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エヌ・シー・エヌ Research Memo(8):2027年3月期は、SE構法の優位性を背景に業績拡大を目指す

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■エヌ・シー・エヌ<7057>の今後の見通し

1. 2027年3月期の業績予想
2027年3月期の連結業績は、売上高9,310百万円(前期比10.6%増)、営業利益308百万円(同102.5%増)、経常利益348百万円(同85.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益246百万円(同69.9%増)と、増収増益を見込む。住宅分野に関し、2026年3月の建築基準法での木造住宅壁量計算等の経過措置終了に伴い、同年4月から在来工法やツーバイフォー工法では必要壁量がこれまでの1.4倍に増加する。そのため、バージョンアップによって必要壁量を最小限に抑え、間取りの自由度を広げられるSE構法は、さらにその優位性が高まる見通しである。加えて2026年3月期からのSE構法の受注ストック増加や、登録施工店数の増加も大きく寄与し、2026年3月期比でSE構法出荷数の大きな伸びを見込み、売上高は同15.0%増を予想している。利益面は増収効果等で前期からの回復を見込む。建築業界では中東情勢をきっかけとした建築資材供給の不安が残る状況であるが、期初予想時点で、同社は建築資材の価格上昇はあるものの、材料不足による着工遅延はないとしており、業績予想にこの影響を織り込んでいない。

2. 分野別売上高の見通し
(1) 住宅分野
売上高5,468百万円(前期比15.0%増)、KPIであるSE構法出荷数は1,041棟(同22.8%増)を見込む。SE構法の登録施工店は新規で36店の加入を見込んでいる。2026年4月の法改正に起因するSE構法の優位性の高まりを背景に、足元ではSE構法に対する引き合いは堅調で、構造計算の受注状況は安定しており、工務店等の登録件数も増加している。また、一連の建築基準法改正に伴う確認申請の停滞について、同社は申請正常化に向けて民間の指定確認検査機関への説明等を丁寧に行っており、2027年3月期には徐々に正常化が進む見通しである。なお、この要因を背景とした構造計算後の未出荷物件数については、2026年3月期末時点で463棟(同30.4%増)と積み上がっており、今後の売上寄与が見込まれる。

(2) 大規模木造建築(非住宅)分野
売上高3,152百万円(同2.4%増)を見込む。KPIの構造計算出荷数は278棟(同6.5%増)、SE構法出荷数は156棟(同10.6%増)と、前期に続き堅調な増加を見込む。同社が擁するSE構法による構造設計から環境設計、BIM、そして登録店による施工に至るプロセスをトータルソリューションとしてワンストップで提供できる強みを生かしつつ、順調に拡大している「大規模木造建築ネットワーク」の加盟店を支援しながら需要の掘り起こしを進め、受注拡大につなげる。「大規模木造建築ネットワーク」は、設立1年目の2026年3月期に、SanuやMUJI HOUSE関連案件を手掛ける工務店の実務に寄与したほか、コンサルティングの窓口となった工務店からの紹介が活発化するなど、成果が上がり始めている。また、前期に新設した「中大規模木造ビルディングサポートセンター」による課題解決やニーズ発掘の推進も、受注拡大をけん引する見通しである。

(3) 環境設計分野
売上高485百万円(前期比20.4%増)を見込む。KPIの省エネ計算数は、4,750戸(前期比10.1%増)を計画している。戸建住宅は前期並み、集合・非住宅及びリノベーションは増加を見込んでいる。省エネ基準適合が義務付けられた新築建築物に加え、特に旺盛なリノベーション需要を捉え受注拡大を図る。

(4) DX・その他の分野
売上高204百万円(同13.8%増)を見込む。KINO BIMによる高画質建築空間シミュレーションサービス「MAKE ViZ」の拡販を継続して推進するほか、将来的な建築確認申請の電子化を見据えた、BIMによる確認申請対応設計図書・実施設計図書作成サービス「MAKE DoC」の展開を強化する。

3. 今後の成長戦略
2026年3月期を最終年度とする3ヶ年の前中期経営計画について、2025年3月期末時点で新設住宅着工戸数の低調を受け見直す計画にあったなか、計画を終了した。新たな中期経営計画については、新設住宅着工戸数の推移、建築基準法改正に伴う影響の終息、不透明な中東情勢といった諸要素を勘案のうえ、適切な時期に策定内容を発表する予定である。現時点での同社の分野別の成長戦略は次のとおりである。

(1) 住宅分野
SE構法の新バージョン「SE構法Ver.3」の拡販施策や「重量木骨の家」のブランド化を推進する。2026年4月の法改正に伴う必要壁量の増加に対し、SE構法の新バージョンでは構造用パーティクルボード「G-BOARD」を採用し、壁倍率11.7倍(在来工法で使用する合板の壁倍率は2.5倍)相当の超高耐力の壁を構築可能なため、住宅建築に必要な壁量の削減が可能となり、その分間取りの自由度がアップする。同社が主要ターゲットとする富裕層にとって、自由で開放感のある間取りの実現が可能なSE構法は大きな魅力となり、このアドバンテージを生かし、登録施工店と連携しながら受注件数の拡大を図る。「重量木骨の家」のブランド化も富裕層向け高付加価値戦略の一環として同じ方向性にあるもので、同社のSE構法や省エネ計算に基づき、登録施工店と強固な協力体制を構築しており、性能だけでなくデザイン性にも優れた住宅を拡販する方針である。

(2) 大規模木造建築(非住宅)分野
非住宅木造建築の市場拡大に対応するため、2025年7月に活動を開始した「大規模木造建築ネットワーク」を活用する。北海道から沖縄までカバーする体制により、全国各地で生じる大規模木造建築ニーズを発掘し、迅速に対応することで受注増につなげる。特に国内では大規模木造建築の設計・施工ノウハウを持つハウスメーカーが少ないなか、「中大規模木造ビルディングサポートセンター」の機能や他社とのアライアンスを通じて同社のノウハウを提供することは、双方の相互利益につながると考えられる。なお、同社は、大規模木造建築(非住宅)分野について、将来的には売上高の過半(2026年3月期は36.6%)を占める水準まで育成する方針である。

(3) 環境設計分野
住宅・非住宅を問わず、すべての新築建築物への省エネ基準適合義務化を追い風とし、登録施工店ネットワークを通じた販売拡大策を展開する。特に中古マンションリノベーション市場は、都市部の新築マンション価格が高止まりするなか、高い成長が見込める領域である。同社はすでに三菱地所レジデンスやコスモスイニシアとの提携で先行しており、今後も大手マンション再販事業者とのアライアンスを拡大する方針だ。中古マンションの省エネ化という市場の潮流を捉えることで、さらなる業績拡大をねらう。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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