■要約
ALiNKインターネット<7077>は、(一財)日本気象協会との共同事業である天気予報メディア「tenki.jp」を中核事業として展開している。同メディアは天気に関する総合的な情報プラットフォームであり、全国の天気予報、雨雲レーダー、台風情報、警報・注意報など、日常生活に必要な気象情報を手軽に確認できる。信頼性の高い気象データを基にした予報を提供していること、地域ごとのピンポイント予報が利用できること、季節ごとの特別コンテンツが充実していることなどが特徴である。2024年5月には地域活性化をテーマにしたキャラクターコンテンツ「温泉むすめ」を展開する(株)エンバウンドを買収してIP(知的財産)プロデュース事業も開始しており、サービスの多角化を推進している。
1. 2026年2月期の業績概要
2026年2月期の業績は、売上高が前期比14.4%増の1,015百万円、営業損失が94百万円(前期は43百万円の利益)、経常損失が63百万円(同62百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失が272百万円(同57百万円の利益)となった。売上高は、主力のtenki.jp事業が天候要因による需要低下、AI検索の台頭、検索エンジンやブラウザによる気象情報の表示拡大に伴う検索流入減少で減収となった一方で、IPプロデュース事業、太陽光コンサルティング事業、その他事業が伸長し、全体では増収を確保した。利益面では、太陽光コンサルティング事業の増益があったものの、tenki.jp事業での減収影響に加え、新たな収益モデル構築に向けた人件費や開発費の先行投資が重荷となった。IPプロデュース事業でもアプリ開発やのれん償却が利益を圧迫し、ダイナミックプライシング事業でも先行コストの計上が続いたことで、営業損失を計上した。親会社株主に帰属する当期純損益は営業減益に加え、IPプロデュース事業に係るのれんの減損損失176百万円や、ダイナミックプライシング事業における固定資産の減損損失9百万円を特別損失として計上したことが響き、大幅減益となった。
2. 2027年2月期の業績見通し
2027年2月期の業績は、売上高が前期比5.4%減の960百万円、営業利益は52百万円(前期は94百万円の損失)、経常利益は64百万円(同63百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は45百万円(同272百万円の損失)を見込んでいる。売上高は全体では減収を見込むものの、事業別の動きには濃淡がある。tenki.jp事業は検索流入依存型モデルからの転換を進める過程にあり、短期的には広告収入を慎重に見込む一方で、tenki.jp メンバーシップの拡充や新機能・新サービスの投入により、会員数の拡大及びARPU(1ユーザー当たりの平均売上)向上を図る。IPプロデュース事業は「温泉むすめ」を中心にグッズ、イベント、コミュニティ接点の拡充を通じてファン基盤を強化し、既存事業の深掘りと新規事業の創出を進める計画であり、引き続き成長を見込む。太陽光コンサルティング事業は、太陽光発電設備の保有拡大を通じて売電収益を積み上げ、安定収益の拡大を目指す。その他事業では、ダイナミックプライシングで得た需要予測の知見を実需創出につなげる方向へ転換し、将来の体験ビジネス展開に向けた基盤整備を進める。利益面では、成長投資を継続しながらも、tenki.jp事業の収益構造改革と各事業のコスト最適化を進めることで営業黒字に転換し、各段階利益は2025年2月期並みの水準への回復を見込んでいる。
3. 中長期の成長戦略
同社の成長戦略は、tenki.jpを起点に日常的な生活接点を広げ、そこから得られる行動変容データの活用を深めることで、新たな体験価値を生み出す点にある。戦略は生活接点の拡張、行動変容の深化、体験価値の創出の3層で整理され、天気予報の提供にとどまらず、暮らしや行動そのものに付加価値をもたらす企業への進化を目指している。中核のtenki.jp事業では、広告依存を和らげつつ、メンバーシップの拡充を通じて会員基盤の拡大と課金収益モデルの強化を進める。IPプロデュース事業は「温泉むすめ」を中心に、物販や単発収益に偏らない持続的なファン基盤の強化へ軸足を移す。太陽光コンサルティング事業は安定収益源として成長投資を支える役割が期待できる。その他事業では、ダイナミックプライシングで得た知見を生かし、空間プロデュースや体験ビジネスへの展開を視野に入れる。加えて、代表取締役2名体制への移行により、戦略立案と業務執行を分担する体制を整える。今後は、tenki.jpを起点とする会員基盤の拡大や収益化の進展が、中長期の企業価値向上につながるかが注目点となる。
■Key Points
・日本気象協会と共同で天気予報メディア「tenki.jp」を運営
・2026年2月期はtenki.jpのPV数が伸び悩み、営業損失を計上
・2027年2月期は成長投資を継続しつつ採算性を高め、黒字回復を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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