■船場<6540>の事業概要
1. 業務領域と強み
同社は商業施設を中心に、内装における業務プロセスを一気通貫で受託できる企業である。設計と監理、施工が基本となるが、それ以前のマーケティング調査・分析、企画・コンセプト策定、基本構想・マスタープランなども行う。また施工後には運営支援や修繕なども行う。同社は、商業施設づくりで培った“賑わう場づくりのノウハウ”に特長があり、構想力・設計力(デザインワーク)・施工力を強みとして、調査・分析から運営まで空間創造を一気通貫で支援する。また、営業面では、職種を超えて営業チームを形成することで、小回りの利いたスピーディーな営業活動を展開する点が強みである。
2. ディスプレイ市場の動向
ディスプレイ市場はイベント・展示会等分野と建築内装等分野で構成される。このうち同社は、建築内装等分野を主なフィールドとしている。成長ドライバーとしては、ホテルや海外ブランド店舗などのブランド価値や集客力を向上させるための新改装、「働きやすい環境づくり」に向けたオフィス改装の取り組み、直近では大阪・関西万博などのイベント開催などがあった。特に、オフィス分野では、人手不足に伴う積極採用や優秀な従業員のリテンションに起因する企業ブランディングの観点から、オフィスの移転や職場環境改善への投資が活発化するトレンドにある。
3. BIMの推進による生産性の向上
近年では、業務効率化や生産性向上を目的としてBIMを積極推進している。特に3Dビジュアライゼーションの活用が合意形成の迅速化に大きく寄与し、関係者の理解度深化や時間短縮及びそれに伴うクリエイティブ作業の時間増加につながっている。BIM基本技術の習得人材比率は2024年12月期に設計職の76%に達し、現在も7割を超えて推移する。2025年8月には、BIM分野グローバルリーダーであるAutodeskと、戦略的提携に関する覚書(MOU)を締結し、同社の共通データ環境(CDE)構築と教育コンテンツの展開を通じて、内装業界のDX推進とBIMの普及に貢献する取り組みを開始した。
4. 専門店分野
専門店分野は、物販専門店・飲食店・サービス専門店等を対象としており、主にチェーン店が顧客となるが案件規模は相対的に小さい。歴史のある分野であり、当初はアパレルなどの小売り店舗が中心であったが、現在ではサービス業・飲食業なども多くなっている。プロジェクト期間は3ヶ月程度である。業績はコロナ禍で低下したものの、その後、緩やかな回復傾向にある。上昇カーブはやや鈍いものの、同社が得意とする、よりラグジュアリーで快適な空間を志向する顧客企業の案件が増えている。直近の事例として、ニューヨーク発祥の名店「ウルフギャング・ステーキハウス高輪店」の内装デザイン・設計、制作・施工を担当した。
5. 大型店・複合商業施設分野
大型店・複合商業施設分野は、百貨店・量販店・商業ビル・ショッピングセンター等を対象としており、同社売上高構成比が最も高い分野である。コロナ禍で業績は落ち込んだものの、2022年12月期からV字回復しており、2025年12月期は業績が落ち着いたものの、一定のボリュームを維持している。この分野では、イオングループ、三井不動産<8801>などの大手デベロッパーとの取引が大きい。大型案件においてはプロジェクト期間が半年から1年となる。
6. オフィス・余暇施設等分野
「オフィス・余暇施設等分野」はオフィス・ショールーム、ホテル、インフラ施設、教育施設等を対象としており、商業施設市場が落ち込んだコロナ禍後に展開が加速している。オフィス・ショールームは、人手不足が深刻化するなか、職場環境改善のニーズが高く、継続したマーケットの成長が期待される。ウェルビーイング・ホスピタリティは、インバウンド需要の高まりによる空港等のインフラ施設やホテルの新改装等の堅調な需要が見込まれる。教育関連は学生の獲得に向けて施設の魅力向上や老朽化に伴う改装に機会がある。そのほか、ゴルフ場等の余暇施設の案件も手掛ける。直近の事例として、同社が手掛けたヤマハ発動機<7272>の共創スペース「YAMAHA MOTOR Regenerative Lab」が、「日本空間デザイン賞2025」において、ヤングタレント賞と、企業プロモーション空間部門の最高賞である金賞を受賞した。この空間の制作工程自体が、ヤマハ発動機と同社の“再生にむけた共創”を具現化していることや、本施設空間は単に廃材がアップサイクルされて展示されているという場を超え、ヤマハ発動機の企業姿勢やレガシーを随所に感じられる空間であることが高く評価された。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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