最近、気付かないうちに自ら資産運用のパフォーマンスを悪化させてしまっている人が増えています。これでは、せっかくの資産運用もあまり成果が得られません。資産運用をしている方は今一度、自分の運用方法を見直してみましょう。(『億の近道』小屋洋一)
プロフィール:小屋洋一(こや よういち)
ファイナンシャルプランナー。株式会社マネーライフプランニング代表取締役。1977年宮崎県生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、総合リース会社に就職。2008年、個人のファイナンシャルリテラシーの向上をミッションとした株式会社マネーライフプランニングを設立。
運用パフォーマンスを下げる「残念な行動パターン」とは?
最近は、お客様の資産運用のレポートを作成してまとめているのですが、少なからず、資産運用では取らないほうがいい行動を取ることによって運用のパフォーマンスを悪化させている顧客を見かけます。
そこで、運用のアドバイザーから見て「残念」と感じる顧客の行動パターンについて考えてみたいと思います。
残念な行動その1:1年という短期で運用結果を判断してしまう
もっとも多い残念なパターンはこれです。
株式というポジションにお金を投じた場合には、運用のリターンは少なくとも5年、できれば10年以上の時間軸で資産が成長してくことを理解して欲しいものです。
株式運用を開始するお客様には、口を酸っぱくしてこのことについて話をしたうえで運用開始するのですが、一定数のお客様は、そうはいっても1年後に資産が増加していないと継続をあきらめてしまう結果になってしまったりします。
先日も、2015年~2016年の時期に相場が悪く、1年間で運用を辞めてしまったお客様のデータを見ていました。
しっかりと継続さえしていれば、5年後の現在では株式での資産は1.5倍程度に増加している結果になっていました。おそらく、この過去のお客様はそのような結果や運用の成果を残していないと思われます。
株式運用を始めたら「10年は結果を待つ」という姿勢を持ってほしいものです。
残念な行動その2:資金運用の額が少なすぎる
2番目に多いパターンがこちらです。
資産運用の取り組みに関しては問題がなく、(その1)と違って運用されている資産については結果を残しています。
ただし、問題は資産運用のリスクを少なく抑えようとしすぎるあまり、運用の成果としてもそれほど受けられないというパターンです。
例えば、1,000万円を保有している場合、800万円を運用して、200万円を預金で保有していれば、仮に運用で資産が1.5倍に増えた場合には、800 × 1.5 + 200 = 1,400万円 と、資産は1.4倍になります。
しかし、これが200万円運用し、800万円を預金で保有していた場合、運用が1.5倍の成果であった場合には、200 × 1.5 + 800 = 1,100万円 と、資産は1.1倍にしかなりません。
このように資産運用に取り組む金額そのものが少なすぎるために適切なリターンを受け取れないという人は、資産運用に取り組んでいる人の中でもほとんどなのではないかと感じています。
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