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巴工業、連続最高益更新で新中計発表 資本効率、利益率を高めROE10.5%目指す 配当性向引き上げ、DOE導入も

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2025年12月23日に発表された、巴工業株式会社2025年10月期決算および中期経営計画説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

2025年10月期 決算

橘田一幸氏(以下、橘田):取締役執行役員、経理部および経営企画部担当の橘田です。私より、2025年10月期決算の概要についてご説明します。

売上高は、化学工業製品販売事業および機械製造販売事業の両事業が伸長したことで、前年度比13.9パーセント増の593億6,500万円となり、2期連続で過去最高を記録しました。

利益面では、機械製造販売事業が増益となったことから、営業利益は前年度比13.8パーセント増の53億5,200万円、経常利益は同13.1パーセント増の54億100万円となり、いずれも5期連続で過去最高益を更新しました。

さらに、親会社株主に帰属する当期純利益は同6.5パーセント増の38億5,100万円となり、2期連続で過去最高益を更新しました。

2025年10月期 決算 –化学工業製品販売事業–

続きまして、事業ごとの業績についてご説明します。

まずは化学工業製品販売事業です。全体の売上高は鉱産関連の樹脂向け添加剤や、化成品関連のコーティング用途向け材料等が伸長したことから、前年度比12.8パーセント増の441億2,700万円となりました。

営業利益は、人件費などの販管費増加により前年度比0.2パーセント減の35億800万円となりました。

樹脂向け添加剤の伸長が売上高の増加に大きく寄与しましたが、仕入れ価格の高騰により原価も大幅に増加したため、利益率は約1.5ポイント低下しています。

2025年10月期 決算 –化学工業製品販売事業–

化学工業製品販売事業の分野別売上高についてご説明します。

化成品関連は、新規商権の獲得によるコーティング用途向け材料の好調により、前年度と比べ8億5,000万円の増収となりました。

鉱産関連は、中国の輸出規制を背景に、中国以外のソースを持つ当社三酸化アンチモンの需要が急増し、前年度と比べ75億8,600万円の大幅な増収となりました。

一方、工業材料関連は、超高層ビルの工期遅れや住宅着工件数の減少等により、建材や耐火物向け材料が伸び悩んだため、前年度と比べ8,200万円の減収となりました。

機能材料関連は、EV市況の悪化によるパワー半導体向け部材の低調により、前年度と比べ19億7,700万円の減収となりました。

電子材料関連は、市況悪化による半導体組立用途向け材料の低調により、前年度と比べ3億1,100万円の減収となりました。

合成樹脂関連は、星際グループの清算に向けた販売減、および中国市況悪化による低調により、前年度と比べ9億400万円の減収となりました。

2025年10月期 決算 –機械製造販売事業–

次に、機械製造販売事業の業績についてご説明します。

同事業全体の売上高は好調な受注に支えられ、国内の官需および民需向け販売が好調だったことから、前年度比17.2パーセント増の152億3,800万円となりました。営業利益は増収の結果、前年度比55.4パーセント増の18億4,400万円となりました。

2025年10月期 決算 –機械製造販売事業–

続きまして、機械製造販売事業の分野別売上高についてご説明します。

国内官需では、大都市圏での元請受注が増加し、全分野で増収となり、前年度と比べ14億円の増収となりました。

国内民需では、民間企業の活発な設備投資により全分野で増収となり、前年度と比べ13億1,500万円の増収となりました。

海外では、半導体装置の販売により装置工事が増収となった一方、部品修理については前期に大型の繰越案件があったことなどから、全体では前年度と比べ4億8,000万円の減収となりました。

ただし、前期の大型案件は前々期からの繰越によるものであり、そのような特殊要因を考慮すると、堅調な売上が続いていると考えています。

2025年10月期 受注残 –機械製造販売事業–

次に、機械製造販売事業の受注残についてご説明します。

2025年10月期の受注残は、官需を中心に受注の好調が継続した結果、前年度と比べ2億7,500万円増加し、過去最高を更新しました。

2026年10月期の受注残見込みは、受注の増加を上回る売上高の増加を見込んでいるため、前年度と比べ減少する見込みです。

ただし、これは現時点で一定以上の確度が見込まれる案件を積み上げたものであり、引き続き好調な受注状況が継続していると認識しています。今後も受注高を積み上げられるよう、努力していきます。

