2026年9月4日に発表された、株式会社エイチームホールディングス2026年7月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
ハイライト
林高生氏:代表取締役社長の林です。エイチームホールディングスのFY2026通期決算説明会をご覧いただき、ありがとうございます。
スライドに示されているのが本日のハイライトとなっています。こちらについては、この後、詳しくご説明します。
目次

本日ご説明する項目です。
FY2026 通期決算サマリー 主要な業績評価指標(2025.8 – 2026.7)

通期の連結決算概要です。売上高は229億9,700万円で、前期比96.2パーセント、予想比93.9パーセントとなりました。調整後EBITDAは11億円で、前期比64.0パーセント、予想比73.4パーセントです。
経常利益は5億8,400万円で、前期比36.8パーセント、予想比64.9パーセント、当期純利益は3億5,900万円で、前期比34.7パーセント、予想比60.0パーセントとなっています。
こちらに関しては、前期比で減収減益となりました。中期経営計画の達成に向けて各種取組を推進するものの、暗号資産の価格変動の影響を大きく受けた結果、経常利益が大幅に減少しています。
連結業績予想に対する実績

こちらのスライドは、連結業績予想に対する実績を示したグラフです。
前期比での実績

こちらのスライドは、前期比での実績を示しています。
(参考)暗号資産の価格変動が各業績評価指標に与える影響(1/2)

経常利益が大幅に減少した要因としては、暗号資産の価格変動に伴う影響によるものです。スライドに記載のとおり、主要な暗号資産であるビットコインの価格が1年間で約1,700万円から約900万円へと大幅に下落したことが挙げられます。
この結果、販売促進引当金の戻入に伴い営業利益を引き上げられます。一方で、暗号資産の下落に伴い暗号資産評価損が営業外費用に計上されるため、経常利益を押し下げる要因となっています。このように、暗号資産の影響を大きく受けた結果になっています。
(参考)暗号資産の価格変動が各業績評価指標に与える影響(2/2)

従前よりご説明させていただいていますが、暗号資産の市場価格が業績に与える影響についてです。暗号資産の価格が上昇した場合、販売促進引当金繰入額が増加するため費用が増加し、営業利益が減少します。一方で、暗号資産評価益の計上により経常利益は増加します。暗号資産の価格が下落した場合は、その反対で、今回のように営業利益は増えますが、経常利益を押し下げる要因になります。
FY2026 セグメント別 通期決算サマリー(2025.8 – 2026.7)

セグメント別の業績についてです。デジタルマーケティング事業についてはD2C事業が下支えしたものの、売上高および利益は前期比で減収減益となりました。M&Aで取得した企業が収益に貢献した一方、株式譲渡や利益確保のための広告費抑制により、売上高が減少しています。
また、一部のメディアにおける集客競争の激化や、当社が非注力とした領域の影響もあり、それに伴い売上高と利益が減少しました。
エンターテインメントにおいては昨期と大きな変化はありませんが、引き続き既存タイトルのダウントレンドによりYonYで減収傾向であるものの、ゲームアプリの運営効率化によって収益を確保しています。
FY2026 Q4 決算サマリー 主要な業績評価指標(2026.5 – 2026.7)

第4四半期の決算サマリーです。売上高は57億5,400万円で、前年同期比96.7パーセント、前四半期比97.1パーセントとなりました。調整後EBITDAは3億2,200万円で、前年同期比105.2パーセント、前四半期比122.8パーセントです。
経常利益は1億9,900万円で、前年同期比54.2パーセント、前四半期比116.4パーセント、四半期純利益は1,600万円で、前年同期比66.8パーセント、前四半期比14.5パーセントとなっています。
売上高は、当社が非注力とした一部のメディア、および競合他社の出稿強化に伴い、当社が広告出稿を抑制した結果、減少しました。一方で、調整後EBITDAは増益となっています。
FY2026 Q4 会計期間決算サマリー セグメント別(2026.5 – 2026.7)

セグメント別の状況は、スライドのとおりです。デジタルマーケティング事業の売上高は46億9,900万円、調整後EBITDAは4億6,000万円です。一方、エンターテインメント事業の売上高は10億5,400万円、調整後EBITDAは6,800万円となっています。
デジタルマーケティング事業:四半期業績の推移

デジタルマーケティング事業の四半期ごとの業績推移についてですが、前年同期比および前四半期比ともに減収増益となっています。D2C事業の好調が調整後EBITDAを下支えしています。
また、M&Aによりグループ入りしたmicroCMS社の売上が貢献しており、microCMS社も前年同期比で順調に成長しています。
エンターテインメント事業:四半期業績の推移

