2026年7月16日に発表された、株式会社アクセルスペースホールディングス2026年5月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
ビジョン・ミッション
折原大吾氏(以下、折原):本日はお忙しい中、ご参集いただきありがとうございます。取締役の折原です。
当社は「Space within Your Reach ~宇宙を普通の場所に~」をビジョンに掲げ、小型人工衛星を活用したビジネスを推進しています。
代表取締役の中村が大学生の時に、手のひらに乗るような、当時世界最小の人工衛星の開発に取り組みました。その経験を生かして、数人の仲間とともにアクセルスペースを起業しています。
目次

本日は通期の決算について、7月14日に公表している資料に基づき、2026年5月期業績概要を私より、経営方針ならびに2027年5月期業績予想を中村よりご説明します。
2026年5月期 通期 ハイライト

まず2026年5月期の業績概要です。2026年5月期で重要な項目は2点です。
まず業績においては、防衛省「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」を開始したことにより、売上は58.1パーセント増の25億円、受注残高は366.3パーセント増の533億円となりました。
加えて、期末後の動きとはなりますが、2026年7月7日に中分解能衛星「GRUS-3(グルーススリー)」7機の同時打上げに成功しました。その後、クリティカル運用を終え、現在は、2026年中の商用運用開始に向けて初期運用を進めています。
詳細は後ほどご説明します。
業績推移

2026年5月期は、前年同期比で増収となった一方、将来の事業成長に向けた自社衛星への研究開発を推進したことにより、研究開発費を含む販管費が増加し、営業損失・経常損失が増加しました。
増収の主な要因は、AxelGlobe事業に含まれる「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」が2026年4月に開始し、売上に寄与したことです。
一方で、中央のグラフの該当期間中に打上げた「GRUS-3α」と今後打上げ予定の高分解能衛星の研究開発費が増加したことで、利益ラインに影響しました。
四半期業績推移

本ページでは四半期ごとの売上高推移を示しています。従来から、第4四半期に売上が大きくなる傾向にありますが、AxelGlobe事業の今第4四半期は、「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」の開始により大きく売上が伸びています。
連結当期純損失 増減要因(前年同期比)

こちらは前年同期比の利益増減要因の分解です。要因を粗利、販管費、営業外損益以下に分けると、増収による粗利の増加を販管費の増加が上回った結果、当期純損失は前年同期比で拡大しました。
販管費の変化は研究開発費、人件費および採用費、販売促進関連の費用の増加が主な要因です。
営業外損益以下の変化は、支払利息ならびにIPO時の資金調達関連費用、特別損失の増加が主な要因です。
次ページ以降でセグメント別に詳しくご説明します。
セグメント別実績:AxelLiner事業

ここからはセグメント別、前年同期比の業績推移をご説明します。
AxelLiner事業における「Kプログラム」は、通期の連結売上の約52パーセントを占めています。本案件は開発計画をもとに進捗に応じて発生する材料費・経費等の売上原価に、一定の利益率を乗じて売上を計上しています。
従って、設計、製造/試験に比べ、材料調達時や打上げ時は原価発生が相対的に大きくなるため、結果として売上高が大きくなる構造となっています。
当期は、前年同期比で売上原価が増加したことから、増収となりました。
なお、セグメント損益については、2026年3月1日付で実施した組織変更に伴い、自社衛星製造にかかる研究開発費用の一部の測定方法の見直しを行い、2025年5月期の数値も変更後の測定方法に基づいて作成しています。後ほど詳しくご説明します。
この影響により、2026年5月期は、「GRUS-3α」の打上げ費用など汎用バスシステムの実証実験の研究開発費の増加や補助金収入の減少により、セグメント損失が拡大する結果となりました。
セグメント別実績:AxelGlobe事業

AxelGlobe事業セグメントは、「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」の開始が寄与し、売上高は大幅に増加しました。
また、セグメント損失については、前述の自社衛星製造にかかる研究開発費用の一部の測定方法の見直しにより売上原価は微増であったものの、高分解能衛星にかかる研究開発費の増加により損失が拡大しました。
セグメント損益計上方法の変更

