■要約
早稲田アカデミー<4718>は、首都圏で小中高校生を対象とした進学塾「早稲田アカデミー」などを直営で展開しており、子会社の(株)野田学園で医歯薬系専門の大学受験予備校「野田クルゼ」を、(株)水戸アカデミーで茨城県内の小中学生向け進学塾「水戸アカデミー」を、(株)集学舎で千葉県内の小中高校生向け進学塾「QUARD(クオード)」を運営している。また、米国や英国で日本人子女を対象にした進学塾を各1校運営しているほか、2024年に幼稚園・小学校受験を目指す幼児教室「サン・キッズ」を運営する(株)幼児未来教育を子会社化し、幼児教育領域に進出した。
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比7.4%増の37,658百万円、経常利益で同10.2%増の3,968百万円と増収増益決算となった。小学部を中心に期中平均塾生数が同4.0%増と拡大基調が続き、売上高は15期連続の増収、経常利益は増収効果に加えて、業務効率化と原価抑制に取り組んだことで5期連続過去最高益を更新した。校舎展開では「早稲田アカデミー個別進学館(以下、個別進学館)」の直営を1校、FCを2校開校したほか、「東進衛星予備校」を3校開校、幼児教育の「サン・キッズ」を1校開校した。
2. 新中期経営計画の概要
同社は2026年5月に2027年3月期から新たにスタートする3ヶ年の中期経営計画を発表した。長期ビジョンとして「日本一の民間教育企業」になることを掲げ、まずは「日本一の学習塾」を目指していく。事業戦略として、1) 標準校舎(中高受験集団指導型校舎)のさらなる伸長、2) 大学受験部門と個別指導部門の強化(LTVの最大化)、3) インオーガニック領域の拡充促進に取り組み、2029年3月期に売上高460億円、経常利益47億円、ROE15.6%を目指す。年平均成長率は売上高で約7%、経常利益で約6%となる。大学受験部門と個別指導部門については新規開校を積極的に進め、両部門合計の売上高を前期の40億円台前半から最終年度に60億円強の水準を目指す。首都圏においても少子化の進行が緩やかながらも進むと予想されるが、今後も高い合格実績とIT/AIを活用した利便性の高いサービスを提供し続けることで、市場シェアを拡大しながら業績目標を達成することは可能と見ている。
3. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の業績は売上高で前期比7.6%増の40,520百万円、経常利益で同7.7%増の4,274百万円と増収増益が続く見通し。期中平均塾生数が同4.2%増と順調に拡大するほか、授業料や特別講習料の改定による塾生当たり売上単価の上昇が増収要因となる。賃金改定や教育研修の強化による人的投資費用の増加があるものの、増収効果で吸収し利益率も前期並みの水準を維持する。校舎展開では、「標準校舎」を2校、「個別進学館」を3校、「東進衛星予備校」を2校新たに開校することを計画に織り込んでいるが、不動産物件の探索を進めている段階にある。
4. 株主還元方針
同社は配当政策に関する基本方針についても今回見直した。従来は安定的な配当の維持を基本としつつ連結配当性向35%以上を目標に配当額の向上を検討することを方針に掲げていたが、配当性向基準を2027年3月期より50%以上に引き上げた。2026年3月期の1株当たり配当金は前期と同額の55.0円(配当性向40.9%)としたが、2027年3月期は前期比20.0円増配の75.0円(同50.3%)とする予定だ。また、株主優待についても従来は100株以上保有する株主に対して保有期間に応じてQUOカード及びグループで使用可能な株主優待券を贈呈していたが、利便性向上を目的にQUOカードを電子マネーに変更した。株主優待も含めた単元当たりの総投資利回りは3年未満保有株主で5.5%、3年以上保有株主で7.9%となり、グループサービスを利用または利用を検討している投資家にとっては魅力的な水準と言える(2026年5月29日終値2,462円で計算)。
■Key Points
・塾生数が順調に拡大し、2026年3月期も過去最高業績を連続更新
・新中期経営計画を発表、着実な収益成長と新たな飛躍の基盤構築に取り組む
・高い合格実績が反響を呼び、2027年3月期の塾生数も好調な滑り出し
・連結配当性向の目安を50%に引き上げ、株主優待も継続
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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