エンターテインメント事業については、既存タイトルの効率的な運用や利益創出施策に加え、協業案件により黒字を維持しており、大きな動きはありません。
エンターテインメント事業:協業比率及び海外売上の四半期推移

エンターテインメント事業の協業比率は現在22.6パーセントです。自社タイトルの海外売上比率は約40パーセントで推移しています。
連結四半期業績の推移

連結四半期業績の推移については、こちらのスライドに記載のとおりです。
中期経営計画(FY2025-FY2028)

中期経営計画の振り返りおよび今後の取組についてお話しします。スライドに示しているとおり、私たちがFY2028に向けて掲げている中期経営計画では、売上高340億円、調整後EBITDAが40億円、営業利益20億円、総還元性向平均100パーセント以上という目標を掲げています。
中期経営計画で取り組む3つのテーマ

その中で取り組む3つのテーマについてもご説明します。
成長性の向上に向けた各取組内容

1つ目のテーマは、「成長性の向上に向けた成長戦略の遂行」です。こちらはM&Aに関する成長戦略です。振り返ると、これまでに接触した企業数は293社となり、その結果、5社のM&Aを実行し、総額33億円を投資しました。
また、M&A実行体制の変更も行っています。資金調達としては、10億円の借入を実施しました。PMIの方針として、各社の自立性を尊重する「合衆国化」をテーマに掲げ、PMIを実施しています。
M&Aの推進_中期経営計画におけるM&Aの目標及び実績

中期経営計画におけるM&Aの実績と今後の目標です。5社のM&Aを実行し、33億円を投資しています。中期経営期間中の4年間で100億円のM&A投資を計画していますので、今後の2年間で残り67億円のM&Aを実行する計画です。
今後の方針としては、「エイチームらしさ」を発揮できるビジネスの成長を加速させられる事業の取得を目指していきます。
M&Aの推進_M&Aの実績

こちらのスライドには、これまでに当社にジョインしていただいた5社が記載されています。microCMS社はヘッドレスCMS(ホームページの管理画面を提供するサービス)を提供しています。
Paddle社は、歩くと暗号資産と交換可能なポイントが貯まるポイ活アプリを提供しています。WCA社は、Webマーケティング支援事業を行っています。ストレイナー社は、経済メディア「Strainer」を運営しています。シグニティ社は、Webプッシュ通知配信サービス「PUSH ONE」を提供している会社です。
M&Aの推進_M&Aのソーシングの進捗

累計で293社と接触し、トップ面談数が71社、SPA/実行が5社となっており、増加率として順調に推移しています。
M&A実行体制_M&A実行体制の強化について

そして先述のとおりですが、M&Aの実行体制の変更を行っています。
以前設置していた経営戦略室を2026年5月に再編し、M&A推進室を設置しています。また、M&Aの実行体制とガバナンスの強化に向けて、投資委員会を設置しており、M&A投資の妥当性を監督・評価します。このように、M&Aを推進する「M&A推進室」と、投資規律を踏まえた意思決定を監督・評価する「投資委員会」、この2つの機関によってM&Aの実行体制を強化します。
PMI_M&Aを実行した5社のセグメントの売上高構成比

PMIの進捗状況です。これまでの5社のM&Aにより、現在のデジタルマーケティング事業の売上高のうち、約10パーセントがジョイン企業の売上高で構成されています。
スライドに記載のとおり、microCMS社およびPaddle社が好調に推移しています。
PMI_microCMSのビジネス概況

microCMS社は、スライドのグラフに記載のとおり順調に成長していますが、スライド左側に記載されている4つのポイントが重要だと考えています。
1つ目は、これまでインバウンド型の受注が主流でしたが、ビジネスチームを新設し、攻めのアプローチにシフトしたことです。
2つ目は、当社が運営するエンジニアコミュニティサイト「Qiita(キータ)」でのプロモーションを強化していることです。
3つ目は、新たに加入したシグニティ社のプッシュ通知サービス「PUSH ONE」との連携を開始したことです。microCMS社の機能のラインナップの1つとして、プッシュ通知機能をオプションで提供する施策を実施しています。
4つ目は、マーケティングパートナーとして、microCMS社の代理店網を構築し、現在では提携社数が100社に達していることです。これらが寄与した結果、順調に成長し、このような実績となっています。
PMI_Paddleのビジネス概況

