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帝国通信工業、「中期経営計画2030」が始動 既存領域の利益拡大や新製品開発、新領域の確立でさらなる飛躍へ

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2026年6月5日に発表された、帝国通信工業株式会社2026年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

エグゼクティブ・サマリー

羽生満寿夫氏(以下、羽生):本日はご多用の中、当社決算説明会にご出席いただき、厚く御礼申し上げます。代表取締役社長の羽生満寿夫です。それでは、2026年3月期決算説明会を開始します。

初めに、本日の説明会のポイントについてご説明します。当社を取り巻く事業環境ですが、中東情勢の影響による原油およびナフサ価格の急騰が世界的なインフレ再燃の懸念材料となっており、世界経済の先行きは極めて不透明な状況が続いています。

また、日本経済においても、物価上昇やエネルギー価格の高騰、ナフサ由来の化学品の調達難などが製造業をはじめ幅広い産業に甚大な影響を及ぼしており、先行きの見通しは依然困難な状況です。

このような環境の中、2026年3月期の業績実績は、売上高は前期比で増加したものの、資材価格や人件費などのコスト上昇を吸収しきれず、営業利益は減少しました。

次に、2027年3月期の業績予想ですが、さらなる売上高の増加に加え、原価上昇分の販売価格への転嫁や生産効率化により、営業利益の増額を計画しています。

最後に、今年5月に新たな中期経営計画「中期経営計画2030」を発表しました。これは、2021年3月期にスタートした前中期経営計画の5年間で培った経営基盤と成果を土台に、さらなる事業成長と企業価値向上を目指す新たな5ヶ年の中期経営計画です。この「中期経営計画2030」は、後ほどご説明します。

INDEX-目次

本日のご説明の流れです。まず、当社の企業概要をご説明した後、2026年3月期の業績実績と2027年3月期の業績予想についてご説明します。

続いて、前中期経営計画の振り返りを行い、あらためて当社の強みをご説明し、最後に新「中期経営計画2030」をご説明します。

会社概要

当社の企業概要をご説明します。当社は帝国通信工業株式会社として1944年8月に神奈川県川崎市で創業し、「NOBLE」ブランドで各種電子部品を国内外に展開する総合電子部品メーカーです。代表者は私、羽生満寿夫が代表取締役社長を務めています。

資本金は34億円、従業員数は連結で1,678名です。2026年3月期の連結売上高は172億円で、自己資本比率は82.5パーセントとなっています。グループの連結子会社数は、国内が6社、海外が9社の合計15社です。

NOBLEの企業理念

当社は一昨年、2024年8月に創立80周年を迎えました。事業の成長と100年企業を目指し、新たなスローガンを掲げ、グループ一丸となって取組んでいます。

そのスローガンである「さぁ、NOBLEと実現しよう。Together, we make good sense.」には、当社がお客さまとともに、人と技術が心地よく接することができる電子部品を多数開発してきたことが込められています。このことを「we make good sense.」と表現しています。

そして、「実現しよう」「Together」という言葉を加え、私たちは人々に身近なさまざまな商品のイノベーションを進める主役の一員であるという認識を持っています。当社の電子部品は目立たない存在ではありますが、決して脇役や縁の下の力持ちではないという自負を持ち、事業活動に取組んでいます。

さらに、当社は社員一人ひとりが一歩踏み込んだ意識改革を行い、組織として革新を進めるために企業理念を提唱しました。その行動指針として「3つのC」である「Change」「Challenge」「Communicate」を意識し、長期ビジョン「抵抗器のNOBLEから『新生NOBLE』への深化と進化」を掲げ、プライム企業として事業の成長と100年企業を目指しています。

沿革

当社の沿革です。当社は一昨年、創業80年を迎えました。創業当初は、コンデンサ、可変抵抗器、スピーカーなどの電子部品の製造を行っていました。

1980年代に入り、当社製品に使用する回路基板を硬くて曲がらないプリント基板から、薄くしなやかなフィルム基板へと革新的に変更しました。このフィルム基板の特性を活かし、複合部品をユニット化した製品開発を進めたことで、ビデオカメラやデジタル家電、自動車、アミューズメント機器などに数多く採用されるようになりました。

また、2011年に発生した東日本大震災やタイ王国の大洪水といった自然災害に加え、直近ではコロナ禍を乗り越え、電子部品の製造・販売メーカーとして今日まで責任を果たしてきました。

26/3期業績実績と27/3期業績予想 過去業績と27/3期予想(累計ベース)