次に、セグメント損益の計上方法の変更についてご説明します。
2026年3月1日付で実施した組織変更に伴い、報告セグメントの業績をより適切に反映するため、これまでAxelLiner事業に計上していた自社衛星のバス部の製造に係る研究開発費用を、AxelGlobe事業に計上する方針に変更しました。
従来、「GRUS-3」などの自社衛星に関わる衛星バスはAxelLiner事業部のメンバーが開発していたため、AxelLiner事業セグメントに計上していました。組織が事業部別から機能別に再編されたことにより、事業実態にあわせ衛星の使用目的ごとに費用を計上する方針となりました。
以上で、2026年5月期実績についてのご説明を終了します。
続いて、中村より経営方針以降をご説明申し上げます。
外部環境:国内外における宇宙産業の動向

中村友哉氏(以下、中村):代表取締役の中村です。ここからは、当社の経営方針についてご説明します。
こちらのスライドでは、国内外の宇宙産業を取り巻く市場環境についてご説明します。世界の宇宙市場は、2023年から約3倍に拡大し、2035年には約1.8兆ドル規模に達すると予測されており、今後も高い成長が期待されています。
こうした中、日本では10年間で総額1兆円規模の宇宙戦略基金や防衛省の取り組みが進展しており、政府による宇宙分野への投資が加速しています。中でも直近発表された日本成長戦略会議では、宇宙を「活用する市場」として広げるという日本政府の姿勢が示されたものだと感じています。
外部環境:日本成長戦略会議における官民投資想定額

日本成長戦略会議において、航空・宇宙分野が戦略17分野に選出されたこともさることながら、主要製品の「人工衛星・サービス」で挙げられた内容は、当社にとって強力な追い風になるものだと考えています。
ここではロードマップ案の中で2040年度までに6.4兆円の官民投資の想定に加え、目標として衛星製造・運用、衛星通信・データ利活用を合わせ、2040年に国内外で約12兆円規模の需要獲得を目指す方針が示されました。
衛星の製造・運用はAxelLiner事業、そして衛星通信・データ利活用はAxelGlobe事業の展開領域です。
当社はこれから政府が目指す国内外での約12兆円の需要獲得のいずれをも狙うことのできる事業を展開しているということです。
当社の事業

先ほど申し上げたとおり、当社は「AxelLiner」と「AxelGlobe」の2つの事業を展開しています。
スライド上段のAxelLiner事業は、お客さまのミッションに応じて衛星を開発・製造し、提供する事業です。
創業当初から、お客さまに向けた専用衛星の受託開発事業を行ってきましたが、より多くのお客さまに早く、安価に衛星活用を行っていただくため少量多品種の量産を可能にし、また最新のAI・デジタル技術によって顧客体験を革新するため、事業の再定義を行ったのが現在のAxelLiner事業です。
加えて、AxelLinerにおいては、当社が保有する衛星にて軌道上実証を行えるサービス「AxelLiner Laboratory」を展開しています。
スライド下段のAxelGlobe事業は、自社で保有・運用する地球観測衛星群から取得した画像データを販売するとともに、データに解析などの付加価値を加え、ソリューションとして提供する事業です。
ここまで、当社が置かれている事業環境をご説明しました。これらの環境の中で、当社はグローバルでの成長機会を獲得するために、中期で目指す姿を明確にしました。
5年後に目指す姿

当社が5年後に目指す姿として、4つの目標を掲げています。
まず、2031年5月期末までに地球観測衛星コンステレーションを30機体制へ拡大し、観測能力の向上とサービス提供力の強化を図ります。
次に、2030年5月期までに軌道上実証サービスを年4回の定期運航体制とし、安定的にサービスを提供できる事業基盤の確立を目指します。
さらに、これらの事業成長を支えるため、衛星の生産能力を向上させ、多様な案件や需要の変動にも柔軟に対応できる量産体制の構築を進めます。
最後に、衛星の性能向上に向けた研究開発を引き続き積極的に進めることで、既存衛星の性能向上に加え、新たなミッションに対応する技術開発を推進していきます。
1つ1つ詳しくご説明します。
衛星コンステレーションの増強による事業基盤の強化:目標運用機数

現在、当社は中分解能衛星5機を運用していますが、2026年7月7日に打上げに成功した中分解能衛星「GRUS-3」7機の商用運用が開始すると10機以上の体制となる予定です。
中分解能においては、大手衛星データプロバイダーが新規打上げを取りやめるなど、現在グローバルで提供事業者が限定されつつある状況です。
当社は、このような状況を機会と捉え次ページでご説明する中分解能の市場を寡占状態にするべく、海外の顧客の拡大によってグローバルでの競争力を強化します。
コンステレーションの拡充による供給能力の向上とコスト競争力を生かし、利用拡大を促進します。
さらに、衛星画像データを用いたソリューションによって付加価値を高め、民間企業・新興国を中心に新たなユースケースを創出し、市場そのものの拡大を同時に目指します。
高分解能衛星の打上げ5機もすでに発表しています。光学の高分解能衛星画像の利用は安全保障分野が中心です。
内外で高まる需要に応えるために、こちらも機数増加を目指すこととしました。
2031年5月期末までに30機体制の衛星コンステレーションの構築を計画しています。
衛星コンステレーションの増強による事業基盤の強化:市場データ