Paddle社についても順調に成長していますが、ポイントはスライド左側に記載された4つの取組および実績です。1つ目が、日本国内の暗号資産アプリとして3位という実績です。2つ目が、グローバル展開です。そして3つ目、新しい暗号資産アプリを出しています。最後に、アフィリエイト施策の強化、暗号資産取引所とのリレーションを強化した結果、このような結果となっています。
リスク・ボラティリティ低減に向けた取組

続いて、中期経営計画の2つ目のテーマである「リスク・ボラティリティの低減に向けた取組」についてです。大きくは、「事業ポートフォリオ管理」と「既存事業の運営方針」の2つが該当します。
事業ポートフォリオ管理に関してですが、当社で決めた収益性と成長性の指標に基づいて経営管理を実行し、必要に応じて既存サービスの売却も検討しています。また、実際に、「ナビナビ保険」「ライフドット」、この2つのサービスの売却を実行しました。
既存事業の運営方針について、エンターテインメント事業はリスク・ボラティリティが大きい事業領域であるため、低リスク・ミドルリターンの協業型へシフトしています。
既存事業の強化に関して、自動車の買取査定・車買取サイト「ナビクル」に新サービスを追加し、「ナビクルアシスト」をリリースしました。引越し比較・予約サイト「引越し侍」についても、「引越し侍 スマート比較」をリリースしています。
従来は、「ナビクル」であれば車買取会社、「引越し侍」であれば引っ越し会社といった事業者さまの約10社から、利用者の方にお電話がかかっていた状況でした。新サービスのリリースにより「ナビクルアシスト」では1社のみから、「引越し侍 スマート比較」では3社からしか電話がかかってこないという新たなサービスを展開しています。
D2C事業に関しては、継続購入と定期購入を主軸としたビジネスモデルとして、全社の利益を圧迫しない範囲で広告投資をコントロールしながら、新たな顧客の獲得を目指す方針を実行しています。そのため、D2C事業においてもリスク・ボラティリティを低減した運営を実現しています。これらがリスク・ボラティリティの低減に向けた取組です。
中期経営計画(FY2025-FY2028)期間中の株主還元の方針

中期経営計画の3つ目の取組テーマである「株主還元の強化」についてです。中期経営計画では、株主還元総額を40億円から50億円、総還元性向平均100パーセントとしています。FY2025からFY2026の2年間で約24億円の株主還元を実施しています。
スライド内のグラフにおいて、赤い棒グラフ部分が、これまでに実施した配当総額です(中期経営計画期間中の累進配当によってFY2027・FY2028は配当額の維持を想定)。FY2025の配当実績は4億1,000万円、FY2026については、年間配当を1株当たり22円(FY2025実績)から28円(FY2026実績)と増配しているため、配当総額は5億2,200万円となっています。FY2025のグレー部分の14億7,200万円については自社株買いによるものです。
これらを合算して、約24億円を株主還元に実施したという結果になります。引き続き、自社株買い、そして中期経営計画で掲げる累進配当のもと、配当の維持および増配などを検討していきたいと思います。
中期経営計画の達成に向けた今後の取組内容

中期経営計画の達成に向けた今後の取組は、積極的なM&Aの推進、既存事業において「稼ぐ力」を高めること、この2つです。M&Aについては、次のスライドでご説明します。既存事業の「稼ぐ力」を高めるというお話は、先ほどご紹介した新サービスで拡大していこうと考えています。
M&Aを主軸とした今後の方向性

「積極的なM&Aの推進」については、創造性×技術力を駆使し、「エイチームらしさ」を発揮できるビジネスで戦います。今後は、プロダクトに独自の強みを持つビジネスを展開している企業と共に成長していこうと考えています。
私たちの「エイチームらしさ」とは、創業以来、基本的には創造性、すなわちアイデアと高い技術力を活用することです。そして、事業ポリシーである「継続顧客はいるのか?」「ビジネスは高い独立性を有しているのか?」「市場での優位性はあるのか?」といった成長ビジネスの3大条件を持つ企業と共に成長していきたいと考えています。
さらに、エイチームの文化に似ている企業であれば、なお良いと思います。すでにジョインしていただいた5社は、実際にこのような条件を満たしていると考えています。
中期経営計画で掲げる調整後EBITDA40億円の達成に向けて

中期経営計画では、FY2028までに調整後EBITDAの40億円達成を目指します。こちらのスライドにはその内訳を示しています。
FY2026の実績11億円に対し、先ほどお話しした新しいサービスの展開や既存事業のさらなる成長によって、20億円から25億円を計画しています。
また、新たにM&Aによって得られる調整後EBITDAは、5億円から10億円を想定しています。このため、M&A投資総額100億円のうちすでに33億円を投じており、67億円が残っています。これらを活用し、スライド記載のような結果を出していく計画です。その結果として、調整後EBITDAは40億円を見込んでいます。
中期経営計画の達成に向けた4つの戦略転換

