■ZETA<6031>の業績動向
1. 2025年12月期の業績概要
2025年12月期の連結業績は、売上高が1,858百万円、営業利益396百万円、経常利益369百万円、親会社株主に帰属する当期純利益231百万円となった※。2024年12月期を12ヶ月決算(2024年6月期第3四半期〜2024年12月期第2四半期)とした実質的な比較では、売上高が前期比23.5%増、営業利益が同411.1%増、経常利益が同599.0%増、親会社株主に帰属する当期純利益が同26.2%減となり、会計処理変更に対応しながらも好調に推移していると言える。なお、親会社株主に帰属する当期純利益が減益になったのは、2024年12月期に繰延税金資産323百万円を一時的に計上した反動が要因である。
※ 2024年12月期が6ヶ月決算だったため前期比増減率は記載していない。
国内EC市場は2ケタ成長を続けており、CX改善サービスやリテールメディア広告など関連したマーケットにも追い風となっている。こうした良好な環境下、同社はラインアップの充実とシナジーの向上を背景に、ハイエンドニーズのEC事業者をターゲットに新規クライアントの開拓や既存クライアントへのクロスセル・アップセルを進めた。「ZETA CXシリーズ」の受注高は高い伸びを示し、第4四半期に過去最高を記録したほか、第2及び第3四半期もそれぞれ過去2番目、3番目の高い水準となった。特に第4四半期にリテールメディア広告に対するニーズが広がり、「ZETA AD」の案件数が導入済み・準備中を含めて期初の想定を上回って積み上がった。これは、リテールメディア広告の中期的な収益拡大を見据え、リテールメディア広告へのリソース配分を拡充して機能と導入支援体制を強化したこと、第3四半期から取り組んだ代理店経由の導入案件が新たに乗ってきたことが背景にある。
また、「ZETA CXシリーズ」の導入サイト数が238サイト(2024年12月期比46サイト増)となり、引き続き順調に伸長した。新規導入と既存顧客に対するクロスセルが両輪となって成長をけん引し、既存顧客では1社当たりの採用製品数・取引額が増加するなど収益基盤が拡大、新規導入では特に大手企業の増加が多かったようだ。製品面では、主力の「ZETA SEARCH」が、事業基盤として引き続き安定的に成長をけん引した。「ZETA VOICE」も順調に伸長し、AIやRAGへの寄与が期待されるUGCデータの蓄積を加速した。「ZETA HASHTAG」もクリック数の増加でユーザー接点とエンゲージメントを効果的に拡大するなど、成長ドライバーの1つになってきた。このように、「ZETA CXシリーズ」各製品が好調で、製品ポートフォリオの多角化が進んだ。一方、AIコマースメディア構想の基となるクチコミ数も、前年同期比17.4%増の1,545万件と順調に増加した(2026年1月末には1,600万件達成)。
売上高は一時的な売上もあって20%を超える伸びとなった。利益面では、限界利益率が高いため増収につれ売上総利益率が大幅に向上した。一方、人件費やオフィス増設費など販管費は増加したものの、増収効果により販管費率も大きく改善した。このため営業利益率は向上して20%超となり、営業利益はグループ統合後の過去最高を達成した。特別損益では、投資有価証券売却益など特別利益で23百万円、会計処理変更に伴う過年度決算訂正関連費用など特別損失で35百万円を計上した。なお、期中にAIコマースメディアの開発・運営を行う子会社VOICE(現 LAMBDA)と、成長するデジタルマーケティング企業への投資に特化したDELTA(株)を設立した。
業績未達は会計処理変更のタイミングが要因
2. 期初予想未達の要因
このように業績は実質好調だったが、期初予想の売上高2,100〜2,300百万円、営業利益550〜750百万円に対しては未達となった。未達の要因は、会計処理変更を2025年2月に急遽実施したため、過年度決算については訂正が済んだものの、業績予想の根拠となる期初の精査が十分できなかったこと、受注残の売上計上時期が長期化したことにある。なお、会計処理変更の内容は、従来ライセンスが使用可能となった(証憑を確認した)時点で収益を認識していたのを、「収益認識会計基準」に基づき、新たにライセンスが使用された(履行義務を充足した)時点で認識することにしたというものである。この結果、契約上の入金サイトが長期間にわたるライセンス取引について、対価の回収がなされた時点で収益を認識することとし、加えて証憑の確認のみにとどまっていた一部のライセンス取引について、履行義務の充足の事実を確認するための統制整備をすることになった。
この結果、遡及していったん取り消された売上高を再計上する際の精査が十分でなく、業績予想の根拠に一部誤解が生じ、結果的に高め(レンジ上限)の業績予想数値を発表することになった。また、期中にこうした乖離が判明したにもかかわらず、受注が好調だったため期初の業績予想を据え置いたこと、会計処理変更に合わせて営業体制を整備するなかで履行義務充足の事実確認に時間がかかったことから、約200百万円の売上高(限界利益率が高いためそれに近い額の営業利益)が2026年12月期に期ズレし、レンジ下限からも未達になる要因となった。しかし、期ズレ分を含めると営業利益はレンジ下限に対して超過達成となっており、受注が想定以上に好調に推移するなど実態として業績は好調だったと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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