのとおり50代と60代を主力にしつつ、40代から70代ぐらいまで、まんべんなくご利用いただいている状況です。スマホは、やはり20代から30代が多く、20代から50代ぐらいまで、まんべんなくご利用いただいています。個別に顧客層をご紹介すると、このような分布になっています。
私たちとしては、「スマホスピタル」をご利用いただいたら「PCホスピタル」をご案内し、「PCホスピタル」ご利用いただいたら「スマホスピタル」をご案内しています。みなさまどちらのデジタル機器もお使いですので、マーケティングを十分に行い、確実に認知してもらうような取り組みを続け、顧客を統合していく狙いで働きかけています。
もちろん若年層の利用もあります。ただし、若年層の方は親御さまがお支払いになるケースが多く、契約実績として若年層が低く見えている部分もあります。実際は親御さまをきっかけにご利用いただいたり、一緒について来てご利用いただいたりするケースも多いです。
質疑応答:東京証券取引所への上場予定について
司会者:「名古屋証券取引所に上場していますが、東京証券取引所への上場予定はありますか?」というご質問です。
家喜:もちろん東京証券取引所への上場を目標に、名古屋証券取引所に上場しています。当社は今は、東京証券取引所に上場するために会社・事業を着実に成長させていく段階にあります。
時期はここでお話できませんが、なるべく早く上場したいと思っています。東京証券取引所でも時価総額100億円などのお話が最近出てきているため、そのような基準に対応できるように、十分に事業を成長させていきたいと思っています。
質疑応答:株主還元について
司会者:「今後、業績回復が進む中での増配方針はありますか? 株主還元の姿勢をどのように考えているかを教えてください」というご質問です。
家喜:私たちの場合は大きく分けて2つあるかと思っています。1つは先ほどご質問いただいた、東京証券取引所への上場です。もう1つは、今、利益剰余金がマイナスの状態になっているため、利益剰余金を早期にプラスにし、東京証券取引所への上場に進むのか、配当を優先していくのかを判断します。
仮に上場が難しそうであれば、配当を優先するかもしれません。あるいは上場のほうが早期にできそうであれば、そちらを優先する可能性もあります。どちらかとは今は言いにくいのですが、そのような姿勢です。少なくとも利益剰余金が十分にプラスになれば、配当を出していきたいという方針はあります。
当社としてはそれまでの間、みなさまにはお時間をいただくことになるため、株主優待を厚めにし、私たちのサービスをみなさまのお困りごとの解決に役立てていただけたらと考えています。
例えば「スマホの画面が壊れている」「スマホのバッテリーが少し弱くなってきている」、あるいは「家のインターネットのつながりがよくない」など、ご家族のものやご友人のものでも何かお困りごとがあるのではないかと思っています。私たちの株主優待は、スマホの修理にもPCのトラブル解決にもお使いいただけます。
当面は株主優待を厚くして、東京証券取引所への上場あるいは配当開始を早期にできるように進めていきたいと思っています。
質疑応答:新規顧客獲得のチャネル戦略について
司会者:「新規顧客獲得のチャネル戦略について、例えばテレビCM放映やSNS発信など、リブランディングやマーケティング施策の展開はどのように考えていますか? 競合との差別化ポイントがあるかが気になります」というご質問です。
家喜:現状、関西地域でテレビCMのテストを実施しており、「このような影響がある」というデータ取りがある程度できてきています。SNS発信も、すぐにはなかなか効果が出ないのですが、取り組みはすでに開始しており、少しずつ成果が出てきました。ちょうど次の段階に入るところに来ています。
このご質問をいただき、私もドキッとしています。というのも、まさしくリブランディングやマーケティング施策を現在進めているためです。
上半期の決算説明ではお話しすることができなかったのですが、今期はまずは下半期の業績の目標達成に着実に取り組み、最終四半期か来期でリブランディングおよびマーケティングの施策について大きめのものを実施すべく、今検討しています。そのタイミングであらためてお話ができればと思っています。
競合との差別化ポイントについては、冒頭でもお話ししたように、ワンストップですべて手掛けている会社があまりないところです。
一般的に他社の状況として、スマホの修理会社はスマホの修理を行い、PC修理の会社はPC系のことを行い、訪問の会社は訪問だけを行っています。店舗の会社は店舗持込だけに対応しているところが多いです。
デジタル機器全般を扱っており、個人も法人も対応して、さらに店舗と訪問にも取り組んでいる会社はなかなかありません。これが競合との大きな差別化ポイントになると思っています。
