■山田コンサルティンググループ<4792>の今後の見通し
1. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の業績は、売上高で前期比0.7%増の26,900百万円、売上総利益で同7.8%増の22,100百万円、営業利益で同20.2%増の4,500百万円、経常利益で同17.1%増の4,350百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同0.1%増の2,900百万円と、増収増益を計画している。なお、計画にはYAMADA Income Fund, L.P.の業績も組み込まれているが、グループ外出資者持分の損益は非支配株主に帰属する当期純利益で調整される。仮にグループ出資割合分のみを反映した場合、売上高で同0.9%減の26,470百万円、売上総利益で同5.7%増の21,670百万円、営業利益で同9.3%増の4,090百万円、経常利益で同6.1%増の3,940百万円(親会社株主に帰属する当期純利益への影響はない)となる。未上場株式投資事業の売却案件が減少することで投資事業が減収となるが、海外コンサルティング事業の売上拡大並びに収益性の改善等により、各段階利益は増益となる見通しである。なお、2027年3月期も引き続き既存人員の昇給(約6%)を実施することで人件費は増加するものの、販管費全体の増加額は前期の1,469百万円から840百万円に縮小する見込みである。
(1) コンサルティング事業
コンサルティング事業は、売上高で前期比8.5%増の23,000百万円、売上総利益で同7.9%増の20,460百万円、営業利益で同26.1%増の3,260百万円を見込んでいる。同社は経営コンサルティング事業とM&Aアドバイザリー事業の両方をワンストップで提供できる強みを生かして成長を続けてきたが、今後さらに付加価値の高いM&Aサービスを提供するため、2027年3月期よりM&Aアドバイザリー事業を各コンサルティング事業に統合した。また、今後の成長ドライバーとなる海外コンサルティング事業をクロスボーダーM&Aも含めて独立して管理することとし、2027年3月期より事業分野区分を事業戦略コンサルティング事業、資本戦略コンサルティング事業、海外コンサルティング事業、不動産コンサルティング事業の4分野に再編した。
国内では持続的成長をテーマとしたコンサルティングニーズが引き続き堅調なほか、業界再編・アライアンス支援や事業再生支援、事業承継など多様なニーズに対して、組織横断的に対応することで付加価値の高いサービスを提供し、成長につなげる戦略である。
また、海外コンサルティング事業では、クロスボーダーM&Aと経営コンサルティングをワンストップで提供できる強みを生かして、現地子会社とも協業しながら受注拡大を目指す。2026年1月にはインドでのクロスボーダーM&Aで豊富な実績とネットワークを持つ(株)マナスコーポレートパートナーズ※を完全子会社化しており、今後のシナジーが期待される。
※ 直近の業績は、2025年7月期の実績で売上高86百万円、営業利益19百万円。
(2) 投資事業
投資事業は、売上高で前期比29.7%減の3,900百万円、売上総利益で同6.3%増の1,640百万円、営業利益で同6.9%増の1,240百万円を見込んでいる。ファンド事業の収益増加が増益要因となっており、YAMADA Income Fund, L.P.の外部出資持分を除いた場合、売上高で37.4%減の3,470百万円、売上総利益で同21.5%減の1,210百万円、営業利益で同28.3%減の830百万円と、主に未上場株式投資事業における投資先株式の売却減少が減益要因となる。
10年後に営業利益100億円以上を目指す長期経営ビジョンを策定
2. 長期経営ビジョン
(1) 長期経営ビジョンの概要
同社はこれまで3ヶ年の中期経営計画を策定してきたが、長期的な企業価値向上を実現するため、今後10年の方向性を示しつつ、AI時代の構造変化に対応した戦略やKPIを機動的に見直すことができる長期経営ビジョンを新たに策定した。コア戦略として「顧客生涯価値(LTV)の最大化」と「T字型人材の育成」に取り組む。
LTVの最大化に向けて、今後の成長が期待される中堅企業をターゲットとし、高度かつ複合的な経営課題を解決するため、各種コンサルティング(戦略・承継・不動産等)とM&Aを一体のサービスとして提供する。海外事業では、直営拠点モデルを軸に、日系・非日系問わず顧客課題を一気通貫(戦略×M&A×PMI)で支援するほか、対象地域とサービスの拡大に向けM&A・アライアンスも積極的に推進する。一気通貫のサービスモデルを提供できる競合は少なく、差別化要因になると同社では見ている。投資事業では、コンサルティングを基盤とした投資により、安定的な収益力の強化に取り組み、投資収益比率の拡大による利益の極大化を目指す。販売チャネルは、同社の強みである金融機関チャネルを維持・拡大するとともに、経営者との接点や関係強化のため直接チャネル比率の向上を目指す。そのほか、コンサルティングプロセスへのAI活用や、コンサルティング役務サービスのDX・AI化を推進し、生産性向上を図る。
成長の源泉となる人材の育成については、2024年4月から人材戦略委員会を立ち上げ、「T字型人材の育成」に取り組んでいる。T字型人材とは、AIと共存できる高度な専門性による問題解決力と、複数事業にわたる幅広い課題発見力を持つ人材で、かつ顧客からの信頼を獲得できる人間力を持つ人材を多く育成する。なお、人材の採用戦略については、AIの影響を見極めつつ職種なども含めて現在、検討を進めている。
(2) 主要指標
10年後の主要指標として、売上総利益500億円以上(前期比2.4倍以上)、営業利益100億円以上(同2.7倍以上)を掲げた。年平均成長率は売上総利益で約9%、営業利益で約10%となる。成長分野への注力によって事業ポートフォリオを変革し、持続的な成長と安定した収益基盤構築を実現することで、長期的な企業価値向上を図る。
事業別の戦略を見ると、国内コンサルティング事業は、付加価値向上により売上総利益で年率5%の安定成長維持と営業利益率(対売上総利益)20%程度の維持を目指す。一方、成長余地の大きい海外コンサルティング事業と投資事業を強化する方針で、年率2ケタ成長を目指す。海外コンサルティング事業の売上総利益は10年後に200億円(同4.9倍)とし、国内と同水準の利益率を目指す。また、投資事業では投資残高200億円以上への拡大と営業利益率70%の維持を掲げ、売上総利益で50億円(同3.2倍)を目指す。
■株主還元策
連結配当性向50%を目安に累進配当を実施
同社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の1つとして認識し「高水準かつ安定的な配当」の継続を基本方針としている。配当方針として、安定的かつ持続的な配当を実現するため、2025年3月期の期末配当より連結配当性向50%を目安として年間配当の増配もしくは維持を行う累進配当を導入している。この方針に基づき、2026年3月期の1株当たり配当金は前期と同額の77.0円(配当性向50.8%)を実施した。2027年3月期も同額の77.0円(同50.9%)を維持する計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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