中分解能衛星と高分解能衛星の市場は、顧客のニーズが異なります。赤枠で示している中分解能市場は、現在の当社の事業領域です。
中分解能衛星は、天然資源モニタリングをはじめとする幅広い用途で高い需要が見込まれています。一方、高分解能市場は近年の地政学リスクの高まりを背景に安全保障分野を中心として画像の迅速な取得を求める傾向が強まっています。
現在、中分解能衛星と高分解能衛星の双方を運用する企業は世界でも限られています。当社は30機体制の衛星コンステレーションを構築することで、中分解能市場に加え、高分解能市場にも事業領域を拡大し、約3.6兆円の市場をターゲットとする事業基盤の構築を目指していきます。
衛星コンステレーションの強化:主要プロジェクト

安全保障の代表的な案件として、「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」をご紹介しています。
当社は唯一の光学画像提供事業者として参画し、事業総額2,831億円のうち、5年間で436億円を上限として売上高に計上予定です。
予定どおり2026年4月よりサービス提供を開始しています。スライド左側に記載のとおり、防衛省が進める宇宙領域における防衛能力強化を背景に、衛星コンステレーションの重要性は今後さらに高まると考えています。
当社は、本案件を通じて運用実績と技術的な知見を蓄積することで、安全保障分野における需要の獲得を目指していきます。
軌道上実証サービスの事業基盤確立:国内の市場環境

日本成長戦略会議では軌道上実証も解決すべき主要な課題であるとの認識が示されました。衛星は多数の高精度部品で構成されており、関連するサプライチェーンは非常に幅広くなっています。
一方で、小型衛星向けの部品やコンポーネントを事業化するためには、実際に宇宙で動作した実績、いわゆる「フライトヘリテッジ」の獲得が不可欠です。
しかし国内では圧倒的に軌道上実証の機会が不足しており、衛星用太陽電池セル、小型光通信端末をはじめ一部の重要部品や中核技術では海外企業が先行している状況です。
そのため、海外の衛星需要の増大によって日本への提供が滞るという供給リスクも存在しています。
軌道上実証サービスの事業基盤確立:AxelLiner Laboratoryの事業進捗

こうした国内の社会的なニーズを捉えつつ、商談を通じてニーズを確信している海外においても、「AxelLiner Laboratory」を通じて低コストかつ高頻度に軌道上実証を行える環境を提供していきます。
当社は衛星バスを開発する中で、早期から軌道上実証の課題に向き合うべく2024年に「AxelLiner Laboratory」のサービスを発表し、顧客への提案を進めてきました。
活用する当社衛星バスについては、NASAのレポートにも掲載されています。現在までに、シナノケンシ社、Pale Blue社、JAXAの3件の案件を獲得しており、民間・政府系の双方で着実に実績を積み上げています。
軌道上実証サービス「AxelLiner Laboratory」の事業基盤確立

このように事業を進めてきた「AxelLiner Laboratory」ですが、今後の成長を捉え、事業基盤を確立するため、2030年5月期までに年4回の定期便化を目指します。
これまでは、案件を受注した後に衛星の製造と打上げスロットの確保を行っていたため、衛星開発のスケジュールや打上げ枠の混雑状況によっては、お客さまの希望する時期に実証機会を提供できない場合がありました。
こうしたお客さまにとっての利便性を改善するため、今後は受注に先行して打上げスロットを確保し、衛星バスの製造を先行して進めることで、よりタイムリーに実証機会を提供できる体制を構築します。
また複数のミッションを相乗りで搭載し、サービス価格の低減も図ります。この結果、サービスの一定の搭載率を維持することで継続的に収益を創出できる事業につながると考えています。
衛星生産能力の向上・生産効率の改善