2025年10月期 決算 –B/S (連結)–

貸借対照表について特筆すべき事項はないため、説明は割愛します。

2026年10月期 通期業績見通し

ここからは、2026年10月期の通期業績見通しについてご説明します。

売上高は、両事業の伸長により前年度比6.5パーセント増の632億円の見通しです。利益面では、両事業の増益により、営業利益は前年度比7.4パーセント増の57億5,000万円を見込んでいます。

経常利益は同6.8パーセント増の57億7,000万円、親会社に帰属する当期純利益は同9.1パーセント増の42億円と、それぞれ過去最高益を更新する見込みです。

新中期経営計画の初年度として、売上および各利益の過去最高更新を目指す、大変チャレンジングな見通しとなっています。

2026年10月期 通期業績見通し –化学工業製品販売事業–

続きまして、事業ごとの業績見通しについてご説明します。

まず、化学工業製品販売事業です。全体の売上高は化成品や機能材料関連を中心とした販売増により、前年度比3.8パーセント増の458億円となる見込みです。

営業利益については、人件費や将来の成長を目的とした営業開発関連の販管費の増加を見込むものの、増収効果により前年度比4.6パーセント増の36億7,000万円となる見込みです。

また、機能材料関連が来年の後半にかけて回復すると見込んでいることなどから、上期と比較して下期が伸長する見通しとなっています。

2026年10月期 通期業績見通し –化学工業製品販売事業–

化学工業製品販売事業の分野別の通期売上見通しです。

化成品関連は、UV硬化樹脂原料やエポキシ関連原料等の拡販により、前年度と比べ13億700万円の増収を見込んでいます。

鉱産関連は、樹脂向け添加剤の国内需給バランスが改善傾向にあることから、前年度と比べ19億5,000万円の減収を見込んでいます。

工業材料関連は、超高層ビル向けコンクリート混和材の拡販により、前年度と比べ2億1,500万円の増収を見込んでいます。

機能材料関連は、下期からの半導体市況の回復を見込み、次世代パワー半導体向け部材の拡販により、前年度と比べ12億7,800万円の増収を予想しています。

電子材料関連は、下期からのPC・スマホ市況の回復を見込み、半導体組立用途向け材料の拡販により、前年度と比べ3億3,700万円の増収を見込んでいます。

合成樹脂関連は、輸入樹脂や海外でのリサイクル樹脂の拡販により、前年度と比べ4億5,100万円の増収を見込んでいます。

2026年10月期 通期業績見通し –機械製造販売事業–

機械製造販売事業の通期売上見通しについてご説明します。

全体の売上高は、国内民需および海外向けの機械や部品修理の販売が好調であり、前年度比14.2パーセント増の174億円となる見込みです。

営業利益は、人件費や販管費の増加が見込まれるものの、増収効果により前年度比12.8パーセント増の20億8,000万円となる見込みです。

また、例年どおり官需向け販売が3月までの年度末に集中することから、機械製造販売事業全体では売上・利益ともに上期に偏る見通しです。

2026年10月期 通期業績見通し –機械製造販売事業–

続きまして、機械製造販売事業の分野別見通しについてご説明します。

国内官需では、前期に大幅に伸長した流れを受け、東京や大阪をはじめとする大都市での元請受注が堅調であることから、全体で前年度と比べ1億3,800万円の増収を見込んでいます。

国内民需では、装置工事が減収となる見込みであるものの、石油化学および廃プラスチック向けの機械の好調や、石油化学向け部品修理の好調を見込んでおり、全体では前年度と比べ3億3,000万円の増収を見込んでいます。

海外では、石油化学向けの機械が中国を中心に大幅な増収を見込むほか、部品修理もインドや米国を中心に増加が見込まれることから、前年度と比べ16億9,300万円の増収となる見込みです。

なお、後ほど中期経営計画でご説明するバイナリーおよび第3の柱となる新規製商品の売上見込みは、現状、民需の部品修理に含めて計算されています。

前中期経営計画の振り返り –サマリ–

橘田:あらためまして、私より、前中期経営計画の振り返りについてご説明します。振り返りは、ポイントのみ簡潔にお伝えします。

まずはサマリーです。前中計期間は売上および利益ともに継続して伸長し、最終年度の実績はスライドに記載のとおり、売上高、経常利益、ROEいずれも最終目標を上回る結果となりました。また、PBRは最終年度に1.11倍で着地し、目標としていた1倍超を達成しています。

