■業績動向
1. 2026年3月期の業績概要
クオールホールディングス<3034>の2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比10.2%増の290,772百万円、営業利益で同10.0%増の14,811百万円、経常利益で同7.6%増の14,879百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同43.5%増の7,408百万円となり、過去最高業績を更新した。第一三共エスファが2024年12月以降に発売したAG製品5品目の販売が順調に推移し、製薬事業の業績が大きく伸長したことが主因だ。また、親会社株主に帰属する当期純利益については、第一三共エスファの株式を2025年4月に追加取得し、出資比率が51%から80%に上昇したことで、非支配株主に帰属する当期純利益が前期の2,312百万円から1,064百万円に減少し、大幅増益の一因となった。
期初予想(売上高280,000百万円、営業利益15,500百万円)に対して、売上高はBPO事業の下振れを製薬事業の好調でカバーし、予想を3.8%上回ったが、営業利益はBPO事業や薬局事業が下振れたことで、予想比4.4%の未達となった。薬局事業では、処方箋応需枚数が想定を下回ったほか、人件費の増加が下振れ要因となり、BPO事業ではCSO事業や医療系人材紹介派遣事業で設定した高い目標に届かなかったことが下振れ要因となった。ただ、BPO事業は前期比で増収増益となるなど収益は順調に拡大している。
製薬事業はAG製品の販売好調で大幅増収増益が続く
2. 事業セグメント別動向
(1) 薬局事業
薬局事業の売上高は前期比3.4%増の177,461百万円、営業利益は同3.0%減の9,730百万円となり、売上高は増収基調が続いたものの営業利益は4期連続の減益となった。医療DX推進体制整備加算※の取得等が進んだことや、後発医薬品の使用割合が増加したことで技術料単価が上昇したものの、処方箋応需枚数が長期処方等の影響により減少に転じたこと、また賃金改定に伴う人件費の増加が減益要因となった。
※ 2024年度から新たに設定されたもので、マイナンバーカード利用実績や電子処方箋応需体制等の整備状況によって加算点を取得できる。
a) 出退店とM&Aの状況
2026年3月末の店舗数は949店舗と前期末比1店舗増にとどまった。2023年3月期以降、厳しい市場環境を背景に減益が続くなかで、2026年3月期は収益力を強化すべく、新規出店やM&Aを抑え不採算店舗の整理を進めたことが要因だ。実際、新規出店は前期の18店舗から8店舗に、M&Aによる獲得店舗は26店舗から9店舗にそれぞれ減少し、退店数は前期の17店舗から18店舗に増加した。
2024年11月にKDDI<9433>との協業により出店したオンライン専門薬局「クオールどこでも薬局」(埼玉県川越市)は順調に稼働しているが、追加出店については様子見の状況となっている。また、新たな取り組みとして2025年6月にKDDIがローソン店舗内のブースで提供する次世代リモート接客プラットフォームに参画した。同ブースと「クオールどこでも薬局」をつなぐことでオンライン服薬指導を行い、新たな顧客体験を提供するとともに、都心部と地方における医療資源偏在等の課題解決に取り組んでいる。
b) 調剤売上高の状況
薬局事業の売上高は、調剤薬局の調剤売上高と売店やECなどの商品売上高で構成される。2026年3月期の売上内訳を見ると、調剤売上高が前期比3.0%増の164,200百万円、その他売上高が同8.6%増の13,260百万円といずれも増収基調が続いた。調剤売上高の内訳を処方箋応需枚数と処方箋単価に分解して見ると、処方箋応需枚数は前期比2.2%減の16,699千枚となった一方で、処方箋単価は同5.2%増の9,832円となった。厚生労働省が発表している月次統計によれば、2025年4月から2026年1月までの10カ月累計の前年同期比伸び率は処方箋応需枚数が1.6%減、処方箋単価が5.0%増、調剤医療費で3.4%増となっており、ほぼ業界全体と同様の動きとなった。
処方箋応需枚数の減少は長期処方の影響によるものと考えられる。一方、処方箋単価は医療DX推進体制整備加算の取得が進んだことや、後発医薬品(以下、GE医薬品)の使用割合が増加したことにより技術料単価が上昇したほか、薬剤料単価も長期処方の影響により上昇した。売上高で見ると、店舗の付加価値部分となる技術料収入は処方箋応需枚数の減少が響き、前期比1.5%増の42,499百万円と微増収にとどまり、薬剤料収入は同3.5%増の121,701百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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