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逃げるは負け。投資家が望む果実は、暴力的な株価変動を受け入れた先にある=栫井駿介

どんな投資家も、株式市場の荒波に抗うことはできません。短期的な変動は時に理不尽ですが、長期的には企業の業績を反映します。市場の変動を受け入れた先にこそ、長期投資の成功があるのです。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

何も恐れることはない。バリュー投資家がやるべきことはシンプル

マザーズの変動から見る株式市場の二面性

米中貿易戦争の不透明感が漂い、軟調な相場が続きます(原稿執筆時点:2018年7月10日)。この1ヶ月ダウ平均は3%、日経平均は5%、香港ハンセン指数は10%値下がりしました。新興市場に目を向けると、東証マザーズ指数は年初のピークから25%下落しています。

株価の下落を受けて、保有株の含み損が膨らんでいる投資家は少なくありません。特に、小型株に積極的に投資するスタイルの個人投資家のダメージは甚大なものがあります。

東証マザーズ指数

東証マザーズ指数

ただし、これくらいの下落は新興市場にとって序の口です。マザーズ指数は、2006年から2008年の2年間で2500ポイントから250ポイントまで90%の下落を経験しています。インデックスとしては異例の下落率です。

暴落のきっかけは「ライブドア・ショック」です。堀江貴文氏に代表される、イケイケの新興企業の社長が跋扈(ばっこ)し、小型株が盛り上がって多くの個人投資家を引き寄せました。しかし、堀江氏が逮捕されると急激にその熱が冷め、やがて暗黒の時代が訪れます。2008年9月にはリーマン・ショックが発生し、市場にトドメを刺しました。

しかし、当然ながら全ての新興企業が悪いということはありません。順調に業績を伸ばす企業も現れ、株価は回復に向かいます。マザーズ指数は直近のピークでは底から5倍になり、その過程で多くの億万長者を生みました。

マザーズほどではないにしろ、株式市場には急激な下落が頻繁に起こります。投資家は、いくら素晴らしい分析力を持っていたとしても、市場の流れには逆らえないのです。

一方で、上記の事例から長い目で見れば株価は業績を反映することもわかります。一時は回復不能にも見えた新興市場も、まともに業績を高める企業があったからこそ回復を遂げたのです。もちろん、反対に対して高すぎる株価はやがて修正されることになります。

このように、株式市場は極端な二面性を持っています。時に理不尽で暴力的な株価変動を見せながら、やがてはまともに業績を反映するのです。多くの投資家はこの相反する性質に振り回されることになります。

Next: リターンは「暴力的な株価変動」を受け入れた先にある

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