前中期経営計画の振り返り –業績・株主還元–

実績の詳細については、スライドをご覧ください。

1点だけ申し上げると、中期経営計画の最終年度となる2025年10月期の配当は、目標を達成したことを踏まえ、配当性向46パーセント超を実現し、分割前換算で1株当たり181円とする大幅な増配を実現しました。

前中期経営計画の振り返り –重点施策–

続きまして、重点施策についてです。こちらのスライドに「化学品事業」「機械事業」「その他」、各項目の成果を記載しています。後ほどご覧ください。

前中期経営計画の振り返り –株価推移–

前中計期間中の株価はスライドのとおりです。

好調な決算や株主還元の強化などをご評価いただいたことで株価が上昇していることに加え、株式分割や売出しなどの流動性向上策を実施した結果、出来高が増加傾向にあることがお分かりいただけると思います。

基本方針・重点課題

ここからは、2028年10月期までの新中期経営計画についてご説明します。

当社の基本方針と重点課題を、本スライドにまとめました。「高い技術と優れた製商品を提供し、社会に貢献する」という経営理念を軸に、2つの基本方針と4つのマテリアリティを掲げています。

今回はこれらの内容をベースに、第14回中期経営計画「『Create the New Future』~新たな未来の創造~」を策定しました。

業績目標

中期経営計画の業績目標についてご説明します。

2028年10月期の目標として、売上高700億円、経常利益70億円、ROE10.5パーセントを目指します。事業別では、機械製造販売事業を大きく成長させることを目標としています。

掲げた目標は非常にチャレンジングな数値であると認識しているため、後ほどご説明する各事業の重点施策を推進し、持続的な成長を促すことで、本中期経営計画の達成を目指します。

当社の強み

こちらのスライドでは、当社が自負する強みについてまとめています。後ほどご覧いただけますと幸いです。

重点施策 (化学工業製品販売事業)

玉井章友氏(以下、玉井):代表取締役社長の玉井です。それでは、新中期経営計画の中核となる重点施策と事業ポートフォリオについてご説明します。

化学工業製品販売事業と機械製造販売事業について、具体的にご説明します。

まず化学工業製品販売事業の重点施策についてですが、掲げる重点施策はスライドに記載の4つの項目です。

1つ目は、強みや特色を活かした営業活動により利益を最大化することです。特に、売上総利益1億円以上の商材を拡充することで、業績の安定化とさらなる成長を目指します。

2つ目は、海外事業の拡大推進です。東南アジアでの事業拡大、欧州市場での拡販、インド市場の開拓を目指します。

3つ目は、ポートフォリオ戦略の推進です。高収益事業への経営資源投下と、課題事業の収益改善に取り組みます。

4つ目は、新商品の開発推進です。収益拡大に寄与する新商品に加え、収益基盤の多様化を図ります。次のスライドで、取り組み方針についてご説明します。

重点施策 (化学工業製品販売事業)

化学工業製品販売事業は、現在の売上高が441億円、営業利益が35億円となっていますが、2028年10月期には売上高500億円、営業利益42億円を目指します。

この目標を達成するために、スライド右側に記載の取り組み方針に基づき、さらなる成長に向けて取り組んでいきます。

具体的には、化成品関連、工業材料関連、鉱産関連において、高付加価値商材・高付加価値用途を軸に置いた開発や拡販活動を推進し、さらなる成長を図っていきます。

機能材料関連では、次世代パワー半導体市場での拡販および新商材の開発を進め、電子材料関連では半導体市況の影響を受けにくい体制の構築を目指します。合成樹脂関連については、輸入樹脂やリサイクル樹脂の拡販を軸に成長を目指していきます。

一方で海外については、東南アジア地域でリサイクル樹脂および新規商材の販売を進め、EU圏では次世代パワー半導体商材の拡販および新規商材の販売を行います。また、インドでは耐火物向け原料や食品包装材向けの機能性部材を中心に、新規開拓を目指して取り組んでいきます。