それでは、2026年3月期の業績実績および2027年3月期の業績予想についてご説明します。初めに、過去の実績と今期の予想をご説明します。売上高と営業利益の推移をご覧ください。

まず、2026年3月期ですが、為替相場が想定より円安に推移したことに伴い、第3四半期に通期業績予想の修正を発表しました。

2026年3月期の結果は、売上高が172億円、営業利益が11億円、営業利益率が6.7パーセントとなりました。詳細は後ほどご説明します。

次に、2027年3月期の業績予想ですが、上期・下期ともに2026年3月期を上回る見込みです。この結果、売上高は180億円、営業利益は15億円、営業利益率は8.3パーセントと予想しています。

26/3期業績実績と27/3期業績予想 26/3期の利益増減要因分析(前年同期比較)

続いて、2026年3月期の営業利益増減要因分析についてご説明します。

2025年3月期に対し、2026年3月期は、売上増加により1億4,000万円の営業利益貢献がありました。また、製造工程の自動化および省人化、販売価格へのコスト転嫁の効果により2億1,200万円の増加、円安による8,200万円のプラス要因もありました。

一方で、資材価格の高騰による材料費の増加が4億8,900万円、人件費や各種経費の増加が4億5,000万円となり、これらのマイナス要因が大きく影響しました。その結果、営業利益は前期比で5億500万円減少し、11億5,800万円となりました。

経常利益は前期比で4億4,200万円減少し、16億8,400万円となりました。最終損益は前期比で7億3,600万円減少し、12億7,300万円となりました。

26/3期業績実績と27/3期業績予想 27/3期の利益増減要因予想(通期前年比較)

2027年3月期の利益増減要因予想について、2026年3月期と比較してご説明します。まず、計画策定の前提となる為替レートは、1USドル150円と設定しました。

2027年3月期の営業利益の見通しとして、資材価格の高騰による材料費の増加で3億3,000万円、人件費や各種経費のさらなる増加で3億7,400万円のコスト増加が見込まれます。しかし、これらのコスト増加分は、売上増加による2億4,600万円の営業利益貢献、販売価格へのコスト転嫁の効果による4億5,000万円、そして製造工程の自動化および省人化による自助努力で3億5,100万円を吸収する見通しです。その結果、営業利益は前期比で3億4,200万円増加し、15億円を計画しています。

電子部品セグメントにおける市場別売上高-通期前年比較

こちらのスライドは、市場別の売上高について、2025年3月期と2026年3月期の実績を比較した資料です。

2026年3月期も、各市場でバランスの良い売上構成となっています。その中で、アミューズメントの比率は2ポイント減少して17パーセントとなりましたが、その他の比率が2ポイント増加して16パーセントとなり、全体の売上高は増加しています。

26/3期業績実績と27/3期業績予想 電子部品セグメントにおける市場別売上高の26/3期実績と27/3期予想

次に、市場別売上高について、2026年3月期の実績と2027年3月期の予想金額の推移をご説明します。

2026年3月期にはカメラ向け製品の売上が好調だったAV機器ですが、2027年3月期はさらに増加が見込まれており、引き続き高い売上高を維持する見通しです。

次に自動車向けは、2027年3月期も新機種の採用が決まり、引き続き堅調に推移すると見込んでいます。

一方、2026年3月期に減少したアミューズメント向けは、お客さまの販売台数減少の影響もあり、2027年3月期もやや減少する見通しです。

家電、産業機器、医療・ヘルスケア市場向け製品は、2026年3月期に堅調に推移しており、2027年3月期もこの傾向が続くと見込んでいます。

製品別売上高-通期前年比較

こちらのスライドは、製品別の売上高について、2025年3月期と2026年3月期の実績をグラフで比較したものです。前期と比較すると、それぞれの割合に大きな変化はありませんでしたが、センサーを除き、ほぼすべての製品で売上高が増加しています。

26/3期業績実績と27/3期業績予想 製品別売上高の26/3期実績と27/3期予想

続いて、製品別売上高における2026年3月期実績と2027年3月期予想についてです。

以前からの当社の主力製品であるICBはカメラ向けが堅調で、2027年3月期も増加傾向が継続する見通しです。

また、前回の中期経営計画において将来の増収の柱として位置付けていたセンサーは、2027年3月期も堅調に推移する計画です。一方、可変抵抗器はやや減少する見通しですが、固定抵抗器と機構部品は、2027年3月期も前期に引き続き堅調に推移するものと見込んでいます。