「スマホスピタル」「PCホスピタル」などは、1つのブランドにするとさらに強いブランディングができると考えています。こちらは今検討しているところですので、もう少しお時間をいただき、期末の決算発表あたりにいろいろなお話が出せたらと思っています。
質疑応答:売上に占める法人向けサービスの比率や今後の目標値について
司会者:「DX需要や法人会員向けサービスの拡大が利益牽引とのことですが、売上に占める法人向けの比率や今後の目標値はありますか?」というご質問です。
家喜:法人向けサービスの比率は開示していませんが、おおまかに言いますと3割程度です。今後の目標としては、まずは個人の分野で50パーセント、法人の分野で50パーセントというかたちで、バランスを十分に取っていく方針です。
事業を見ていると、法人が好調な時は個人が弱かったり、個人が好調な時は法人が弱かったりというように、助け合う関係性のようなものが不思議と見えているところもあります。そのため、まずは個人と法人でそれぞれ50パーセントにしていきつつ、そこから利益率などの状況を見て目標値を設定していきたいと思っています。
質疑応答:中期経営計画達成における自信と課題について
司会者:「中期経営計画への蓋然性が伝われば株価も出来高ももう少しついてくると思っています。中期経営計画の特に営業利益について、大きく伸ばせる自信はありますか? また、中期経営計画の目標に対して課題となっていることがあれば教えてください」というご質問です。
家喜:「大きく伸ばせる自信はありますか?」というご質問については、もちろん大きく伸ばせる自信はありますし、あるからこそ、今上場して取り組んできています。お時間はいただいていますが、今期実績のとおり、売上高は増収となり、販管費も予定内に収まっています。
売上高、売上原価、売上総利益率については、本来シンプルな構造なのですが、決算説明資料にいろいろと書きすぎて「わかりにくくなってしまっている」などのご意見をいただいています。
この第2四半期の決算説明資料はなるべくわかりやすく作ろうと取り組んでいますが、「このKPIを確実に達成すれば、この目標を達成できる」というKPIを定め、十分に実績を出して、進めていきたいと思っています。
現状としては、件数が増えてくればどんどん利益が出てくる状態になっているため、やはり件数を増やす点が最大の課題、最大のテーマだと考えています。
したがって、知名度を上げる点が課題です。先ほどのおばあさまのお話と同じく、やはりみなさまに知っていただかないと利用していただけません。困った時に「このサービスを使おう」と思い浮かべていただけるようなマーケットリーダー的な知名度が、現状ではまだないということです。
仮に私たちの知名度が現状5パーセントだとすると、10パーセントになれば単純計算では件数が倍になり、20パーセントになればさらに上がります。
先ほどリブランディングやマーケティング施策として、テレビCMの展開に向けてすでに動いているとお話ししました。会社として、営業利益を前期と前々期で着実に黒字にして利益率も改善してきている中で、今期も確実に進め、知名度を高めることにチャレンジしていきたいと考えているところです。
このようなプロモーション活動により知名度をさらに上げて、個人の件数を増やしていくだけでなく、法人のフィールドサポート分野もどんどん獲得していく方針です。
コールセンター受託事業に関しても、販管費の仕組みはほぼできてきている状態にあり、売上を十分に伸ばしていけば、どんどん利益にしていける段階になっています。したがって、まずは知名度を上げながら、目標達成に向けて進んでいきたいと思っています。
質疑応答:のれんの残存期間と今後の償却負担の見通しについて
司会者:「上期でのれん償却が1,397万円あり、営業利益を目減りさせています。のれんの残存期間と今後の償却負担の見通しについて教えてください」というご質問です。
今期ののれんは年間で、今の約1,400万円の倍額、約2,800万円を見込んでいます。このうちの800万円ほどは来期で償却が終了する予定で、残りは今後4年から5年かけて償却していく見通しです。
質疑応答:IoTリフォーム事業の売上規模・利益貢献度・将来展望について
司会者:「重点施策の1つであるIoTリフォーム事業の拡大に注力していますが、この事業の現在の売上規模・利益貢献度・将来展望を教えてください」というご質問です。
家喜:IoTリフォーム事業については、中長期的に成果を出す事業の1つとして取り組み始めています。現在の売上規模は開示していませんが、作業件数がこの上半期で300件ほどありました。前期に比べて作業件数は増えてきていますが、売上規模・利益貢献度の目標水準を考えると、あと1年から2年程度はかかるかと見ています。