これまでご説明した衛星の機数増加・定期便化においては体制の整備が不可欠であると考えています。
今後5年間で、合計40機以上を製造できる体制を作り上げるために最初に行うのは、開発拠点の移転です。
これまで離れた拠点で行っていた環境試験機能を集約し、設計、製造、試験を一体的に運用します。
当社は宇宙機製造アライアンスの座組を立ち上げ、今回の「GRUS-3」の量産においても適用してきました。この拠点を量産に向けたノウハウ蓄積の場と位置づけ、社内で得た改善成果を製造パートナーとも共有することで、需要の変動にも柔軟に対応できる生産体制を構築していきます。
また衛星バスの標準化をさらに推進しミッションごとの個別設計を最小限に抑えることで、開発期間の短縮とコスト削減に取り組みます。
衛星の性能向上のための研究開発:Kプログラム

最後の柱が、衛星の性能向上に向けた研究開発です。これまでにご説明した「Kプログラム」も日本成長戦略会議における重要技術とみなされています。
当社は、非地上系ネットワーク(NTN)が重要となる未来を見据え、2021年から次世代小型通信衛星コンステレーションの実現に向け、電波・光ハイブリッド通信技術の研究開発に取り組んできました。
現在は、衛星間光通信の実現を目指す「Kプログラム」の委託研究を進めています。
光通信は、大容量・高速通信に加え、高い秘匿性と耐妨害性を備えており、今後の衛星コンステレーションを支える重要な基盤技術になると考えています。
また、この技術が実現すれば、取得した大量のデータを地上へ準リアルタイムで伝送できるようになり、衛星で撮影した画像を迅速に活用できるようになります。
さらに将来的には、衛星上でデータを処理するエッジコンピューティングと衛星間光通信を組み合わせることで、撮影すべき場所を衛星が自律的に特定・撮影する仕組みの実現も視野に入れています。
これらは当社の衛星コンステレーションに実装することで、将来の衛星コンステレーションの運用手法を変え得る技術への挑戦だと捉えています。
衛星の性能向上のための研究開発:観測機能高度化

もう一つの研究開発テーマが、地球観測機能の高度化です。これは、新たな地球観測手法の実現を目指す研究です。
当社は、宇宙戦略基金第二期の技術開発テーマである「次世代地球観測衛星に向けた観測機能高度化技術」に採択されました。
本プロジェクトでは、連携機関や協力企業とともに、衛星コンステレーションと航空機を組み合わせ、CO2の発生源ごとの排出量や光合成による吸収量を観測する技術の開発に取り組みます。
気候変動という社会課題の解決に貢献するとともに、従来の画像データ提供にとどまらない、新たなソリューション市場の開拓につなげていきます。
前ページの「Kプログラム」は衛星の通信能力を飛躍的に高める研究、こちらは衛星が取得できる情報そのものを広げる研究です。どちらも、その成果を事業の強化につなげていきます。
2027年5月期業績予想(連結)

続いて、今期の業績予想についてご説明申し上げます。
2027年5月期は、「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」の着実な遂行と、「GRUS-3」7機の商用運用開始により、増収と収益性の大幅な改善を計画しています。売上高は90億円、補助金収入を加えた総収入は102億円を予想しています。
セグメント別の売上は、AxelLiner事業が29億2,000万円、AxelGlobe事業が60億8,000万円となる見込みです。
利益面では、AxelLiner事業は宇宙戦略基金の獲得案件の研究開発を行うため7億7,000万円の赤字となりますが、AxelGlobe事業は「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」の通年での寄与などにより、セグメント利益は34億円と大幅な増益を見込んでいます。
セグメント利益のほか、全社費用として、発表している新拠点への移転に関わる費用や人件費、AI・DX推進のための費用などの増加を見込んでいます。
これらを踏まえ、連結ベースでの経常損失は1億5,000万円を見込んでおり、大幅に縮小する計画です。
セグメント別業績予想:AxelLiner事業

AxelLiner事業の売上高は、前期比91.9パーセント増の29億2,000万円を見込んでいます。主な売上は、「Kプログラム」と「AxelLiner Laboratory」によるものです。
「Kプログラム」では、地上で振動試験などに使用するエンジニアリングモデルに加え、宇宙へ打ち上げる実証機のフライトモデル2機の製造を進めます。
「AxelLiner Laboratory」では、Pale Blue社およびJAXA向けのサービス提供を進めていきます。一方、セグメント損失は7億7,000万円を見込んでいます。
各案件の材料費や人件費に加え、宇宙戦略基金の獲得案件における研究開発を実施することが主な要因です。
なお、宇宙戦略基金案件の研究開発に投じた費用については、翌年度、100パーセントの補助金を受け取る見込みです。
セグメント別業績予想:AxelGlobe事業

