■富士製薬工業<4554>の業績動向
1. 2026年9月期中間期業績動向
2026年9月期中間期は、売上高は29,716百万円(前年同期比23.3%増)、営業利益は4,398百万円(同90.8%増)、経常利益は4,263百万円(同92.9%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は713百万円(同44.6%減)と、大幅な増収増益を達成した。営業利益率も14.8%と前年同期の9.6%から大きく改善している。女性医療事業及びバイオシミラー事業を中心に、新製品の販売拡大に加え、高粗利製品の構成比上昇による売上総利益率の改善が寄与したほか、一部販管費の計上が下期へずれ込んだことも利益を押し上げた。
一方、親会社株主に帰属する中間純利益が大幅な減益となったのは、事業悪化によるものではなく、バイオシミラー事業のグローバルライセンサーであるAlvotech株式の株価下落に伴い、投資有価証券評価損3,519百万円を特別損失として計上したことが主因である。なお、同評価損は非資金性の一過性損失であり、会社は通期業績予想を据え置いている。
2. 領域別業績動向
同社は医薬品事業の単一セグメントであるが、「女性医療」「バイオシミラー」「グローバルCMO」の3事業領域を展開している。
(1) 女性医療
女性医療事業の売上高は13,152百万円(前年同期比28.0%増)となり、引き続き売上高の成長をけん引した。主力製品では、更年期障害治療薬「エフメノカプセル」が3,053百万円(同69.4%増)と大幅に伸長したほか、「アリッサ配合錠」が1,361百万円(同504.9%増)と急成長した。「アリッサ配合錠」は2025年12月の処方制限解除後に採用が加速している。更年期障害領域及び月経困難症領域ともに市場拡大余地が大きく、同社の成長ドライバーとして存在感を高めている。
(2) バイオシミラー
バイオシミラー事業の売上高は1,854百万円(前年同期比102.6%増)となり、前期から倍増した。「ウステキヌマブBS」が271百万円(同185.3%増)と高成長を維持したほか、2026年1月に販売を開始した「アフリベルセプトBS」を含む新製品群の売上高は776百万円となった。「フィルグラスチムBS」は薬価改定の影響で横ばい圏となったものの、複数の新製品投入により事業ポートフォリオの拡充が進んでいる。加えて、「ゴリムマブBS」「デノスマブBS」についても上市準備が進んでおり、中期的な成長期待は高い。
(3) グローバルCMO
グローバルCMO事業の売上高は4,768百万円(前年同期比16.2%増)となった。国内受託が2,637百万円(同30.2%増)と高い伸びを示したほか、OLICを中心とする海外受託も堅調に推移した。同事業は中期経営計画の成長戦略の1つとして位置付けており、同社はおおむね想定どおりの推移と捉えている。医薬品製造受託を通じた安定収益の確保に加え、製造技術や品質管理ノウハウの蓄積という側面を持ち、女性医療とバイオシミラーを支える事業基盤として着実な成長を続けている。
■今後の見通し
2026年9月期業績を第1四半期に上方修正。営業・経常利益は2ケタ増益を予想
1. 2026年9月期業績の見通し
2026年9月期の業績予想は、売上高59,250百万円(前期比14.7%増)、営業利益6,120百万円(同22.6%増)、経常利益5,880百万円(同31.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,240百万円(同25.3%減)を見込んでいる。同社は2026年2月の第1四半期決算発表時、女性医療及びバイオシミラーの主要製品が想定を上回るペースで伸長したことや、高粗利製品の販売拡大に伴う製品ミックスの改善を理由に、通期予想を修正した。これにより、売上高は57,490百万円から59,250百万円へ、営業利益は5,520百万円から6,120百万円へとそれぞれ上方修正している。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益については、バイオシミラー事業のパートナーであるAlvotech株式の評価損計上に伴い、3,810百万円から2,240百万円へと下方修正した。ただし、これは本業の収益力低下によるものではなく、一過性の投資有価証券評価損による影響である。
2. 領域別業績見通し
(1) 女性医療
女性医療事業の売上高予想は26,280百万円(前期比17.5%増)であり、第1四半期決算時に期初予想から1,000百万円上方修正された。けん引役となるのは、「エフメノカプセル」「アリッサ配合錠」である。「エフメノカプセル」は更年期障害市場の拡大や競合品の供給停止を背景に好調な販売が続いており、「アリッサ配合錠」も処方制限解除後に処方が拡大している。特に「アリッサ配合錠」は発売2年目を迎え、新患への処方シェアの上昇が続いていることから、女性医療領域は引き続き同社最大の成長ドライバーとして業績をけん引すると考えられる。
(2) バイオシミラー
バイオシミラー事業の売上高予想は4,480百万円(同127.1%増)であり、第1四半期時点で期初予想から760百万円上方修正された。主力の「ウステキヌマブBS」に加え、2026年1月に販売を開始した「アフリベルセプトBS」が本格寄与する見込みである。また、「ゴリムマブBS」「デノスマブBS」についても薬価収載・発売準備が進められており、製品ラインナップの拡充が進んでいる。バイオシミラー市場では先行上市企業が高いシェアを獲得する傾向があり、同社の上市済み3製品は1st上市※であり、承認取得済製品についても同様に1st上市を見込んでいる。そのため、同事業は中期経営計画における強力な成長エンジンとして、今後の収益拡大が期待される。
※ 市場において初の製品すなわち先行上市したものを1st上市と言う。後から参入した製品は2nd、3rd上市と続く。
(3) グローバルCMO
グローバルCMO事業の売上高予想は8,500百万円(同1.9%増)であり、当初予想からの変更はない。同事業はOLICを中心とした受託製造事業であり、足元の受注環境は堅調に推移している。女性医療やバイオシミラーのような急成長領域ではないものの、安定的な収益創出とグローバル製薬企業との取引を通じた技術・品質管理ノウハウの蓄積という重要な役割を担う。同社は中期経営計画の成長戦略の1つとして位置付けており、着実な成長を見込んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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