加えて、さらなる企業価値向上を実現するための選択肢の1つとして、M&Aも積極的に検討したいと考えています。

補足 : 化学工業製品販売事業のビジネスフロ–

補足となりますが、このスライドは、化学工業製品販売事業における輸入販売ビジネスフローの一例を示しています。

特徴として、当社はストックセールスを得意としており、適正な在庫管理を行いながら安定供給に努める商社活動を展開しています。

重点施策 (機械製造販売事業)

続いて、機械製造販売事業における重点施策についてご説明します。

重点施策としては、当社の基盤である遠心分離機の海外事業拡大、バイナリー発電装置の事業基盤確立、機械商社機能の強化の3本柱を中心に進めていきます。また、4つ目の新工場建設による生産能力の増強を通じて、販売拡大を目指します。

詳しくは、次のスライドでご説明します。

重点施策の推進 (機械製造販売事業)

機械製造販売事業では、2025年10月期の売上高152億円、営業利益18億円から、2028年10月期には売上高200億円、営業利益28億円を目指します。

この目標を達成するために、スライド右側に記載された3つの柱を推進していきます。

第1の柱は、基盤事業である遠心分離機です。国内では、堅実で安定した成長を目指します。海外では、インド市場の開拓を中心に、東南アジア、米国、中国での事業拡大を推進し、販売体制を構築します。

生産体制については、新工場の建設により生産能力を現状の1.5倍まで向上させ、さらに製販連携の効率化を進めていきます。

第2の柱は、バイナリー発電装置の販売促進です。昨年度に、30キロワット級の小型機の1号機を受注しました。これを契機に受注の拡大を図るとともに、100キロワット級の中型機の開発・販売実現に向けて努めていきます。

第3の柱は、機械商社としての機能を高め、環境負荷低減につながる製商品の拡充と販売の実現です。超低温ベルト乾燥機に関しては、すでに顧客における実証実験を実施し、現在多数の商談を進めています。また、水素関連商品の探索の一環として、水素濃度センサの営業展開を行い、販売を開始しました。

本中期経営計画では、将来の成長に向けた基礎を固めるべく、以上の3本の柱を力強く推進していきたいと考えています。

補足:機械製造販売事業のビジネスフロー

こちらのスライドは補足資料ですが、機械製造販売事業のビジネスフローについて示しています。

当社では小型機から大型機まで生産しており、機械の納期は5ヶ月から12ヶ月を要します。当社の機械はカスタムメイドのため、純正部品による定期的なメンテナンスを行うことで、機械の長寿命化に対応しています。

当社は、充実したアフターサービスが他社との差別化の大きな要因であると自負しています。

補足:新工場概要

こちらも補足資料です。昨年取得した工場用地に建設予定の新工場の概要は、こちらのスライドに記載のとおりです。2027年10月の稼働を目指しています。

事業ポートフォリオ (化学工業製品販売事業・機械製造販売事業)

次に、本中期経営計画における各セグメントの成長性についてご説明します。まず、左のグラフをご覧ください。

このグラフは成長性を示しており、中期経営計画期間における売上高伸率と利益伸率を表しています。赤は化学工業製品販売事業、青は機械製造販売事業で、球の大きさは売上高を示しています。

化学工業製品販売事業では、各セグメントともに安定的な成長を目指します。一方、機械製造販売事業では、国内での安定的な成長を目指すとともに、海外での事業拡大を力強く進めていきます。

右のグラフをご覧ください。縦軸は各セグメントの売上高、横軸は利益額を示し、成長推移を表しています。化学工業製品販売事業では、売上総利益1億円以上の商材を拡充することで、安定的な成長を目指します。

機械製造販売事業では、国内での安定的な成長を維持し、海外ではさらに大きな成長を図ります。また、第2、第3の柱となる商品については、この3年間で事業基盤を確立させる方針です。

資本コストや株価を意識した経営 〈全体観〉

橘田:続きまして、資本コストや株価を意識した経営についてご説明します。

資本コストや株価を意識した経営の全体観については、資本効率と利益率を高めることで経営効率の向上を追求し、本中期経営計画期間中に時価総額700億円を目指します。

要点を絞ってお伝えすると、当社は長らく無借金経営を続けていますが、これまでと同様、収益力の強化に加え、健全性を確保しつつ、必要な有利子負債を活用することで資本効率を高め、ROE10.5パーセントおよびPBR1.5倍を目指します。