現状はIoTリフォームの施工の状態ですが、ここから本格的にリフォームしてIoT化していく施策に入っていきます。そこに進んでいくと、売上規模・利益貢献度が大きくなってきます。将来的には、やはり個人、法人、IoTリフォームというかたちで、1つの柱になってくる事業だと思っています。
ただし、IoT分野は世界に比べて日本は遅れているところがあります。日本でも最近急速にIoT化が進み、追いつきつつありますが、普及にもう少し時間かかりそうなところがあります。そのような状況も踏まえて、売上規模・利益貢献度が十分な水準になるには、あと1年から2年いただきたいところかと思っています。
将来的には、生活を快適に便利にする方向で、かなり多方面で利用できる展望があると見ており、医療や介護サポート等でどんどん使われていくと思います。日本の少子高齢化といった状況においては将来性があり、大いに期待していける分野ですが、現状とのギャップがまだまだあります。
そのため、そちらを埋める作業を行いつつ、あと1年から2年いただけると、売上規模・利益貢献度などの数字が出せるくらいの規模にはなってくるだろうと思っています。
質疑応答:ITサポート市場の需要持続性について
司会者:「ITサポート市場の需要持続性はどのように見ていますか?」というご質問です。
家喜:ITサポート市場の需要については、やはりIT化、DX化がどんどん進んでいるため、デジタル端末がある限り続くものと見ています。
AIに関していろいろ行われていますが、AIを動かしているのはPCです。DX化を行うのもスマホやタブレット端末です。私たちがサポートしている市場のデジタル端末は、ますます増えています。
また、私たちとしては今、個人向けサポートだけではなく、法人のフィールドサポートにも進出しており、受注が拡大しています。そこへの営業強化に加え、今まで個人中心で進んでいた市場から、法人も含めた市場に拡大してきていますので、需要持続性はもちろんのことながら、市場の規模感としてもまだ大きくなっていくと見ています。
質疑応答:出来高を上げるための施策について
司会者:「日々の出来高が低く、投資家としては投資を躊躇しています。出来高を上げるための施策は考えていますか?」というご質問です。
家喜:私たちとしては、個人向けの投資説明会を精力的に開催したり、SNSでの発信も始めたり、このようにログミーさまを利用するなど、投資家の方に情報をお届けできるようにいろいろな施策に取り組んでいます。
先ほど東京証券取引所への上場や、テレビCMのお話もしましたが、下半期に私たちが確実に業績を伸ばした上で、来期にはそのような大きな取り組みに挑んでいきたいと思っています。
私たちのサービスは、認知度が高まれば上場している私たちの株にも注目してもらえるのではないかと思っています。サービスの認知度拡大とともに、銘柄としての認知度もセットで上げていくような取り組みを、来期の施策として発表できるようにしていきたいと考えています。
それによって出来高が上がるかどうかというのは、私たちもいろいろ取り組んできた上での現状であり、なかなか当社だけでコントロールできるようなお話ではないため、はっきりお伝えできませんが、私としては業績を着実に上げ、IRを行ってご理解いただいていくしかないと思っています。
施策としては、テレビCMやSNSを活用して銘柄としての認知度を上げ、さらに東京証券取引所への上場を達成していきたいと考えています。あわせて、他の会社のお話なども参考にし、引き続きいろいろ取り組んでいきます。
「このような取り組みは効果があるのではないか?」といったお話が少しでもあれば、ぜひご教示いただきたいと思っています。私たちも出来高を増やしていきたいと思って取り組んでいますので、引き続きご支援いただければと思います。
質疑応答:関税上昇による需要への影響について
司会者:「関税の影響を教えてください。『iPhone』が関税で値上がりし、一般人が買えなくなった場合、御社の需要は増しますか?」というご質問です。
家喜:当社への需要は増すと思います。現状、関税が上がらなくても「iPhone」はどんどん高くなっているため、今までのように新しいモデルが出たらすぐに買い替えるといった行動もなくなってきています。
PCも当初は新しいモデルが出たら買い換えるサイクルでしたが、PCの買い替えサイクルも3年から5年に伸び、今はもう7年に迫っています。スマホも、買い替えサイクルが短かったところ、徐々に2年、3年と伸びてきている状況です。
したがって、「今回は修理して」「今回はバッテリー交換して」というかたちで、1モデルから2モデルを待って、次のモデルで買い換えるといったお客さまがすでに増えています。ここでもしも関税等の影響でより高くなるということになれば、当社事業へのニーズは増えてくると思います。