目標達成状況(全社)

前中期経営計画の振り返りです。

スライドのグラフは、前中期経営計画期間の各年度の計画と実績の対比を示しています。直近の2025年度単年では、世界的な景気回復の遅れやFA機器・半導体関連の在庫調整といった外部環境の変動に加え、人件費などコストの増加の影響を受け、計画を下回る結果となりました。

しかし、5年間のスパンで見ると、2023年度の落ち込みから着実に回復を遂げ、成長フェーズへと移行しています。今中期経営計画では、さらなる収益性の向上に注力していきます。

売上高・利益ともに、5ヶ年累計で目標値を上回る結果となりました。

目標達成状況(製品別/市場別)

次に、前中期経営計画の初年度である2021年度と最終年度である2025年度を、製品別および市場別で比較した資料をもとにご説明します。

製品別では、当社独自のカスタムブランドである前面操作ブロックが大きく伸長したほか、当社のエレメント技術の進化により開発されたセンサーの販売が拡大しました。

市場別では、AV機器、アミューズメント、自動車、そして医療・ヘルスケアの各領域が堅調に推移しました。

具体的には、AV機器市場ではスマートフォンとの差別化を図ったデジタルカメラ市場が回復し、自動車市場では既存製品に加えて新規製品の採用も進み、増加を維持しました。

医療・ヘルスケア分野は少しずつ堅調に推移しており、当社ではこの分野を将来の成長の柱の1つと位置づけ、今後もリソースを継続的に投入していく方針です。

取組み施策の成果と課題

次に、前中期経営計画における施策の成果と継続課題についてです。この5年間で、非接触センサシートの開発やディスポーザブル電極の量産化など、コア技術を活用することで、新領域の構築に一定の成果を上げることができました。

また、新本社・研究開発棟の着工や工場のインフラ整備など、中長期的な成長を見据えた事業基盤の構築は着実に進んでいます。

一方、顧客ニーズを先取りした新製品の展開、さらなる生産効率の向上、DX導入は、今中期経営計画において引き続き重点的に取組むべき継続課題として認識しています。これらの課題を克服し、より強靭な収益体質を目指していきます。

SR/IR活動を通じた株式市場との対話

次に、株式市場との対話についてです。前中期経営計画の公表以降、当社の株価は堅調に推移しており、TOPIXを上回るパフォーマンスを維持しています。PBRも上昇傾向にあり、1倍という1つの節目に近づきつつあります。

投資家のみなさまからは、ROEの向上や資本構成の最適化、成長分野の明確化についてご意見をいただいています。当社としては、ROEの向上を経営の最重要課題と位置づけ、過剰キャッシュの圧縮や政策保有株式の縮減を含めた抜本的な財務戦略を、今中期経営計画の優先課題と位置づけました。

投資家のみなさまとの対話から得られた知見を経営に反映し、さらなる企業価値の向上に努めていきます。

NOBLEの価値創造の源泉

次に、当社の強みについてあらためてご説明します。まず、当社の価値創造の源泉についてです。当社の最大の特徴は、可変抵抗器や固定抵抗器といったディスクリート製品と、お客さまの要望をかたちにするICB製品(カスタムブランド)があり、これらを設計から生産まで自社で完結できる点です。

これを支える3つの特徴として、第1に、一貫生産と自社設備設計により、多品種小ロットでも高品質・短納期を実現する柔軟性を備えている点が挙げられます。

第2に、製造の知見を持ち、高い折衝力と提案力を備えた営業力によって、顧客の潜在ニーズを掘り起こすソリューション提案が可能である点です。

第3の特徴は、エレメント技術を核とした統合型R&D体制で、大学や外部機関との共創を通じて社会課題を解決する次世代の研究開発を追求している点です。

NOBLEの生産・技術体制

当社の競争優位性の源泉である生産・技術体制についてご説明します。当社の強みは、創業以来磨き上げてきた自社一貫生産体制にあります。スライドに示したとおり、製品設計から金型製作、スクリーン印刷、成型、そして最終検査に至るまですべての工程をグループ内で完結させています。

この強みがあるからこそ、お客さまの多様なニーズに対応することが可能となっており、お客さまから高い評価をいただいています。

利益成長を支える生産技術革新への取組み

利益成長を支える生産技術革新への取組みについて説明します。

製造工程で使用する機械装置の多くは、社内の生産技術部門が自社で設計・製作を行っています。これにより、設備投資コストを抑えながら、当社製品に最適化された高い生産能力を実現しています。