事業ポートフォリオ戦略としては、先ほどご説明したとおり、両事業において収益性・成長性の高い事業に対して優先的に経営資源を投入していきます。キャッシュアロケーションや株主還元については、この後のページで詳細をご説明します。

IR活動については、今期以降もコミュニケーションの場を増やすことに加え、チャネルの幅を広げつつ、積極的な情報発信に努めていきたいと考えています。

資本コストや株価を意識した経営 〈キャピタルアロケーション(3年間累計)〉

キャピタルアロケーションについてです。スライド左側にキャッシュイン、右側にキャッシュアウトの図を示しています。

まず、資本コストを意識した経営により、3年間で営業キャッシュフローとして約145億円を創出する計画です。

このほか、外部から最大で約60億円を調達することを想定しており、先ほどご説明した新工場建設に関わる公的補助金も含まれています。また、必要に応じて有利子負債も有効活用していきます。

3年間で累計約200億円のキャッシュインを見込み、これをキャッシュアウトにおいて、①株主還元、②成長投資、③戦略投資へ最適に配分します。

配当方針を見直した株主還元については、すでに実施している自己株式取得分の9億円を含め、3年間で80億円から85億円を見込んでいます。

成長投資は、既存事業領域の生産力強化や効率化を中心に、75億円から80億円を想定していますが、特に新工場の建設が最大の投資対象となります。

戦略投資は、両事業の海外展開に加え、機械製造販売事業では第2の柱と位置付けるバイナリー発電装置販売事業を軌道に乗せるための投資や、第3の柱となり得る新たな製商品の発掘への投資を計画しています。

化学工業製品販売事業も、商品ラインナップの拡充や新たな商流の開拓といった、中長期的な事業ポートフォリオの構築を目指した事業拡大に向けたM&Aなどが戦略投資の対象となります。

戦略投資には30億円から40億円を配分していますが、外部調達の余力があるため、投資案件に応じて積極的に増額を検討していきたいと考えています。

資本コストや株価を意識した経営 〈株主還元方針〉

最後に、株主還元方針についてです。

前中期経営期間中は、配当性向40パーセント以上を目標に、安定的な配当を実施してきました。

特に前期は、資本効率の向上を図るため、株式分割や売出し、自社株買いを進め、流動性の向上に取り組みました。本中期経営計画では、配当性向を40パーセントから50パーセントに引き上げます。

また、新たな配当方針として株主資本配当率(DOE)を導入します。本計画では、これまで以上に株主還元を最重要課題と位置づけ、配当方針としてDOE5パーセントを下限とし、連結配当性向50パーセント以上を目標に、安定的かつ継続的な配当を実施していきます。

非財務目標 ~サステナビリティ経営について~ 〈基本方針・重点活動〉

藤井修氏:取締役執行役員、総務部および業務部担当の藤井です。巴工業グループでは、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指し、スライドにある3つの基本方針を掲げています。この基本方針を踏まえ、新しい中期経営計画では特に2つの重点活動を設定しました。

1つ目は、気候変動問題への対応です。CO2排出量の削減を重点課題とし、環境負荷を減らす取り組みを強化していきます。

2つ目は、人的資本経営の推進です。多様性を尊重し、従業員のエンゲージメントを高めていきます。

非財務目標 ~サステナビリティ経営について~ 〈気候変動問題対応〉

重点活動の1つ目である、気候変動問題のCO2削減活動についてご説明します。

当社グループでは、CO2排出量の削減において、直接的な削減と間接的な削減の2つのアプローチで取り組みを進めていきます。

スライド左上に記載されている「①CO2排出量の直接的な削減」は、Scope1、Scope2、Scope3の3つの削減目標を指しています。

自社の事業活動における排出量であるScope1とScope2については、2021年度の排出量が903トンでしたが、2025年度には499トンまで削減することができました。今後もさらなる削減を目指し、取り組みを続けていきます。

一方でScope3は、サプライヤーの排出量に該当します。こちらについても、2024年度の29万8,000トンから、2025年度には19万6,000トンまで削減しました。この中期経営計画ではサプライヤーとの連携をさらに強化し、Scope3の排出量の把握に努め、サプライチェーン全体でのCO2削減につなげていきます。