AxelGlobe事業の売上高は、前期比6倍以上の60億8,000万円を見込んでいます。防衛省案件が通年で寄与することに加え、「GRUS-3」7機の商用運用開始に向けては、LOIを締結している企業を中心に、新規および既存顧客への営業活動を強化していきます。
セグメント利益は前年同期から大幅な増益となり、34億円を計画しています。これは、売上高の増加に伴う売上総利益の大幅な改善が、今後打上げを予定している高分解能衛星のエンジニアリングモデル製造に伴う研究開発費用を上回ることによるものです。
AxelGlobe事業の成長:衛星コンステレーションの拡充

AxelGlobe事業の成長を支える「GRUS-3」の進捗についてご説明します。2026年7月7日に、次世代地球観測衛星「GRUS-3」7機の同時打上げに成功しました。
こちらの動画では、SpaceXのロケットの先端から、「GRUS-3」が宇宙空間に飛び立つ様子をご覧いただけます。
打上げ翌日の7月8日には全7機からファーストボイスを受信し、7月10日には電力発生、通信の確立、姿勢制御など、軌道上での健全性を確認するクリティカル運用を正常に完了しています。
現在は、軌道制御、各機器の動作確認、システム総合試験など、安定した撮影に向けた初期運用を進めています。
今後、2026年中の商用運用開始を目指して準備を進めていきます。
LOIの提出企業を中心に営業活動を実施

「GRUS-3」の商用運用開始に向けて、営業面での準備も進めています。2026年6月末時点で、日本を含む国内外の30社以上と、画像やサービスの購入に関するLOIを締結しました。
地域的にも幅広い企業から関心をいただいており、用途としてはインフラや地図に加え、農業、環境関連など、多様な分野での活用が想定されています。
LOIは具体的な発注を確約するものではありませんが、「GRUS-3」に対する潜在的な需要を示すものと認識しています。商用運用開始後の契約獲得に向けて、LOI締結企業を中心に営業活動を進めていきます。
セグメントごとの受注残高推移

次に、セグメント別の受注残高についてご説明します。AxelLiner事業の受注残高は、「Kプログラム」の進捗に伴い、前期末から若干減少しました。
一方、AxelGlobe事業では、衛星コンステレーションの整備・運営等事業の受注により、受注残高が430億円と大幅に増加しています。
AxelLiner事業のパイプライン

本ページ以降、事業のパイプラインについてご紹介します。
まず、こちらは、AxelLiner事業の今後のパイプラインです。本ページでは契約済み、もしくは期間内の一部契約済みの案件を記載しています。
AxelLiner事業の事業進捗:主要プロジェクト

主要な売上である左側の「Kプログラム」では、2026年5月期末時点での受注残高は約82億円になりました。
右側の助成事業では、小型衛星の量産化を見据え、設計の汎用化、製造の効率化、運用の自立化・自動化を実証しています。
これらのプロジェクトを通じて得られる技術やノウハウを、将来のAxelLiner事業および自社衛星の開発・製造にも活用していきます。
Kプログラムの進捗

「Kプログラム」は2031年度までのプロジェクトで、現在は第3期に差し掛かっています。
NEDOの会計年度2028年度までに実施する打上げに向け、現在、要素技術の開発が進んでいます。
なお、こちらの案件は売上高に計上されるものです。計上方法の詳細については、48ページをご覧ください。
「AxelLiner Laboratory」(AL Lab)の進捗

こちらは、「AxelLiner Laboratory」の代表的な案件として、Pale Blue社との取り組みをご紹介しています。
Pale Blue社が開発している小型人工衛星向けスラスタについて、2027年の打上げ・軌道上実証に向けて、現在、衛星の開発・製造を進めています。
本案件を着実に遂行し、「AxelLiner Laboratory」の実績を積み重ねることで、新たな顧客獲得や事業拡大につなげていきます。
AxelGlobe事業のパイプライン

こちらは、AxelGlobe事業の今後のパイプラインになります。AxelGlobe事業では、案件の受注から納品までが短期間で完了するケースが多くあります。
そのため、受注残高として積み上がる案件は限定的であり、パイプラインには表れにくいビジネスモデルとなっています。
衛星コンステレーション事業を今期以降の収益の柱としながら、今後の「GRUS-3」のサービス投入を見据え、顧客獲得のための営業・事業開発に取り組んでいきます。
今後獲得を目指す主なプロジェクト