具体的には、画像検査装置を導入し目視検査を自動化するほか、IoTを活用して製造実績をリアルタイムで可視化する取組みを進めています。また、熟練工の高度な技術を動画やAIデータで動作分析することで、技術伝承のスピードを飛躍的に高めています。

今後も、これらのデジタル技術と独自の生産技術力を融合させることで、品質を安定させ、コスト削減を両立し、利益成長を支える強固な生産基盤を構築していきます。

今中期経営計画の位置づけ

それでは、5月12日に発表した「中期経営計画2030」についてご説明します。

初めに、今中期経営計画の位置づけです。今中期経営計画は、前中期経営計画で示した長期ビジョンを基に、当社グループ社員が共通認識を持ち、「創造力」と「挑戦する精神」を礎にして未来を切り拓いていくものです。

具体的には、前中期経営計画で取組んできた「既存領域の拡大」と「新領域の模索」の成果を加速させるとともに、「新領域の確立」を優先課題と位置付け、収益力の向上、グローバル拠点の連携強化と拡大、社内システムの見直しによる生産性・付加価値の向上を図ります。また、組織力の強化を進めることで、利益成長と機動的な財務戦略の両立を実現し、中長期的にROE8パーセント超の早期達成を目指します。

経営数値目標

2030年度の経営数値目標として、売上高220億円、営業利益22億円、営業利益率10パーセントの実現を目指します。

これは、2025年度の実績から売上高・利益ともに大幅な成長を目指す数値です。この目標の実現に向けて、さまざまな取組みを進めていきます。資本収益性は、ROEを6パーセント以上の必達目標とし、将来的には8パーセント超を目指します。また、資本構成の適正化を図るため、自己資本比率70パーセント前後を目安にコントロールし、手元現預金のスリム化にも取組みます。

株主還元においては、DOE5パーセントを目安に安定配当を実施します。さらに、中期経営計画の当初3年間で15億円の自己株式取得を行い、株主のみなさまの期待に応えていきます。

取り巻く経営環境と中期経営計画の基本戦略

今中期経営計画の基本戦略についてご説明します。現在、原材料費や人件費の高騰、地政学リスクなど、不透明な状況が続いていますが、一方で、自動車の電動化や次世代AI、ヘルスケア事業の拡大など、当社にとって大きな事業機会が生まれています。

今中期経営計画では、4つの戦略を軸に据えて取組んでいきます。1つ目は既存領域での販売と利益の拡大、2つ目は顧客ニーズを捉えた新製品開発、3つ目は社会課題を起点とした新領域の確立、4つ目はこれらを支える組織力の強化です。

電子部品メーカーとしての実力をさらに拡充させ、社会や生活の課題を解決するソリューションパートナーへ進化を目指します。

既存領域の拡大 (既存市場×既存技術)

続いて、基本戦略の中身についてご説明します。1つ目の基本戦略である「既存領域の拡大」です。長年培ってきた当社のエレメント技術を活かし、特に成長領域と定めた車載、産業機器、医療機器分野での深掘りを行います。

具体的な目標として、車載HVAC(空調)用ポジションセンサの市場シェアを、現在の8パーセントから9パーセント程度に引き上げた上で、2030年度には12パーセント程度まで拡大する計画です。

また、海外市場においては、パートナー商社との連携を強化し、海外売上高を2025年度比で10パーセント以上成長させる計画です。

さらに、一貫生産において自動化と標準化を組み合わせることで、既存事業の利益率を一段と強化していきます。

顧客ニーズを捉えた新製品展開 (既存市場×新製品)

2つ目の基本戦略である「顧客ニーズを捉えた新製品展開」についてご説明します。自動車市場では、従来の製品に加え、ドアミラー用センサのバリエーション拡大やxEV関連の固定抵抗器への参入を強化します。

さらに、アミューズメント・ホビー機器領域では、電子楽器向けに当社独自のカーボン抵抗体方式を用いたタッチセンサ操作ユニットを提案するなど、単なる部品提供にとどまらない高付加価値なユニット製品へのシフトを進めていきます。

これらはいずれも、2030年度を見据え、量産体制構築の加速を進めていきます。

新領域の確立 (新市場×新技術 )

3つ目の基本戦略である「新領域の確立」です。ここでは、当社の印刷技術およびエレメント技術を、IoTや電気化学センサへの応用展開に向けた技術拡張力の強化を進めていきます。

