2026年8月7日に発表された、静岡ガス株式会社2026年12月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
第2四半期決算のポイント
松本尚武氏:静岡ガス株式会社、代表取締役社長執行役員の松本です。2026年12月期第2四半期決算についてご説明します。
都市ガスの販売量は、前期比プラス7百万立方メートルの8億5百万立方メートルとなりました。売上高は前期比マイナス5億円の1,030億円です。
補正後の経常利益は、前期比プラス43億円の131億円です。これに補正項目として、スライドタイムラグと匿名組合投資分の為替差損益を加えた補正前経常利益(会計上の連結経常利益)は、前期比プラス5億円の98億円となりました。
補正前の連結当期純利益は、前期比マイナス1億円の65億円でした。
年間の配当金は、期初に予定していた44円から1円増配し、45円としました。これを踏まえたDOEは2.63パーセント、配当性向は37.2パーセントと予想しています。
販売量・使用中戸数

販売量・使用中戸数についてです。
都市ガスの販売量は、直売の小口が前期比で減少しました。その理由としては、2025年が厳冬であったのに対し、2026年は暖冬であったため、暖房や給湯などの需要が減少したことが挙げられます。一方で、直売の大口および卸売は前年を上回り、全体として販売量はプラスとなりました。
LPGの使用中戸数は、前期比プラス2千戸の8万5千戸となりました。これは小規模販売店のM&Aによるものです。
電力については、販売量が前期比プラス41百万キロワットアワーと大幅に増加しました。これは、電力の直売における使用中戸数の増加が販売量の伸びに寄与したこと、さらに卸売では、JEPXのスポット価格が比較的高い状態で推移したため、市場取引で利益を積み上げることができたことが要因です。
経常利益の分析(対2025年2Q実績)

経常利益の前期比分析です。
原料価格その他でプラス43億円となりました。これについては、主に2つの理由があると考えています。
1つ目は、2026年上期のLNG調達に適用する原油価格の影響です。LNGの価格は、多くの場合、原油価格にリンクしています。この参照している原油価格が、前年と比較して2026年は10ドル/バレルほど低下したことにより、私たちのCIF差が改善したことが挙げられます。
2つ目は、2025年下期にメイクアップカーゴの半カーゴ分を受け入れましたが、2026年上期には残りの半カーゴを受け入れたことです。なお、中東紛争の影響でスポットマーケット価格が大きく上昇していますが、CIFにおける影響は2026年下期から生じると考えています。
為替差損益(匿名組合投資以外)については、昨年、北米のシェールガス開発事業への投資の際、為替予約時のレートと支払日のレートに乖離が生じ、為替差損を計上しました。2026年はこの為替差損がないため、プラス5億円となっています。
関係会社その他では、電力・再生可能エネルギー事業、北米シェールガス開発事業、さらにハウジング事業といった新しい領域への取り組みの結果、5億円の利益貢献となりました。
都市ガス販売量については、販売量全体は前期比を上回ったものの、比較的利益率が高いセグメントである直売小口の販売量が前期比でマイナスとなったため、粗利が減少してマイナス5億円となりました。
販管費・製造費その他でのマイナス6億円については、大きく2つの要因があります。1つ目はベースアップによる人件費の増加、2つ目は新たな事業投資やM&Aに伴うデューデリジェンス費用の追加計上によるものです。
キャッシュアロケーション(2026年2Q実績)

2026年上期のキャッシュアロケーションについてです。
キャッシュアウトについては、レジリエンス投資等に30億円、成長投資に50億円、借入金返済に10億円、株主還元に20億円と、合計120億円を支出しました。
これに対するキャッシュインは、営業キャッシュフローおよび手元現預金の取り崩しによって調達しています。
なお、2026年2月に発表したMidOcean Energyへの出資1億ドル(約160億円)のうち、100億円は2026年7月に支払いが完了しており、残る60億円についても年内に支払いが完了する見通しです。
年間見通し

通期見通しについてです。
第2四半期決算においては、通期見通しを年初計画から変更しないこととしました。
当社の収支に大きく影響を与える原油価格について、先日サウジアラビアが公表した7月積み「アラビアンライト」の価格は、86ドル/バレルと発表されています。
油種間のスプレッドの影響で予測が難しいものの、アラビアンライトが86ドル/バレルの場合、JCCは95ドル/バレル程度となると見込んでいます。この水準であれば、2026年の着地は年初計画に掲げる補正前経常利益の水準に落ち着くのではないかと考えています。
一方で、補正後経常利益については大きく上振れる見通しです。
株主還元