次に、スライドの左側中央にある「②間接的な削減」は、脱炭素製品の販売比率を高める取り組みです。当社における2025年度の脱炭素製品の販売比率は、48パーセントとなりました。中期経営計画では、この比率をさらに高めることに努めていきます。

このように、直接的な削減と間接的な削減の両面から、気候変動問題への対応を強化していきます。

非財務目標 ~サステナビリティ経営について ~〈人的資本経営〉

次に、重点活動の2つ目である人的資本経営についてご説明します。当社グループでは、より働きやすく働き甲斐のある社会を目指し、2つの取り組みを進めています。

1つ目は、女性総合職比率の向上です。こちらは、多様な視点を経営に取り入れ、イノベーションを促進するための重要な取り組みです。ダイバーシティの推進は、企業ブランドの向上や市場での持続的成長にも寄与します。

2020年以降、当社の女性総合職比率は徐々に増加しており、2025年度10月期末には6パーセント台となりました。今後は2026年度末までに8パーセント、それ以降も8パーセント以上の水準を目指して、さまざまな施策を講じていきます。

2つ目は、賃金ベースアップです。2024年および2025年には年率5パーセントのベースアップを達成しました。今後も年率5パーセント以上のベースアップを継続し、物価上昇への対応や優秀な人材の確保、定着を図ります。

これらの施策により、従業員のモチベーションと生産性を高め、事業の競争力強化と収益力の向上を目指します。

このような人的資本経営の推進を通じ、働きやすく働き甲斐のある職場作りを進めていきます。

質疑応答:無機材料の利益伸長とその背景について

質問者:中期計画のうち、36ページの事業ポートフォリオにおける化学品事業の中でも、無機材料の利益成長について質問です。

今期、鉱産関連では三酸化アンチモンの減少が影響し、無機材料で約20億円の減収を見込んでいる計画となっているかと思います。無機材料では、今後3年間で何が伸びていくのかをご解説いただけますでしょうか?

玉井:ご質問のとおり、昨年度は三酸化アンチモンが爆発的に売れましたが、今年度は厳しくなることから、約20億円の減収を見込んでいます。

ただし、ゼロになるわけではありません。ご質問の趣旨は、どのように利益を伸ばしていくのかということと理解しています。

当社では、これまで売上総利益1億円以上の商材を多く取りそろえる方針を重ねて強調してきました。全部で20を超える1億円以上の商材が化学品事業には存在しており、その中にはこれまでも取り上げているSiCや、その他の無機材料の特殊なものが含まれていますが、特に無機材料に関しては、1億円以上の商材が数多く存在しています。

この20億円程度の減収については、すでに2つから3つほど、他の1億円商材で回復が見込まれるものが出てきているため、それらによって十分に補えると見込んでいます。

質問者:可能であれば、例えばどのような背景で部材のニーズが拡大し、それを伸ばせるのかといったイメージを教えていただけますでしょうか?

玉井:新中期経営計画の中で各部門の取り組みをまとめた表をご用意していますので表示します。

化成品関連については、新しい用途への取り組みが順調に進んでいますが、特に注目しているのは、昨年度不調だった工業材料関連です。

こちらは超高層ビル向けの材料で、工事の遅延により物件が進まず苦戦していましたが、現在は状況が好転し、材料の供給が大変になるほど活況を呈しています。そのため、この分野は業績に大きく寄与すると考えています。

また、機能材料関連では、半導体関連、特にパワー半導体関連が課題となっていました。これまで在庫を抱えたままお客さまのオーダーが遅延する状況が続いていましたが、徐々に改善が見られます。さらに新たな用途や新しい商材が徐々に成長し始めている状況です。

鉱産関連では、三酸化アンチモンではありませんが、バーミキュライトという塗料や農・園芸用の商材があります。この商材については海外で大きなテンダー(入札)案件が発生し、受注が進んでいます。このような状況から、十分な成果が期待できると考えています。

質疑応答:機械事業における海外利益拡大と部品修理案件について

質問者:機械事業のうち、先ほどご説明いただいた事業ポートフォリオに関する部分について質問です。特に中期計画の3年間では、海外での利益を伸ばすような計画をお持ちなのではないかと思います。

御社の機械事業において利益を拡大するには、部品修理の伸びが基本的に必要だと考えています。海外においては、これまで納入された遠心分離機の部品修理案件が今回の3年間で伸びると理解してよいのでしょうか? 