注目すべきは、高血圧予防に貢献するナトカリセンサや、水漏れを検知する漏水センサです。これらは2026年度にテスト販売を開始し、2027年度頃の事業化を目指します。

特に漏水センサにおいては、従来の売切型ではなく、サブスクリプションモデルを採用し、継続的な収益機会の創出に挑戦します。そして、この取組みを通じて社会課題の解決を図り、新たな収益の柱へと育てていくことを目指します。

組織力の強化

4つ目の基本戦略である「組織力の強化」です。先に説明した基本戦略を実現し、中長期的な成長基盤を築くためには、組織力の強化が必要です。その戦略を実行する土台となる組織力の強化として、DXの推進によりベテラン技術者の技術伝承スピードを3倍に高めるなど、業務の高度化を図ります。

また、人材育成の強化や職場環境整備の推進、事業成長を支える戦略法務への転換を図り、未来を切り拓く強靭な経営基盤の実現を目指します。

従来のBSマネジメントからの抜本的な方針転換

丸山睦雄氏:業務統括、取締役常務執行役員の丸山です。ここからは私がご説明します。まず、BSマネジメントについてです。当社の財務戦略は、今中期経営計画で抜本的に方向転換を図ります。

これまで当社の自己資本比率は80パーセントを超えており、財務の健全性は高い一方で、ROEや資本効率の面で課題があると認識していました。今後は現預金や政策保有株式などの非事業用資産を圧縮し、それらを事業成長のための投資へ振り向ける資産の入れ替えを実施していきたいと考えています。

今中期経営計画の最終年度では、自己資本比率を70パーセント前後に設定し、負債を適切に活用してレバレッジを高めることで、ROE6パーセント以上の早期達成を目指し、さらには8パーセントへの道筋をつけていきます。

キャッシュアロケーション

スライドは、キャッシュ・アロケーションの5ヶ年計画です。営業キャッシュ・フロー約100億円に加え、資産売却や資金調達、現預金の活用などにより、総額200億円規模の原資を想定しています。

これに対して、将来の成長に向けた設備投資として約128億円を計画しており、この中には2028年初旬竣工予定の新本社・研究開発棟への約50億円の投資や、赤穂工場などへの高度生産インフラ投資が含まれています。

一方で、株主還元には約75億円を計画しており、現預金水準を増やさない方針を徹底していきます。

稼得したキャッシュを成長投資と株主還元にバランスよく配分することで、企業価値の最大化を目指していきます。

エクイティコントロールを企図した株主還元方針

エクイティコントロールを目的とした株主還元方針について、より明確かつ機動的な方針へ変更します。

具体的には、純資産の過剰な増加を抑え、資本効率を高めることを目的に、新たに株主資本配当率(DOE)5.0パーセントを目安とした配当方針を導入します。さらに、資本構成の最適化を図り、今中期経営計画の初年度から3年間で、総額約15億円の自己株式取得を実施することを決定しました。

安定的な配当の継続に加え、機動的な資本政策を遂行することで、株主のみなさまへの還元をさらに強化していきます。

人的資本に対する当社の考え方

先ほど、組織力の強化のご説明でも触れた、人材戦略の推進についてです。

私たちのすべての活動の基盤は「人」にあると考えています。採用ブランディングの強化をはじめ、当社では「NOBLE育成塾」と呼んでいる次世代リーダーを育成する研修制度が今年で4期目を迎え、着実に浸透してきています。また、技術継承をより確実にすることを目的として、熟練の技を称える「NOBLE匠制度」を導入しています。

多角的な研修や制度の導入を通じ、社員の能力を最大限に引き出します。

多様な意見を歓迎し、失敗を恐れず挑戦できる風土を醸成することで、持続的な成長を実現できる強い組織を作り上げていきたいと考えています。

本社研究開発棟建設進捗

羽生:以前からご説明している、新本社・研究開発棟の建設進捗についてご報告します。

既存建物の取り壊しは順調に進みました。一方、新築は、計画当初と比べて資材価格の高騰や建築業界全体の人手不足といった課題があり遅れていましたが、4月から新築工事が再スタートしたことをご報告します。なお、竣工は2028年1月を予定しています。当社としては、中長期的な成長に欠かせない投資であるとご認識いただければ幸いです。

当社は新しい中期経営計画を発表し、この計画を基に企業成長に向けた取組みを継続して進めていきたいと考えています。今後ともご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。以上で2026年3月期決算説明を終了します。

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