株主還元についてです。
配当方針は従来から変更しておらず、累進的配当や業績、株主資本配当率などを総合的に判断し、配当性向の目標水準を30パーセントとしています。
中間配当は22円としています。
期末配当については、期初に公表していた配当予想の22円に1円を積み増し、23円とする予定です。通期では45円となり、前期比で2円の増配となる見通しです。
今回、中間配当のタイミングで1円の増配を決定した理由は、大きく2つあります。
1つ目は、中東紛争の影響を除けば、投資や計画の進捗が比較的順調に進んでいることが挙げられます。
2つ目は、今期の着地見通しについてです。補正前経常利益は年初に公表した計画水準となり、補正後経常利益は大きく上振れる見通しですが、この補正後経常利益の上振れが、来期の補正前経常利益の上振れにつながると考えています。この上振れ分の一部について、2026年のうちに前倒しして株主さまに還元しようと考えたためです。
静岡ガスグループの成長ストーリー

2026年上期における中期経営計画の取り組み状況についてご説明します。
こちらのスライドでは「静岡ガスグループの成長ストーリー」についてご説明します。
私たちの祖業は都市ガス・LPG事業です。1990年代にLNG受入ターミナルの運転を開始し、地域内のエネルギー多消費型産業のお客さまを開拓してきました。さらに、小売に加えて卸売を拡大することで販売量を伸ばしてきました。
この過程で、エンジニアリングサービスやくらしサービスを展開し、ノウハウを蓄積するとともに、そのノウハウや強みを活用し、2010年代半ばからは電力・再生可能エネルギー事業、さらに海外事業へ進出しています。
領域を拡大できた理由として、私たちの強みである「実需を起点としたバリューチェーン」を有していることが挙げられます。この強みにより、安定したキャッシュインと盤石な財務基盤を実現できており、中堅規模の事業者でありながら、海外事業や電力・再生可能エネルギー事業などの成長領域への大型投資、さらにはLNGのアセットトレーディングを可能にしていると考えています。
この強みを活かした、今後の成長の方向性としては、2つあります。
1つ目は、バリューチェーンの上流・下流について国内外を含めて拡大し、その価値を最適化することです。2つ目は、実需を基盤として、くらしサービスやエンジニアリングサービスを拡大することです。
都市ガス事業

都市ガス事業における上期のトピックスです。
今年5月に東京ガスと、7月にはPETRONAS LNGと、それぞれSPA(LNGの売買契約)を締結しました。いずれも、売主としての信頼性や信用、今回のSPAにおける価格や柔軟性といった契約条件を総合的に判断し、この2社を選定しました。
東京ガスおよびPETRONAS LNGの両社は、私たちがLNGの受け入れを開始した当初から深い関係を築いてきたパートナーです。
東京ガスには、LNG受け入れターミナルの建設やLNG売買契約の締結、需要の開拓など、多岐にわたる分野で継続的にご支援いただいています。
PETRONAS LNGについては、1996年に私たちに最初のLNGを供給した会社、いわゆるファースト・カーゴを提供していただいた売主です。
今後も引き続き、この2社と強いパートナーシップを維持・発展できるものと考えています。
電力・再エネ事業

電力・再生可能エネルギー事業における上期のトピックスです。
2024年に投資を意思決定しました、特別高圧系統用蓄電池について、こちらは経済産業省の補助金を活用しており、すでに今年6月に蓄電池のコンテナ搬入が完了しています。来年4月頃には運転を開始する予定です。
また、高圧系統用蓄電池についても、投資の実施を意思決定しました。高圧系統用蓄電池は比較的規模が小さく、特高系統用蓄電池と比べて事業性が低い傾向にありますが、リードタイムが非常に短いという利点があります。
特高系統用蓄電池については現状、系統アクセスに大きな課題があり、場合によってはリードタイムに10年近くかかるケースもあります。一方、高圧系統用蓄電池であれば、リードタイムがおおむね2年ほどで系統接続が可能であり、早期に導入することで、先行者利益を享受できるというメリットがあります。
今後も、自社で所有している太陽光発電設備などに併設するかたちで、複数サイトでの投資・導入を進めていきたいと考えています。
くらしサービス事業

