■インテリックスホールディングス<463A>の事業概要と市場動向
(2) ソリューション事業分野
ソリューション事業分野には、インテリックス及び(株)インテリックスプロパティによるその他の収益不動産(一棟、土地等)の開発・販売・賃貸・管理・仲介事業やリースバック事業、アセットシェアリング事業、ホテル事業のほか、(株)再生住宅パートナーによる不動産パートナー共同事業が含まれる。
a) 不動産パートナー共同事業
不動産パートナー共同事業とは、良い物件情報があるのに資金不足や資金調達ノウハウがなく買取ができないといった課題を抱えるパートナー企業に対して、必要資金あるいはノウハウを提供するなど共同で事業を進める買取再販・収益物件共同事業のことで、販売により得た利益についてはパートナー企業とシェアする格好となる。
b) リースバック事業
リースバック事業とは、ユーザーが所有する不動産物件(住宅、自宅兼店舗、一棟ビル等)を同社が買い取ると同時に、定期建物賃貸借契約(2年間)を新たに結び、そのまま賃貸(リース)するサービスである。契約期間を迎えると、ユーザーは再契約して居住を延長するか退出するか選択可能となっている。相続税資金や老後の資金、ローン返済資金などまとまった資金が必要となった際に、所有不動産を売却しても住み続けられるといった利点があり、市場も年々拡大している。
売上高として、物件取得の際の契約手数料や毎月得られる賃料収入のほか、物件を売却した際の販売収入が計上されるため、ストック収益とフロー収益を組み合わせたハイブリッド型のビジネスモデルとなる。費用には、物件取得時の取得税や登記費用のほか減価償却費を計上するため、物件取得から一定期間は費用が先行するが、物件売却時には減価償却が進んでいるため利益率が高くなる。売却については戸別で対応するケースもあるが、複数の物件をまとめて信託受益権化し不動産ファンドに譲渡することで事業効率を高めている。参入企業が多いなか、同社は大手不動産会社(センチュリー21・ジャパン<8898>等)や大手電鉄系不動産仲介会社と連携し、仕入・販売ルートを拡充しながら事業を拡大する戦略をとっている。
c) アセットシェアリング事業
アセットシェアリング事業とは、不動産特定共同事業法(通称:不特法)のうち「任意組合型」の活用による不動産小口化商品の販売事業を指す。同商品の特長としては、新築・中古を問わず良質な不動産物件を複数の投資家で1口100万円単位で取得できること、共同所有することで空室・滞納リスクを分散し安定収益が期待できること、相続・贈与用資産として資産評価を大幅に圧縮できることなどが挙げられる。ただし、税制改正により2027年1月以降に相続等により取得する不動産小口化商品の評価方法が従来の評価方法(土地:路線価評価額、建物:固定資産税評価額)から「通常の取引価額」に変更されることで、節税効果が縮小する公算が大きくなったため、同社では2026年5月期下期以降の商品化を一旦、見送ることを決定した。
d) ホテル事業
ホテル事業では、現在「montan博多」(福岡県)と「LANDABOUT東京」(東京都)の2つのホテルを運営している。訪日外国人客が宿泊者数の7~9割を占めており、円安を追い風としたインバウンド需要の拡大により、稼働率は90%弱と高水準を維持し、平均宿泊単価も上昇基調が続いている。
マンション市場はリノベーションマンションが主流の時代に突入
2. 中古マンション市場の動向と中長期の見通し
2025年の首都圏におけるマンションの市場動向について見ると、中古マンションの成約件数が前年比31.9%増の49,114件と大きく伸長した一方で、新築マンションの供給戸数は同4.5%減の21,962戸と4年連続で減少した。中古マンションの成約件数が10年連続で新築マンション供給戸数を上回ったことになり、その差も大きく開いた。新築マンションは建築コスト上昇の影響で供給数の減少と販売価格の上昇が続き、割安感のある中古マンションへの需要シフトが一段と進む格好となった。
2026年の新築マンション発売戸数は約2.3万戸と前期比で若干増が見込まれているが、販売価格差からリノベーションマンションを中心とした中古マンションの需要は引き続き堅調に推移するものと予想される。2026年1~6月の平均販売価格は新築マンションで10,135万円、中古マンションで5,351万円とそれぞれ上昇傾向が続いているが、価格差はさらに拡大している。中古マンションの1〜6月の成約件数は前年同期比0.2%減の24,438件とほぼ横ばい水準で推移している。都心エリアの高価格帯物件が調整局面に入っているものの、周辺エリアにおけるファミリー層をターゲットとした物件については引き続き堅調に推移している状況にある。今後については、金利や販売価格の動向によって、需要面に影響を及ぼす可能性もあるため、注意して見ておく必要がある。
中長期的な視点でも、中古マンション市場は安定成長が予想される。2026年3月に国土交通省が発表した今後10年の住宅政策の指針となる「住生活基本計画(全国計画)」では、市場機能の進化を通じて住宅ストックの価値を最大限に活用していく方向性が示されており、中古マンションもリノベーションによって再生・利活用が一段と進むと見られるためだ。国土交通省のデータを基に同社が試算したリノベーションが必要とされる築20年以上のストック数が、2024年の484.8万戸から2041年には693.8万戸に拡大すると見られる。2022年にマンション建替円滑化法が改正され、一棟建て替えに必要となる要件が緩和※されたことで、老朽化マンションの一棟建て替えが増加する可能性はあるものの、中古マンション市場は今後も戸別でリノベーションを行い、販売する形態が主流になっていくものと考えられ、リノヴェックスマンション事業を中心に展開する同社の成長余地も大きいと弊社では見ている。
※ 従来は建替え要件として、所有者全員の5分の4以上の賛成が必要だったが、改正法では所在不明者を除く4分の3以上の賛成で可能となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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