玉井:部品修理については、基本的に機械が納品されて動き始めなければ発生しません。それも、運転開始から1年目、2年目といったタイミングで定期的に発生してきます。

現在、部品修理を行っているものは、数年前、あるいはもっと以前に納入した機械であり、それらが蓄積した結果として発注をいただいています。私どもはこれらを収益の柱と考え、取り組んでいます。

そのため、まずは海外事業において新たな案件を取ることが重要です。海外には競合他社もおり、機械装置の販売において利益を上げることが非常に難しい状況ですが、今年度は機械の販売に注力しようと考えています。

ただし、収益面でいえば、今年度や来年度までは、これまで納入した機械のメンテナンスが収益の柱になると見込んでいます。

今後は機械の販売を増やすことで、過去の修理案件に加算されるかたちで収益がさらに増加していきます。新たな中期計画は3年ありますが、この3年目あたりから収益がグッと伸びるイメージを持っています。

質問者:海外事業においては、今期から機械の納品を増やし、納めた機械の部品修理案件が中期経営計画の最終年度頃に寄与するような、尻上がりとなるイメージでしょうか? 

玉井:そうですね。なお誤解の無いように申し上げると、先ほどの新中期経営計画3年目までの話は、インドを対象とした話です。

中国や米国ではすでに多くの機械を販売しており、これらのメンテナンス業務はコンスタントに発生しています。こちらに加え、インド市場ではこれからさらに受注を増やし、同時に中国と米国も含めた機械のメンテナンス業務が増加するというイメージで考えていただいてよろしいのではないかと思います。

質疑応答:機能材料関連のSiCやGaNの回復見込みと新商材の拡大戦略について

質問者:先ほど少しコメントをいただきましたが、機能材料関連の部分で、SiCのお話がありました。

今期、顧客側ではSiC部材の在庫調整が発生しているかと思いますが、機能材料関連の回復は主にその在庫調整の解消によるものと理解してよろしいでしょうか? この計画の達成には、市況の回復という前提条件も必要ということでしょうか? 

玉井:予算においては、後半からEVを含めたSiCの市況が回復するのではないかという見込みを立てています。ただし、これは当社が確約できるものではなく、市場が決定するものであるため、見込みが外れる可能性もあります。

当たる可能性もある状況ではありますが、思い出していただきたいのは、当社のSiCが大きく伸びたのは2年から3年前のことです。その際、半導体不足によってお客さまが大量の注文を出されましたが、遅延が発生し、一部では1年半から2年ほどオーダーを停止している状況が続きました。

しかし、徐々に「そろそろオーダーしますよ」という動きが見え始めています。それを通じて、当社としても、SiCに関して「そろそろ市況の回復が近いのではないか」という見解をもっています。

さらにもう1つ、この2年間は空白期間のようなものであり、当社の部隊は非常に苦しい状況を経験してきました。以前から手がけていたものも含め、SiC以外のさまざまな半導体関連の新商材を開発してきています。

これらが少しずつですが注目を集めるようになり、利益にも段階的に貢献していくと見込んでいます。

そのような意味で、この部隊は両面から予算を立てています。具体的には、SiCの回復が後半から期待されること、そしてこの2年間で培い開発してきた新商材が徐々に成果を上げつつある点を踏まえ、これらをさらに増やしていくことで、両面で成長を目指したいと考えています。

質問者:では、AIのデータセンター向けの窒化ガリウム(GaN)などは、今期から寄与してくるイメージでしょうか? 

玉井:大きな金額になるかはわかりませんが、すでに販売を開始しています。

当社は窒化ガリウムだけでなく、放熱材料などさまざまな製品を手がけています。これまで販売してきた製品の中に、スケールが大きくなってきているものもあります。窒化ガリウムのように、これから少しずつ増えてくる製品も出てきました。

当社の基本方針として、1億円以上の商材を増やしていくという目標があります。現状では、機能材料関連と電子材料関連の商材の中で、1億円以上の規模のものは少ない状況です。

そのような中で、1億円には達しなくとも、5,000万円以上の商材の数を着実に増やしていく戦略を掲げ、ここ数年取り組んできました。その結果が徐々に実を結びつつあるとご理解いただければと思います。

質疑応答:化学工業製品のセグメントごとの成長確度について

質問者:化学工業製品のスライドについて、確度が高いものと低いものを分けてほしいと思っています。

目立つのは化成品関連と機能材料関連ですが、化成品関連は比較的確度が高く、機能材料関連は挑戦的な状況であるといった印象があります。また、鉱産関連が減少することは大まかに見えていますが、確度の面ではどのように捉えているのでしょうか?

