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とあるGAFA勤務×プロップトレーダーさん FXインタビュー|偶然ではない値動きのクセをデータ分析で炙り出す

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IT業界の世界的大手・GAFAの一角でデータアナリストとして勤務しながら、プロップトレーダーとしても精力的に活動するGAFAさん。膨大なデータをもとに、再現性と堅牢性を両立させたトレード戦略を構築するスタイルが特徴です。

「データ分析をいかにFXのトレードに生かすか?」──その手法の本質と、確度の高いトレードを実現するための考え方に迫ります。

FX雑誌『外国為替』vol.2より改変/インタビュー日:2022年11月14日

 

とあるGAFA勤務×プロップトレーダーさんプロフィール

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大学院時代に学費の足しにするためにトレードを開始。GAFAに就職後にトレードを休止したが2019年に再開し、昼間はデータ分析、夜は海外の会社から提供された資金でトレードをしている。膨大なデータを使って相場の傾向を見いだし、ポジション保有時間は最長でも4時間。YouTubeで勝ち方に関する動画を配信中。

データで示す、再現性と堅牢性の追求

─まずは自己紹介をお願いします。謎めいた人物のとあるさんですが、どのような経歴の人物なのかを知りたいです。

今でこそSNSではアカウント特定が進んでいますが、少し前のTwitter(現X)では「GAFA勤務」を名乗る怪しげなアカウントが多く存在していました。私は、そうした「怪しいGAFA系アカウント」と「プロトレーダーを名乗る怪しいアカウント」の要素を掛け合わせ、見た目は怪しいけれど中身は超真面目という、そんなギャップをコンセプトに活動を始めました。

最初はフォロワーも少なかったのですが、同じくデータ分析を取り入れている方々にリツイートしてもらううちに、徐々に広がっていきました。当初はTwitterスペースでのトレード分析が中心でしたが、現在はYouTube配信に軸足を移し、Twitterではその補足情報を発信しています。

なお、個人のトレードではプロップトレーダーとして契約し、実際の資金で取引を行っています。

─プロップトレーダーとして活動しているとのことですが、どのような流れで契約に至ったのでしょうか?

日本にはプロップファームの数が少なく、ほとんどが正社員雇用です。しかし、海外では実力を証明すれば業務委託で資金を任せてもらえるケースが一般的。もちろん怪しい業者も混じっていますが、信頼性の高いファームも存在します。

例えば、プロップファームが提示するルールに従ってデモ口座で取引し、利益を出せることを証明できれば本契約に進めるという仕組みです。私が契約している2社のうちの1社では、ポジションのドローダウンは口座全体の1.5%以下、最大許容ドローダウンが8%のリスク管理ルールでトレードし、8%の損を出したらチャレンジ失敗で。10%以上の利益を出せば本契約となります。

私は英語ができるので、基本的に海外のファームに目を向けていろいろ調べていて、自分の実力を証明するためのチャレンジを開催しているファームのいくつかに応募しました。英語ができないと厳しいですが、トレードの実力がある人は応募してみると良いと思いますね。日本の「Turn Trading」という会社はスタートポイントとしてはベストだと思います。社長であるニコラス・グールド氏はプロップトレーダーに関しての解説をブログで行っているので、活用すると良いのではないでしょうか。

─どうやってそこまでのトレードスキルを身につけられたのでしょうか?

大学院時代、生活費や学費の足しになればと、2013年ごろにトレードを始めました。当時はアベノミクスの初期の段階で、日経平均先物を買えば上がる時期ということもあり、自分の学費をサポートできるくらいは勝っていたんです。でも、2015〜2016年ごろでしたかね、トランプ相場に売りで刃向かってものすごく負けました。トータルだと4桁万円近く…。そこでトレードは中断しました。

その後、外資系コンサルに就職。金融系のクライアントも担当し、いろいろな話をクライアントに聞くと、今の取引はコンピュータが大部分を占めていて、大規模データの分析結果にあやかる厳格な検証とリスク管理が適用されているとのことでした。それからデータアナリストとして仕事をするようになり、データを分析する仕事をしているのだったら、自分の持っている技能を生かしてトレードにリトライしてみようかなと思い、学生時代よりも資金が豊富だったこともあってトレードを再開しました。私はプログラマーやエンジニアではないのですが、データ分析の枠組みや注意点については把握していたので、それをトレード経験に結び付けていきました。

日経平均先物をやっていた学生のころは、Twitterで先物界隈を見ていましたが、データ分析を使って戦っている人は本当に少なかった印象です。今でも、データ分析を取り入れている人の多くはEA開発者ですが、私はMT4を使わず、より自由なアプローチで相場と向き合っています。EAを作っていない私なら面白い発信をできるのではないかと思ったのが、TwitterやYouTubeを始めたきっかけになりますね。

例えば、現在YouTubeで発信しているテーマは「相場を時系列として捉えない考え方」。同じ曜日・同じ時間帯の値幅や方向を徹底的に標準化して別個のデータポイントとして扱い、偶然ではないような値動きのクセを炙り出そうとしています。

統計データで“偶然”を見抜き、堅実な手法を構築する

─時間帯や曜日での傾向分析という着想は、どこから得たのですか?