本ページでは、当社が今期獲得を目指す主要なプロジェクトを記載しています。
AxelGlobe事業においては、政府系案件を除くと、1件あたりがAxelLiner事業と比較して少額な案件であるケースが多いため、具体的なプロジェクトとしては記載をしていませんが、LOIを締結している企業のほか、政府系・民間案件の獲得に動いていきます。
今後の衛星開発計画と打上げスロットの確保

今後の衛星開発と打上げ予定をご説明します。表内で緑と青のグラデーションになっている8機の打上げスロットはすでに確保しています。
表内上側、AxelLiner事業についての打上げ予定ですが、打上げの具体的な時期を精査しました。
表内下側、AxelGlobe事業で利用する衛星に関しては、打上げ時期未定であった高分解能衛星2機について、2029年5月期の打上げを目指していきます。
IR活動のご案内

以上で、2026年5月期の決算および今後の事業方針についてのご説明を終了します。
引き続き投資家のみなさまに当社をご理解いただけるよう、IRサイトのほか、「note」やSNSで情報発信に努めていますので、ぜひご覧いただけたらと思います。
繰り返しとなりますが、2027年5月期は事業規模を大きく拡大し、収益性を大幅に改善する重要な1年と位置づけています。
5年後に目指す姿を実現するため、中長期的な成長基盤の構築に取り組んでいきますので、引き続き当社グループの成長にご期待いただければと思います。
ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:衛星コンステレーションを30機体制とする理由とその内訳について

司会者:「合計30機を製造するとのことですが、なぜ30機なのでしょうか? 高分解能と中分解能の内訳はどのようになっているのでしょうか?」というご質問です。
中村:中分解能衛星では再訪頻度1日1回を維持し、運用体制に余裕を持って顧客に画像を提供できる体制を検討しています。一方、高分解能衛星は、再訪頻度と撮像ニーズを考慮し、適切な体制の構築を検討しています。
機数の内訳は、おおよそ半々を想定しています。ただし、今後調整が入る可能性があるため、具体的な数字についての回答は控えます。
質疑応答:グローバル市場における競争優位性について
司会者:「グローバル市場での成長を目指すには、30機ではPlanet Labs社に対して見劣りするように見えます。どのような違いを打ち出せるのでしょうか? 勝ち筋を考えているのでしょうか?」というご質問です。
中村:機数が多いほうが優位であると一般的には思われがちですが、基本的にはニーズに基づく必要な撮影ができるのであれば、その範囲内で機数が少ないほうが利益が大きくなります。
Planet Labs社の場合、お客さまがリクエストを出すのではなく、撮り溜めた衛星画像の中から販売するモデルですが、当社の場合はお客さまのニーズに基づき撮影し、画像を提供する仕組みとなっています。
そのため、このようなニーズを満たすために必要な機数を目標として設定しています。
また、ソリューションはこれから注力していく分野ですが、特定のニーズに基づくものとなるため、タスキング、すなわち当社が得意とするお客さまのニーズに基づいて撮影する方式のほうが有利であると考えています。
質疑応答:「AxelLiner Laboratory」の需要・引き合い状況について

司会者:「『AxelLiner Laboratory』を定期便化するほどの需要はあるのでしょうか? 現在のリード案件数や協議段階の状況を教えてほしいです。いつ頃それが感じられるのでしょうか?」というご質問です。
折原:宇宙戦略基金を獲得したコンポーネントメーカーから「宇宙戦略基金に基づくコンポーネントを製造したい」という複数のコンタクトをいただいており、我々もそのような企業に対してコンタクトを開始しています。
また、国内需要だけでなく、海外の展示会などでも引き合いをいただいており、詳細は諸々協議中ではありますが、引き合いは非常に多い状況です。進捗があり次第、速やかに開示します。
質疑応答:定期便化に向けた打上げリスクについて

司会者:「Space Exploration Technologies Corp.(以下、SpaceX社)のライドシェア抑制の方向性が出てきていますが、定期便化のボトルネックになるのではないでしょうか? リスクとしてどのように考えていますか? SpaceX社が確保できない場合は、撤退もあり得るのでしょうか?」というご質問です。
中村:SpaceX社に関する報道は、我々も認識しています。打上げスロットを確保する難易度が近年非常に上がっているのは事実です。
価格面などからSpaceX社が第1候補であることは間違いありませんが、最近では新興ロケット企業が世界中で誕生しており、このような企業とのコミュニケーションを積極的に行っています。
我々としてはSpaceX社のみに依存するのではなく、その時のニーズに応じて最適な打上げ手段を選択できるよう体制を整えていく方針です。
質疑応答:2027年5月期の営業損益予想の考え方について

