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伊藤忠、なぜ5大商社で一人勝ち?コロナ禍に負けぬ理由、三菱商事・三井物産との違い、基礎収益ほか商社独特の指標とは=シバタナオキ

バフェットが投資したことで注目を集めた日本の5大商社。その中でも業績を伸ばして独走状態となっている「伊藤忠商事」の決算書から、その理由と今後の展開を読み解きます。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

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※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2021年1月11日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

商社独特の指標とは?

私のYouTubeチャンネルでは、決算読み解き実況中継をしています。おかげさまでYouTubeのほうも多くの方にご覧いただいているのですが、特に忙しいビジネスパーソンの方たちから「YouTube動画の内容を知りたいが、動画を見る時間がない」というお声を多数いただいています。

この記事では、以下の動画の内容をスクリーンショット付きで文字起こししてあります。動画を見る時間はないけれど、内容を短時間でおさらいしたいという方に最適です。

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――(Risa)皆さんこんにちは、Risaです。今年ウォーレン・バフェット率いる米国バークシャー・ハサウェイが出資したことで話題になった日本の5大総合商社ですが、その中でも高い業績の伊藤忠の決算を、シバタさんと見ていこうと思います。シバタさん、よろしくお願いいたします。

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――今年の4月~9月期(1-2Q)の決算は、「当社株主帰属四半期純利益」が2,525億円と前年同期比12.6%マイナスでしたが、7月~9月期(2Q)に関しては、四半期単体で過去最高益という結果でした。

――このページに「基礎収益」など他の企業の決算ではあまり見ない指標があり、商社の決算は独特なように感じました。決算の印象を伺う前に、商社独特の指標があれば教えてください。

(シバタナオキ)商社には色々なビジネスが混在しているので、きちんと実態を把握するのは意外と難しいです。そのため、この資料にある「基礎収益」を1つの目安として見る場合が多いです。

基礎収益とは、営業利益に利息・配当金・持分法損益を加えた数字を指します。基礎収益を見る一番の理由は、商社には色々なビジネスがあり、色々なパターンで売上が生まれるので、売上高で追ってしまうと正しく比較できないためです。

ECのビジネスで言うと、直販とマーケットプレイスが混在しているような状態で、マージンが全然違うものが混ざるので、売上で比較しても意味がありません。例えば、マージンが5%のビジネスと30%のビジネスの売上を比べても意味がないですよね。

横並びで比べる時にフェアなのが基礎収益だというのが一番の考え方です。

――なるほど。基礎収益以外にも、色々なビジネスが混在している商社ならではの決算の見方があれば教えてください。

いくつかあります。

1つは営業利益です。オペレーションを自分たちで持っているビジネスに関しては、営業利益で見るのが良いでしょう。

2つ目が金融収支です。これはいわゆる受取配当金も含むような金融収支で、お金を貸して、お金が返ってきて儲かる、というものです。

3つ目は持分法利益です。出資をしていて、持分に応じた利益を受け取ることです。

以上の3つくらいを分けて見ると、大体全体像が見えてくるのではないかと思います。

Next: 世の中のトレンドをそのまま反映。今後も伊藤忠の独走が続く?

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