くらしサービス事業のハウジング分野における上期のトピックスです。
今年2月に、共同開発と共和不動産という不動産会社がグループに加入しました。共同開発は静岡県東部、共和不動産は静岡県西部を拠点とする不動産会社です。どちらの企業も事業承継問題の解決を理由に、今回のM&Aにつながりました。
先方による譲渡先の選定にあたっては、価格はもちろん重要でしたが、それ以上に静岡ガスグループの企業理念やカルチャー、信頼感といった点を高く評価いただき、当社を譲渡先として選定いただきました。
今回、新たに不動産会社がグループに加わったことで、ハウジング事業をより面的に強化できると期待しています。
エンジニアリングサービス事業

エンジニアリングサービス事業における上期のトピックスです。
エンジニアリングサービスにおいても、新たに2社が当社グループに加わりました。1社目は再生可能エネルギーの開発を行っているスマートブルー、2社目は電気工事会社である暁電工です。
スマートブルーについては、もともと持分法適用会社でしたが、今回シナジーをさらに追求するため、連結子会社としました。暁電工については、事業承継問題の解決を理由に、今回のM&Aにつながったかたちです。
エンジニアリングサービスにおけるM&Aに関しては、単に商圏や顧客の獲得だけでなく、調達が難しいエンジニアの確保にも非常に有用だと考えています。
今後も引き続き、M&Aによるエンジニアの調達を含め、トータルエンジニアリング体制の構築を進めていきます。
海外事業

海外事業における上期のトピックスです。
今年2月、MidOcean Energyへの出資参画と戦略的パートナーシップの構築を発表しました。MidOcean Energyは、グローバルで天然ガスの上流開発やLNGの液化の権益でポートフォリオを有し、それを活用したLNGトレーディングを行う会社です。
今回、彼らと戦略的パートナーシップを結ぶことで、私たちの強みである天然ガスのバリューチェーンをさらに上流まで拡大することが可能となり、その価値を最適化・最大化できるものと期待しています。
なお、MidOcean Energyについては、私たちが出資参画を決定した頃に、大手ユーティリティ会社や大手海運会社がそれぞれ出資を決定しました。こうした点からもMidOcean Energyという会社への期待が非常に高いことがおわかりいただけるかと思います。
人的資本経営

人的資本経営における上期のトピックスについて、採用に関してご説明します。
当社においては、かつてはキャリア採用をほとんど行っていませんでしたが、近年、キャリア採用の比率が非常に増加しています。2025年では、新卒採用が45名に対してキャリア採用が67名、2026年では、新卒採用が39名に対してキャリア採用が78名と、新卒採用を上回る結果となっています。
また、これらの数字には含まれていませんが、M&Aによる会社取得に伴う社員の獲得もあり、キャリア採用者の数はさらに多いと考えられます。
これまでの都市ガス事業への一点集中からインオーガニックに成長するためには、社内の人材だけでは不十分であると考えています。そのため、今後も積極的にキャリア採用を通じて必要な人材を調達していきたいと考えています。
組織開発

組織開発についてです。
3年前の社長就任以来注力している組織開発は、「多様性を持つボトムアップ型組織の構築」に向け、引き続き積極的に行っています。
多様性の観点における上期のトピックスとして、今年からシンガポールとインドの現地子会社において、外国籍の高度プロフェッショナル人材の雇用を開始しました。
外国籍の高度プロフェッショナル人材の雇用を契機として、現地法人内では、それまで日本人だけで日本語によるやり取りをしていた環境が、「オールイングリッシュ」の環境に変わりました。また、以前は比較的静かだった事務所が、常にディスカッションの声が聞こえるような活発な雰囲気に変わりました。これもまた、組織開発の一環と考えています。
地域貢献

地域貢献における上期のトピックスについてです。
今年からの新たな取り組みとして、「『こどもの居場所』応援活動」を開始しました。
この活動は、こどもたちが安心して過ごし、学びや成長につながる機会を提供することで、その健やかな成長を地域とともに支えるものです。
具体的には、こども食堂への寄付、レシピ提供、夏休みイベントへの招待、当社のショールームを「居場所」として開放するなどの取り組みです。また、社員がボランティアとして勉強を教えたり、遊びを指導したりする活動も行っています。
こうした取り組みを通じて、今後も地域づくりをさらに推進していきたいと考えています。
以上で、私からのご説明を終わります。どうもありがとうございました。
〈参考〉静岡ガスの株主優待制度について

当社は2021年より株主優待制度を導入しています。株主さまには安心して長く株式を保有いただきたいという思いから、株数と期間に応じて、株主優待ポイントを進呈するポイント制としています。
株主優待ポイントは、静岡県の特産品・名産品や、当社ポイントサービス「エネリアmottoポイント」との交換、商品に代えて公益法人等への寄付など、お好きなものをお選びいただけます。