司会者:「2027年5月期の営業利益予想は、保守的に見ているのでしょうか? 保守的に見込んでいる点があれば、教えてください」というご質問です。
折原:まず、当社にご期待いただき誠にありがとうございます。現在発表している数値が現時点での当社の見立てとなります。
質疑応答:18機増強の目的と投資回収の目算について

司会者:「18機の増強は、防衛省の次期コンステレーションに向けた準備なのでしょうか? 投資回収の目算を教えてください」というご質問です。
折原:次期防衛コンステレーションへの回答は差し控えます。投資回収の目算としては、18機の増強により、防衛省向けに加え、デュアルユース分野や民間・海外の需要をしっかりと取り込んでいく考えです。打上げに要した費用については、衛星の使用開始後に減価償却が発生します。
また、キャッシュアウトの時期は製造のタイミングに関連するため、具体的な開示を差し控えます。
質疑応答:AxelLiner事業の赤字拡大の理由および改善の見通しについて

司会者:「AxelLiner事業の赤字拡大の理由は何でしょうか? 何が起こると赤字が減るのでしょうか?」というご質問です。
折原:AxelLiner事業の赤字拡大の主な理由は、研究開発費の増加です。また、「今後どのように赤字が減っていくか」ということに関しては、AxelLiner事業には「Kプログラム」と「AxelLiner Laboratory」の2つのビジネスラインがあります。
「Kプログラム」は利益率が一定に決まっているため、今後「AxelLiner Laboratory」の案件数をいかに増やすかが非常に重要になります。今後、定期便化に向けて顧客をしっかりと獲得することで、セグメントの粗利は改善していくと考えており、その結果、赤字も減少していく見込みです。
質疑応答:Exolaunch社買収による影響について
司会者:「Exolaunch社が買収されましたが、今後の打上げや業績計画に影響はあるのでしょうか?」というご質問です。
中村:現在、Exolaunch社との関係性に変化は生じておらず、継続して友好的な関係を維持しています。
質疑応答:宇宙戦略基金の売上および補助金収入の計画への反映について

司会者:「宇宙戦略基金の売上および補助金収入は、2027年5月期の計画にどの程度含まれているのでしょうか?」というご質問です。
折原:現在、正式な契約締結には至っていないため、現時点では開示を控えたいと思います。
質疑応答:人工衛星の設備投資規模について

司会者:「今発表している『GRUS-3』および高分解能衛星3機、追加の2機で、合計どれくらいの設備投資が発生する想定でしょうか? この設備投資には何が含まれるのでしょうか?」というご質問です。
折原:まず、「GRUS-3」は約40億円の規模です。高分解能の人工衛星は、最初の3機で約40億円、追加の2機で約35億円となります。これらの費用には、製造費用および打上げ費用がすべて含まれています。
質疑応答:衛星コンステレーション30機分の資金確保について

司会者:「衛星コンステレーション30機分の資金は、いつ、どのような手段で調達するのでしょうか?」というご質問です。
折原:30機分のすべての資金を一度に確保するのではありません。事業から上がる収益や資金の状況を踏まえ、手元資金を確認しながらタイミングを見て対応します。デットとエクイティ双方を適切なタイミングで検討し、柔軟に対応していきたいと考えています。
質疑応答:量産による衛星製造コストの変化について

司会者:「衛星コンステレーション30機で量産が進むと、衛星製造コストは下がっていくのでしょうか?」というご質問です。
折原:30機の量産が進むと、製造コストは下がると見込んでいます。具体的にどのくらい下がるかに関しては、コメントを差し控えます。
質疑応答:「Kプログラム」の衛星間光通信の優位性と事業展開について

司会者:「『Kプログラム』で取り組んでいる衛星間光通信はSpaceX社も展開しています。新規参入した際、優位性はあるのでしょうか? また、日本政府以外に顧客はいるのでしょうか?」というご質問です。
中村:光通信技術を利用したサービスそのものは、当社が提供するわけではありません。「Kプログラム」にも参画しているスカパーJSATとNTTの合弁会社であるSpace Compass社が、サービスプロバイダーとなることを想定して検討を進めています。
したがって、Space Compass社がどのようにビジネスを構築するかに依存しますが、一般論としてお話しすると、SpaceX社の光通信は独自仕様に基づいており、業界標準に準拠したものではありません。
また、最近では、多くの国が独自の国家インフラとしてコンステレーションを整備する傾向が明確になっています。そのため、まず日本政府がインフラ構築にしっかりと投資を行い、それが確立した後にさまざまな民間企業や外国へ事業を展開していくケースが多くなっています。
この点はSpace Compass社と協議を重ね、今後の事業展開を検討していきたいと考えています。
質疑応答:拠点移転後の生産体制について

