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ビジョナル Research Memo(2):日本の採用支援市場に変革をもたらした「BizReach」

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■ビジョナル<4194>の事業内容

1. HR Techセグメント
(1) BizReach
「BizReach」はプロフェッショナル人材(管理職・専門職)に特化した会員制転職プラットフォームである。ビジネスプロフェッショナル人材、国内外の優良・成長企業、各業界に精通したヘッドハンター(人材紹介会社に所属するエージェント)の三者を直接つなぎ、効率的にマッチングする機会を提供する。企業が必要な人材に主体的にアプローチできる「ダイレクトリクルーティング」を日本に定着させたことにより、企業は採用コスト削減と迅速な人材確保が可能になり、求職者にとっても新たなキャリアの選択肢が広がったことで、転職(採用支援)市場に大きな変革をもたらし、新たな価値を提供し続けている。

a) BizReachの強み
1) 強固な収益基盤
「BizReach」のビジネスモデルは、直接採用企業・ヘッドハンター・求職者の三者に対する課金構造を持ち、安定した収益基盤となっている。直接採用企業やヘッドハンターからのプラットフォーム利用料(リカーリング売上高)と採用成功時の成果報酬(パフォーマンス売上高)、さらに求職者向けのプレミアム会員課金によって収益を得ている。プラットフォーム利用料による安定収入に加え、成果報酬による変動収入を組み合わせることで、急激な景気変動にも比較的強いビジネスモデルとなっている。2025年7月期の売上高タイプ別構成は、パフォーマンス売上高が67%、リカーリング売上高が33%であり、直接採用企業とヘッドハンターの売上高構成は、直接採用企業が68%、ヘッドハンターが32%であった。

2) 拡大する顧客基盤
「BizReach」の競争優位は、強固な収益構造を支える顧客基盤の規模にある。2025年7月期の主要KPIを前年同期と比較すると、累計導入企業数※1は約6,400社増加、利用ヘッドハンター数※2は約1,200名増加、スカウト可能会員数※3は約49万人増加、年次利用中企業数※4は約2,800社増加と、各指標とも堅調に成長した。さらに、幅広い業種をカバーしているため、好不況の波を受けにくい構造となっている。これにより安定的なマッチング環境が維持され、サービス価値の向上につながっている。また、日本の雇用流動化が進む時流とも整合的である。

※1 「BizReach」を導入した累計企業数(ヘッドハンターを除く)。
※2 ビズリーチによる審査を経たヘッドハンター数。
※3 データベース上に登録されている会員のうち、採用企業またはヘッドハンターへの職務経歴書公開設定を「公開」にしている会員(無料会員を含む)。
※4 会計期間中に1日以上の利用がある直接採用企業数。

3) 市場データ及び生成AIの活用
事業開始以来16年間にわたり、「BizReach」に蓄積された転職市場のデータを学習した生成AI(ビズリーチAI)を搭載したレジュメ自動作成機能や求人自動作成機能を開発したことで、求職者や人事部門・採用現場の中途採用にかかる時間や労力を大幅に削減し、より少ない手間でより精度の高いマッチング機会を創出している。2025年7月末時点において、ビズリーチは生成AI関連の保有特許数が業界問わず日本で1位となっている※。このような独自のデータと技術力が同社グループの収益基盤と顧客基盤を支える強みとなっている。

※ 決算説明資料より引用。「株式会社知財図鑑」による、2025年7月31日までに登録され、2025年8月31日時点で登録中の生成AI関連特許に関する調査をもとに、同社が加工して作成。

b) 市場環境
日本では、正規雇用者の年間転職率は3%弱にとどまり、諸外国と比較すると依然として低水準にあるが、コロナ禍を経て雇用の流動化が進み、就業者に占める転職等希望者数は2023年に初めて1,000万人を超えた。主要企業における中途採用計画人数も年々増加しており、採用計画総数に占める割合は50%弱まで上昇している。同社の成長機会は、今後期待される雇用のさらなる流動化による中途採用市場の拡大や、「BizReach」未利用企業(従業員101名以上の企業数約5万社のうち、2025年7月期の「BizReach」年次利用中企業数18,800社)への拡大ポテンシャルである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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