■会社概要
1. 会社概要
ジェーソン<3080>は千葉県柏市に本社を置く総合小売事業を行う企業で、バラエティストア「ジェーソン」の運営及びチェーン展開を行っている。「ジェーソン」1号店を開店した1984年から業績拡大が続いており、大阪証券取引所(現 大阪取引所。以下、大証)ヘラクレス市場へ上場した2008年2月期に売上高161億円、直営店60店舗、東京証券取引所(以下、東証)JASDAQ(スタンダード)市場へ上場した2014年2月期は売上高196億円、直営店86店舗となった。物流センターを開設した2018年2月期には売上高232億円、直営店100店舗を突破し、直近の2026年2月期には売上高286億円、直営店117店舗まで拡大した。居抜き物件を中心に関東一円にバラエティストアをチェーン展開しており、IT及び物流内製化等によるローコスト経営を徹底し、順調に業容を拡大している。地域密着型を特徴としており、1日の来店者数は5万人強、平均的な店舗面積は約210坪である。
2. 沿革
同社は、現 代表取締役社長兼会長である太田万三彦(おおた まさひこ)氏が1983年に埼玉県川口市に衣料品、日用雑貨品等を販売する(株)クルメを設立したことに端を発する。1984年12月に埼玉県和光市に「ジェーソン」1号店を開店し、1985年5月に商号をジェーソンに変更した。その後、関東一円で順調に店舗数を拡大し、2007年4月に大証ヘラクレス市場へ上場し、2010年10月には大証JASDAQ(スタンダード)市場への上場を果たした。2017年2月には物流コストの低減を目的として西多摩共配センターを開設し、その後はPOSレジを自社開発して全店舗に導入するなど、システムの内製化に積極的に取り組んでいる。2020年12月には飲料水製造事業を開始し、本格的にPB商品の展開を開始した。2013年7月に東証JASDAQ(スタンダード)市場へ上場し、2022年4月の東証再編に伴いスタンダード市場に移行した。なお、太田氏は埼玉県内を中心に展開するディスカウントストアチェーン「ロヂャース」の創業者である太田實氏の次男にあたる。
3. 事業内容
(1) 事業内容
同社グループは同社、(株)スパイラル、(株)尚仁沢ビバレッジ、(株)サンモールの4社で構成されており、消耗頻度の高い生活必需商品の総合小売を主な事業内容とし、一部ではフランチャイズ展開も行っている。同社は小商圏型のバラエティストアを関東一円に117店舗展開しており、低価格の生活必需商品を豊富に取り揃え、地域における生活便利店としてローコストでの店舗運営を行っている。スパイラルは同社業務を補完するための商品調達を、尚仁沢ビバレッジはPB商品「尚仁沢の天然水」の製造を主な業務としている。また、群馬県に食品スーパーを展開するサンモールの全株式を取得し、2025年3月31日(みなし取得日2025年5月31日)に企業結合した。
(2) 低価格を実現する「ムリ・ムラ・ムダ」を省いたローコスト経営
同社は、PB商品やJV商品の展開を加速するとともに、コンピューターが販売実績から適正在庫数を計算し、自動的に商品発注を行うオーダリングシステム「JIOS」を駆使して、1店舗ごとの在庫高を適正に維持することで、仕入価格の低減を進めている。また、「JIOS」によって店内での品出し等の作業時間を大幅に短縮している。このほか、自社で共配センター内の在庫管理や共配センターから各店舗までの配送を行っており、徹底的に効率化した自社物流システムによって物流コストを最小限にとどめている。また、多くの小売業に見られる「チラシ特売」は実施せず、「毎日が低価格」をモットーとする「EDLP(エブリディ・ロープライス)」戦略を実施している。そのほか様々なコストを含め、徹底して「ムリ・ムラ・ムダ」を省くことにより生まれた利益を、主力商品であるペットボトル飲料やJV商品などの価格に反映し、生活必需商品群を安価に提供している。
同社が低価格を実現できる要因は、1) POSレジ、自動発注、プロジェクト管理、流通及びキャッシュレス決済等の各システムを独自開発していること、2) メーカーが作りすぎた在庫や季節外れの商品を格安で仕入れる独自ルートがあること、3) チラシ特売を実施せず、商品を段ボールで箱積み陳列し、店舗の従業員数を最小限に抑え、人件費を抑制するなど徹底したローコストオペレーションを実施していることの3つであると弊社は考えている。緑茶やコーヒー飲料、炭酸飲料などの500mlほどのペットボトルが税込で53円から64円前後など低価格を実現している。主力の「尚仁沢の天然水」(500mlペットボトル)は税込35.2円、「はじける強炭酸水(天然水の炭酸水)」(500mlペットボトル)は税込42.9円で販売している。
(3) PB商品「尚仁沢の天然水」の取り組み
同社では、ナショナルブランドを除いても年間のミネラルウォーターの販売本数は3,600万本以上あるとしており、このうちの一定割合以上を「尚仁沢の天然水」が担う形で、製造子会社の収益化を進めている。2022年2月期に約180万本だった生産本数は2023年2月期に約340万本、2024年2月期には約1,390万本、2025年2月期には約2,270万本、2026年2月期には約2,480万本へと急拡大しており、生産体制の増強のために設備機器を更新・拡充、稼働時間を延長するなどして体制の構築を実施した。2025年2月に新倉庫が稼働したことも含め、「尚仁沢の天然水」の大幅な販売拡大を図っている。スーパーマーケットやドラッグストアなどでは実現が難しい低価格での販売を可能とし、同社を代表する価格訴求力のある低価格商品の1つとなっている。加えて、製造から流通、販売までを一貫して手掛けることで利益の稼ぎ頭の1つという位置付けになりつつある。バラエティストア業界においてPB商品の販売比率拡大で売上総利益率向上を目指す企業は多いが、同社においても「尚仁沢の天然水」での成功を起爆剤として、PB商品のさらなる横展開などについても検討する余地が拡大していると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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