玉井:当社の化学工業製品販売事業のうち、安定しているのは、この表のうち、化成品、鉱産、工業材料関連です。化成品関連は、今期から1つの部門から2つの部門に分けられるほど大きく成長しています。

また、鉱産関連や工業材料関連も、もともとは工業材料関連で1つの部隊だったものが、現状では2つに分かれています。上位に位置するこれら3つの部門は、当社の安定に寄与する、非常に重要な部門となっています。

これらは長期的に見てもほとんど揺るがず安定している部隊であり、非常に高い確度を持っています。化成品関連、鉱産関連、工業材料関連は1億円以上の商材を多数保有しており、仮にいくつかの商材が不調に陥ったとしても、十分に対応できる組織構造です。

一方、合成樹脂関連を除いた機材材料関連と電子材料関連については、非常に付加価値が高く、利益率も高いものの、利益が小規模となっています。

そのため、安定性という面では、これまでの実績からもわかるように、例えばEV事業が不調になると大きな影響を受けてしまいます。このような点において、安定性には欠ける部門と言えます。

スライド上部に記載した3つに関しては、かなり確度が高いと考えています。機能材料関連についても、SiCが後半に回復するという見通しがあるため、「△」程度の確度ではないかと思います。

また、新しい商品については、現在取り組み始めているところです。そのため、上の3つの部隊と比べると、チャレンジングな取り組みになると考えています。

質疑応答:機械事業における官需・民需および海外市場の見通しについて

質問者:機械製造販売事業について質問です。「チャレンジング、チャレンジング」という声が大きい点が気になっているのですが、特に海外に関しては、前期に大幅に縮小したものの、今期は大幅な増加を計画していると認識しています。

例えば官需や民需は見えているものの、海外の状況がやや流動的で少し不安があるなど、このような点についてなにかコメントはありますか?

玉井:官需は場合によっては失注することもありますが、ある程度予測が可能です。民需は確度が低いものの、現在は民間の設備投資が非常に活況であり、今後1年から2年は続くと見ています。そのため、むしろ官需を追い上げる勢いがあります。

したがって、これら2つのマーケットについては盤石とは言いませんが、確度としてはかなり高いのではないかと思います。

一方で海外市場については、市場性のある分野でもプロジェクトのスケジュールや発生時期によって影響を受けます。

例えばインド市場のケースでも、そのような影響が大きいと考えられます。また、競合はヨーロッパの数社しかいないものの、価格競争が非常に激しく、国内市場と比べると厳しい状況であるという認識です。

海外の中でも米国と中国については長年の実績があり、機械が動いているため、メンテナンスを通じて一定の利益が確保できる状況です。

その上で、東南アジアやインドにおける伸びしろを伸ばすべく取り組んでいます。

質疑応答:中期経営計画におけるROE向上と株主還元の取り組みについて

質問者:中期経営計画における資本コストや株価を意識した経営について質問です。DOEの導入やROEの件などさまざまな施策がありますが、以前は、財務戦略を活用してまでROEの引き上げを目指していないというお話があった時期もあったかと思います。

現在は、例えばROE10.5パーセントという数値がPBR(株価純資産倍率)に影響を及ぼすと考えられますが、この点については、以前に比べてかなり高い意識を持って取り組んでいるという理解でよいでしょうか?

橘田:おっしゃるとおり、かなり高い意識を持って取り組んでいます。

ここ2年間、東証の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」についての要請に後押しされた側面もありますが、株主のみなさまからお預かりした資本を効率的に活用し、現在、高い水準を保持している自己資本比率を下げてでも、ROEを高めていく方針です。

今回掲げた時価総額700億円という目標は相当に高いものですが、これを達成すべくROEを高めていく考えです。ここ2年間も高い意識で臨んできましたが、今後3年間は一層強い意識を持って取り組んでいきます。そのために株主還元の拡充も行いました。

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