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世界が日本の「スポーツ関連株」に熱視線。ミズノ、アシックスは今が買いか?長期投資家が持つべき視点=元村浩之

ミズノ<8022>:「ワークマン市場」に食い込む経営の妙

ミズノもアシックスと同様に、2021年3月期を底として業績が著しく回復しています。

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出典:マネックス証券

同社について特筆すべきは、世間一般のイメージとは異なる意外な成長カテゴリーである「ワーク(作業用品)」の存在です。ミズノといえば野球用品のイメージが強いですが、実は野球・ソフトボールの売上比率はそれほど高くなく、今最も勢いがあるのは「作業用シューズ(プロテクティブスニーカー)」です。

同社はワークマンが切り開いた市場に対し、自社の高いブランドイメージを背景に1万円から2万円という高価格帯のプレミアムな作業靴を投入しました。ランニングシューズで培った「ミズノウェーブ」という独自の波形プレート技術を靴底に搭載し、過酷な現場で働く人々から「履き心地が良く安定している」という絶大な支持を得ることに成功したのです。電気設備工事や建築土木といった現場需要を巧みに捉えたこの戦略は、同社の新しい収益の柱となっています。

もちろん、本業である競技用カテゴリでも強みを発揮しています。
サッカーでは「モレリア」というスパイクが多くの日本代表選手に支持されており、シューズを起点としてウェアやアクセサリーへの波及効果が生まれています。
また、バレーボールでも『ハイキュー!!』などのIP(知的財産)の影響や製品の強さから業績が下支えされています。
WBCにおいても、野球用品への高い信頼性から大会後の野球熱の高まりによる恩恵を最もダイレクトに受けやすい立場にあります。

指標面では、PERは約15倍とアシックスに比べて割安な水準に据え置かれています。以前は国内中心の経営でしたが、現在は米州や欧州での伸び率が高まっており、海外売上比率が着実に向上していることも、今後のさらなる爆発力を期待させる要因となっています。

ナイキ<NKE>:苦境に立つ「スポーツ界の絶対王者」

一方で、世界最大のナイキは現在苦しい局面を迎えています。

<株価と業績の低迷>

日本勢が好調な一方で、世界最大のナイキは現在非常に苦しい局面を迎えています。株価は2021年11月の高値から、足元では約1/3にあたる64ドル付近まで下落してしまいました。この低迷の背景には、複数の要因が複雑に絡み合っています。

NIKE INC B<NKE> 週足(SBI証券提供)

NIKE INC B<NKE> 週足(SBI証券提供)

まず、かつて独占状態だった厚底シューズ市場において、アシックスやアディダス、さらには「オン(On)」や「ホカ(HOKA)」といった新興勢力に激しくシェアを奪われ、競争が激化したことが挙げられます。
また、好調時に生産体制を強化しすぎた結果、大量の在庫が滞留し、それを処分するための値引き販売が利益を大きく圧迫しています。マクロ環境においても、海外で製造して米国へ輸入するモデルゆえに関税の影響を強く受け、さらに中国市場での消費マインド低下というダブルパンチに見舞われています。

ブランド戦略にも課題が見え始めています。かつての「エア・ジョーダン」のような、次世代を担うスーパースターを起用したブランド展開に勢いが欠けている点が、投資家にとっての懸念材料です。機能性で愚直に評価されるアシックスに対し、ナイキは「かっこよさ」という付加価値に大きく依存しているため、トレンドの波を読み間違えると負のスパイラルに陥りやすいという、王者ゆえの脆さが露呈しています。

Next: 注目すべき新興ブランドは?長期投資のプロの判断は…

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