中期経営計画の達成に向けた4つの戦略転換の取組については、昨期から大きな変更はありませんが、従来のBtoBtoC領域から、よりBtoBの領域へと拡大しています。
実際の取組例としては、広告代理店業務や新たな集客チャネルの提案を進めています。また、M&Aを中心とした成長戦略や財務戦略も推進しています。
その結果として、スライド右側に記載のとおり、PERの成長およびWACCの低減に取り組んでいく方針です。
FY2027 連結業績予想(主な業績管理指標)

株主還元および業績・配当予想についてご説明します。FY2027の業績予想は、売上高240億円、各領域別では、デジタルマーケティング事業が202億円で、エンターテインメント事業は38億円を見込んでいます。
また、調整後EBITDAは12億円、EBITDAは11億円、営業利益は6億円、経常利益は6億円、親会社株主に帰属する当期純利益は3億円と予想しています。
FY2027 連結業績予想の考え方

連結業績予想の考え方についてです。暗号資産の価格が今後どのように推移するかは予測が難しいため、経常利益などに関してはFY2026期末の価格から変動しないと仮定して業績を予想しています。
FY2027 配当予想

配当については、引き続き1株当たり28円の年間配当を、中間・期末の2回に分けて実施する予定です。配当性向は173.5パーセントを見込んでいます。
株主優待制度

株主優待については、当社株式を5単元以上保有する株主さまに「QUOカード」を年間で2万円分、中間と期末に各1万円分ずつ進呈することを決定しています。
今後に向けて

FY2027は、M&Aを積極的に進めるとともに、新サービスや既存事業の成長を図り、「稼ぐ力」を高めて、中期経営計画の達成に向けた階段を着実に上る1年としたいと考えています。
私からのご説明は以上です。
質疑応答(エイチームホールディングス作成)
決算説明会後の質疑応答はありませんでした。こちらに掲載の質疑応答は、事前にエイチームホールディングスが用意した想定の質疑応答について記載します。
<質問1>
Q:2026年7月期の業績予想に対して、実績が下回った理由について教えてください。
A:売上高・調整後EBITDAについては、主にデジタルマーケティング事業の一部既存メディア事業が、外部環境の影響により当初の想定から乖離したため、想定を下回りました。
また、経常利益・当期純利益については、業績予想の作成時の基準である2025年7月末の暗号資産の価格から、2026年7月末にかけて暗号資産価格が下落したことにより、暗号資産評価損を計上したため、先ほど述べた一部既存メディア事業の乖離と合わせて、それぞれが当初の想定を下回る結果となりました。
<質問2>
Q:2027年7月期(今期)の業績予想の考え方について教えてください。
A:2027年7月期の業績予想に関しては、引き続き、積極的なM&Aの遂行と既存事業の収益改善を並行して実施することで達成を目指したいと考えています。業績予想の具体的な考え方として、主に4つのポイントがあります。
1つ目のポイントです。まず、主要な既存メディアについては、第3四半期が繫忙期であることに加え、中期経営計画の達成に向けた既存事業の成長を第3四半期以降に見込むため、下期偏重の計画となっています。
2つ目のポイントです。既存事業においては、業務の効率化・生産性の向上を図るとともに、広告宣伝費等の投資の最適化を図りながら収益改善に取り組んでいきます。
3つ目のポイントです。M&Aについては、中期経営計画(FY2025-FY2028)の残り2年間で約67億円のM&A投資を予定しています。一方で、業績への影響の予測は困難であることから、2027年7月期の業績予想には織り込んでいません。
4つ目のポイントです。今後の暗号資産の価格変動予測は困難であるため、2026年7月末時点から暗号資産価格は変動しないものと仮定して業績予想を作成していますので、販売促進引当金繰入額および暗号資産評価損益も業績予想には織り込んでいません。
<質問3>
Q:中期経営計画に対して、2027年7月期は3年目となりますが、今後はどのように達成を目指すのか教えてください。
A:中期経営計画の達成に向けて、積極的なM&Aを実行するとともに、既存事業においてはマーケティング強化や機能改善による利益水準向上施策を推進し、「稼ぐ力」を高めていきます。具体的には、既存事業で20億円から25億円、M&Aで5億円から10億円の業績成長を計画しています。