きっかけは、前述の「Turn Trading」で紹介されていたブログ記事です。社長のニコラス・グールド氏がいろいろな情報をブログで発信していて、時間帯や曜日の重要性を説いていました。簡単に説明すると、時間帯や曜日によって参加プレイヤーが違うので、それぞれの曜日や時間帯によって相場にくせが出るという内容です。

ある通貨ペアのある曜日はこのように動くと書いてあって、本当なのかと調べてみると、結果には大きなバラツキがありました。例えば、60%の可能性で特定方向に動くとブログに書いてあっても、実際は偶然の可能性もあると。マーケットの真の傾向は未知なので、60%という分析結果はある程度の誤差がある値として扱われる必要があります。例えば正しい値が45%なのに、分析結果として出てきた60%という値を信用してトレードするといつかは負けますよね?

時間帯や曜日によって、違うエッジが存在するという理論はコンセプトとしては納得できますが、本当にそう動くのかは彼が発信している情報では必ずしも示しているとはいえなかったので、自分の中で確信するためにはどうすれば良いかと考えたのがスタートですね。

要するに、曜日や時間帯から分析した60%の可能性が偶然だったのなら棄却する。より高い確信を持って何%なのかを追及するのが統計学なので、その見地を持ってくれば堅牢なエッジを作れると思ったのが始まりです。

─テクニカル分析でサインを探すより、統計学から始めるのは珍しい印象です。

私がやっている分析はクオンツ分析みたいなイメージです。クオンツ分析はファンダメンタルズを分析する方法と、テクニカルに近いものを分析する方法があると思っていて、私は後者に近いです。いわゆるMACDみたいな指標は使わないのですが、使おうと思えばしっかりと分析したうえで、ある時間帯で確実に効果があるなら使うというスタンスです。

テクニカル指標も4本値からできているので、広義では同じといえば同じです。ただ、テクニカル分析にはデータの裏付けがないんです。価格を使っているという意味ではテクニカルに近いけど、精神性は異なります。基本的には、どのような分析方法でも最終的に統計学的な見地などのデータの裏付けがあるものは使う候補に入っています。

─ニコラス氏の相場理論が腹落ちした部分があるのは、データアナリストとしての経験が影響していそうですね。

それはありますね。私のYouTubeの動画でも言っていますが、同じ性質のデータを取ってこれるかが全ての肝です。例えば、朝8時台の10pipsと夜11時台の10pipsはボラティリティが違うから、全く違うデータですよね。朝8時台の10pipsを比べるなら、別の日の同じ朝8時台と比較するのが重要なんです。

相場の動きはランダムと言われたりしますが、人間の行動形態はランダムではありません。大きな資金を動かしている銀行のトレーダーは、朝にポジションを取って、昼にランチに行って、夜は帰宅して寝るみたいに規則性がある生活をしているので、その人間の規則性によって相場にひずみが必ず出てくるんです。そのひずみを見つけるには、偏りのない同じ事象を記述しているデータをたくさん集める必要があります。その意味では、同じ曜日や時間帯で分析するのは腹落ちします。

─相場のクセは参加者によって変わる。それについて値幅を取っていく考え方はシステムトレードの世界では一般的かと思いますが、日本ではあまり流行っていないかもしれません。

プロトレーダーはそのような海外の考え方を引用すると思います。個人投資家で見ると、テクニカル指標やラインのように、いろいろなテクニックを使っている人がいます。ただ、それらのテクニックに再現性があって、堅牢であるかどうかはデータで示さなければ何とも言えないです。

同じ手法を使っても、勝っている人と負けている人がいますよね。ある手法を使って勝ち続けている人はたまたま勝っているだけかもしれないけど退場しないから、その人たちの発言が大きくなっていきます。負けている人は知らないうちにいなくなるし、自分の負けた経験を発信したがらないので、相場の世界は特に生存バイアスが強烈だと思います。

本当に再現性があるかはデータで示さないと分からない。でも、データで再現しようとする人はほとんどいないというのが現状なんです。

─負けている人はいつのまにか消えていきますよね。SNSなどで発信しているとプレッシャーが大きくなるので、スタンドプレーに走って損失が大きくなるのかなと思います。

それはあると思いますが、フォローしている人のリテラシーの低さも要因の一つではないでしょうか。100戦98勝の手法を持っている成功者でも、1回の負けトレードで叩かれるみたいな。トレードは一連のトレード結果で測らなければいけないのですが、個別のトレードで評価するフォロワーが出てくると、叩かれるのが嫌になって消える人も多いと思いますね。消えた人の中には今も勝ち続けている人もいると思います。

統計学やデータ分析でトレードを分析すると込み入った話になりますが、それを全て理解する必要はなくて、考え方が大切です。トレードは1回の勝ち負けで判断するのではなくて、何十回、何百回なりのトレード結果で考えなければならないみたいな役に立つ考え方が無数にあるので、それらを押さえておくだけでも変わると思います。

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