消費税増税を煽ってきた新聞が軽減税率の適用を受ける愚かしさ
ある意味で、デフレーションとは安全保障に似ています。大震災が起きたとき、地域の住民は富裕層を含めて全員が被災者にならざるを得ません。
デフレも同様で、一時的に「デフレビジネス」ということでデフレを活用して儲けていても、国民が次々に貧困層に落ちていくと、結局は勝ち組のビジネスも衰退していきます。
もっとも、一般企業の場合は、「日本国民が貧困化したなら、グローバル市場へ」という選択肢は取れないことはありません。とはいえ、新聞は違います。
新聞ほどローカルなビジネスは、他にないのではないでしょうか。新聞の「ユーザー」は日本語を話す日本国民の読者であり、日本語を読む読者向けに広告を出す企業です。
日本国内で、日本語を話す日本国民を相手にビジネスをしているにも関わらず、日本国民を貧困化させる消費税増税路線に加担する。その「報酬」として、自分たちは軽減税率の適用を受ける。これが、日本の新聞業界の現実です。
もっとも、日本国民が貧困化していけば、いずれにせよ新聞の業績も悪化していかざるを得ません。
これほど愚かな連中は、他にいないと思いたいところですが、実際には結構います。
要するに、「国民経済はつながっている」ことを理解せず、自己利益追求に専念し、最終的に自分の足も引っ張られる愚者が、デフレ下の日本で増えてきたというわけです。
この種の閉塞的な状況を打破するためには、「散々に消費税増税を煽ってきた新聞が、自分は軽減税率の適用を受けるなど、おかしいでしょう!」という正論を、国民が共有する必要があると思うのです。
『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2015/12/16号より
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