あちこちで「年金訴訟」が行われている
確かに「我々も保険料を支払っているのだから、受け取る権利がある」とか、「逃げ切り世代だけが得をしてズルい」と言いたい気持ちもわかります。
実は今、日本のあちこちで「年金訴訟」が起こされているのをご存じでしょうか? 昭和の勝ちパターンに乗ってきたはずの、現在のリタイヤ組の方々が、「国や会社を信じて言う通りにしてきたのに、年金を減らされて、人生を狂わされた」と怒りの声を上げているのです。
辛いのは、「逃げ切り世代には挽回できるだけの時間が残されていない」ということです。
他人を当てにした結果、後で泣きを見るくらいなら、最初から「もらえない前提」で動いておいたほうがいいのではないでしょうか。身体が動かなくなってから、「こんなはずではなかった」と言っても遅いのです。
私たちがもらえる年金は確実に目減りしている
少なくとも、私たちが老年に達した頃には、今よりも支給される年金額は確実に目減りしています。なぜなら、現在の年金制度は「マクロ経済スライド」という方法に切り替わっているからです。
それまでの年金は、物価や賃金の上昇に合わせて上がっていました。ところが、マクロ経済スライドでは、「不景気の時の年金支給額を据え置きにする代わりに、好景気の時にその分の支給額を抑制する」としました。
たとえば2014年度の上昇率は2.3%でしたが、年金は0.9%増に抑えられています。マクロ経済スライドは、「現役世代の50%以上の年金額をもらう」代わりに「現役世代の年金負担率を一定率以内に抑える」ための処置です。
そうしなければ、年金制度自体が破綻してしまうからです。