司会者:「アライアンスパートナーと引っ越しの関係性について教えてください。移転後は設計から製造、検査まで内製化するのでしょうか?」というご質問です。
中村:今回、7機の製造を実現しました。今後も含め、この規模であれば問題なく生産できる体制が整ったと考えています。
しかし、アライアンスパートナーとの協力は引き続き重要と考えており、今後生産台数の増加を見据えて、アライアンスパートナーとの協力を継続しながら、製造体制の効率化と強靱化に取り組みたいと考えています。
質疑応答:海外からのニーズについて
司会者:「海外からのニーズについて教えてください。特に欧州、アジア、米国ではどのようなニーズがあるのでしょうか?」というご質問です。
折原:AxelGlobe事業に関しては、これまでの活動により、かなり大型の案件まで提案できる段階に来ていると考えています。例えば、豪州や欧州では農業系の案件や非常に広域のマッピングなどの案件があります。
今後さらに提案量を増やすこと、そして「GRUS-3」の投入により撮影キャパシティが広がり、より広いエリアを短期間で撮影できるようになることで、提案力が高まると考えています。これらの顧客ニーズをしっかりと今後取り込んでいきたいと思っています。
また、AxelLiner事業に関しては、展示会などで海外のコンポーネントメーカーから「AxelLiner Laboratory」の実証を希望する引き合いをいただいています。今後は打上げをより短期間で実現するなどして、海外のニーズも確実に捉えていきたいと考えています。
質疑応答:AxelLinerの宇宙戦略基金に関する開発費について

司会者:「今期のAxelLiner事業の宇宙戦略基金に関係する開発費はどれくらいを見込んでいますか?」というご質問です。
折原:AxelLiner事業の宇宙戦略基金の開発費に関しては、現在契約の締結が確定していない段階のため、詳細の開示は差し控えます。
質疑応答:5年後の売上高・利益の規模感について

司会者:「5年後の売上高・利益の規模感はどのように考えていますか?」というご質問です。
中村:この場では具体的な数字を示すことは控えますが、現状、確定している安全保障に関連する防衛省向けのコンステレーションに加え、「AxelLiner Laboratory」やAxelGlobe事業の海外案件が非常に伸びています。これらをもとに、力強い成長を実現していきたいと考えています。
質疑応答:変更後のセグメント別損益の見方と注視すべき事業指標について

司会者:「変更後のセグメント別損益に関する見方や、各事業の実力や収益性を判断する上で、投資家が注視すべき指標は何でしょうか?」というご質問です。
折原:まず、セグメント別損益の見方についてです。先ほど説明したとおり、従来はAxelGlobe事業向け自社衛星についてAxelLiner事業のセグメントに計上していましたが、実態に即してAxelGlobe事業に計上するよう変更しました。
これにより、自社衛星向けの費用がAxelGlobe事業側に計上されるかたちとなり、実態をより反映した内容になったと考えています。
次に指標についてです。AxelGlobe事業は、これまでお話ししたとおり、固定費ベースの事業となっています。そのため、今後の売上成長が非常に重要な項目となります。
防衛案件はなかなか開示できない指標が多い状況ですが、非防衛領域では、今期は海外事業拡大に向けた準備が重要だと考えています。これらの進捗や海外案件の確保を注視していただければと思います。
AxelLiner事業においては、「AxelLiner Laboratory」の顧客獲得が非常に重要となっています。そのため、今後のプロジェクト数に注目していただければと考えています。
質疑応答:防衛コンステレーションの納入状況について

司会者:「防衛コンステレーション案件では、要求どおりの納入が行われ、説明資料に記載された売上計上も計画どおりに進んでいるのでしょうか? また、ペナルティはあったのでしょうか? 今後の納入見通しについて教えてください」というご質問です。
折原:ペナルティなどについては契約の詳細に関わるため、回答は差し控えますが、当社の想定に対してほぼ計画どおりに進捗している状況です。
